ギター教則のノウハウが凝縮された1冊
教則本『至高のギター・トレーニング・バイブル 一生何度でも使える毎日の練習メニュー』(著者:宮脇俊郎)が、2025年10月16日(木)にリットーミュージックから発売される。

本書は2013年に刊行された『究極のギター・トレーニング・バイブル』を改題したものだが、書名と表紙以外にも5つのポイントがリニューアルされている。
- 本の判型をB5変形からA4変形(265×210mm)へ拡大。
- 音源の提供方法を、付録CDから特設WEBサイトでのストリーミング&ダウンロードに変更。
- 新コンテンツ「定番コード進行でアドリブ練習」を巻末に追加。
- 譜面内の色付け箇所(文字、音符、背景色)を大幅に新規追加。
- 解説文の一部を、よりわかりやすい表現にブラッシュアップ。
これらの変更により、文字と譜面はさらに読みやすくなり、音源はスマートフォンでも手軽に再生可能になった。
また、オールカラー仕様は改題前のものからそのまま引き継がれ、加筆によって内容はさらに充実したものとなっている。
以下では本書のおもな特徴を紹介しよう。
幅広く、バランスにも優れた多数のトレーニングを掲載
本書はギターのトレーニング集で、ロック、ブルース、R&B、ファンク、ジャズ、メタル、ポップス、ボサ・ノヴァ、フォーク、カントリーといった、様々な音楽ジャンルに対応した譜例が掲載されている。
加えてギターのテクニック面も、ウォーム・アップ、ピッキング、フィンガリング、基本テクニック、高度なテクニック、スケール、コード・ワーク、ジャンル別王道フレーズと幅広く、なおかつバランス良く網羅したものとなっている。
読者は本書に従ってトレーニングを続けるうちに、あらゆるタイプのプレイをこなすオールマイティなギタリストに成長していくはずだ。
読者のことを考えた緻密な構成
本書のもう1つの大きな特徴は、全ページのあらゆる箇所が、読者のことを考えた緻密な作りになっていることだ。
各トレーニングは見開き(2ページ)単位で完結しているため、文字や音符を目で追っても、ギターを抱えながらページをめくる必要はない。
その見開きの左ページには「基本トレーニング」の2小節の譜面と解説、右ページには「強化トレーニング」の8小節の譜面が載っている。

この見開きのセットを各1日で消化しながら全トレーニングを約3カ月で終える、という想定のメニューなので、日々のモチベーションも維持しやすいだろう。
各セットには「難易度」、「必要度」、「使用ジャンル」、「トレーニングの効果と目的」、「自己診断チェックポイント」も書かれている。これらは練習に取り組む際の何らかの目安になるはずだ。
譜面の中で特に重要な箇所は、ピンク色の文字や音符、もしくはハイライト表示(背景色)で強調されているので、そのトレーニングのポイントがどこにあるのかもわかりやすい。
譜面はもちろんタブ譜付きなので、五線譜が読めない人でも、対応した音源を聴きながらフレーズをコピーしていくことができる。
新コンテンツ「定番コード進行でアドリブ練習」はカラオケ音源付き
以上は改題前の『究極のギター・トレーニング・バイブル』にも当てはまる特徴だが、今回のリニューアルでは巻末に「定番コード進行でアドリブ練習」が6ページ追加された。
これは有名曲で使われているコード進行に自分のアドリブを乗せる、という趣旨のコンテンツだ。
このページに掲載された譜面は著者による模範演奏をコピーしたものだが、音源は模範演奏に加えてカラオケも用意されているので、読者はこれで自分のアドリブの実力を試すことができる。
読み直したくなる1冊
以上が本書のおもな特徴だが、ここには著者の宮脇俊郎氏の長年にわたるギター講師としての経験と、多数の教則本を執筆してきたライターとしての様々なノウハウが凝縮されている。
また弾いていて楽しいトレーニングばかりなので、読者はこの本の最後のページを閉じても、いつかまた最初からやり直してみたくなるのではないだろうか。
改題前よりも文字と譜面が大きいので、老眼鏡の世話になる頃まで、この本を本棚に保管しておいた方が良いかもしれない。
本書のサブタイトルである“一生何度でも使える毎日の練習メニュー”には、おそらくそういう意味も込められている。
本書の各章と各項目のタイトルは下記の「コンテンツ」で見てほしい。
『至高のギター・トレーニング・バイブル』コンテンツ
第1章 ウォーム・アップ
1-1 クロマチックで左指の独立トレーニング
1-2 両手のタイミングを強化するトレーニング
1-3 左手のコントロールで不要音をカット
1-4 各弦を均等にストロークするための訓練

第2章 ピッキング動作の強化
2-1 スナップを効かせたダウン・ピッキング
2-2 ムラのないオルタネイトの習得
2-3 空ピッキングを安定させるための訓練
2-4 鋭いコード・カッティングの秘密とは?
2-5 単音カッティングでの音粒の揃え方
2-6 単音ミュート・カッティングの攻略術
2-7 歪み&ブリッジ・ミュートでのフォーム
2-8 アクセント時のフォーム&音色の注意点
章末小曲 etude01 右手の”基本”を網羅したヘヴィ・ナンバー

第3章 フィンガリングの強化
3-1 フレーズに引っ張られない運指の確立
3-2 弦移動を含むクロマチックで運指力UP
3-3 1音ごとに弦移動するメカニカル譜例
3-4 ジョイント・フレーズの攻略術
3-5 移動幅の大きなポジション・チェンジ
3-6 基本コードにおけるコード・チェンジ
3-7 汎用性の高いコードでのチェンジ
章末小曲 etude02 フィンガリング鍛錬に最適な練習曲

第4章 基本テクニックの向上
4-1 ハンマリング&プリングを的確に行なう
4-2 スライド&グリスの表現&コントロール
4-3 ソロにおける基本技、薬指チョーキング
4-4 人差指&中指チョーキングの鍛錬
4-5 さまざまな音程をチョーキングで表現
4-6 ビブラートでフレーズを彩る
4-7 ピッキング・ハーモニクスを確実に鳴らす
4-8 アーティキュレーションで表現力を増強
章末小曲 etude03 ブルース・ソロで基本テクニックを磨く

第5章 高度なテクニックの習得
5-1 王道的タッピング・パターンのポイント
5-2 タッピング時のノイズ対策を検証
5-3 右手のポジション把握でタッピングを攻略
5-4 ハイブリッド・ピッキング時のフォーム
5-5 フィンガーピッキングによる高速リック
5-6 左手のみで音を出すノン・ピッキング奏法
5-7 高速ピッキングのメカニズムを解明
5-8 弦跳びピッキングをスムーズに行なう訓練
5-9 コード音主体のスウィープ・ピッキング
5-10 スケール的な動きのスウィープ・フレーズ
5-11 ワイド・ストレッチへの対応力を養成
5-12 スラップ・ベース風プレイ基本編
5-13 スラップ・ベース風プレイ発展編
章末小曲 etude04 ハイテク・インスト曲風の練習曲

第6章 さまざまなスケールの習得
6-1 音楽の基本、メジャー・スケール
6-2 ソロで必須となるマイナー・ペンタトニック
6-3 メジャー・ペンタの構成と歌わせ方
6-4 2大ペンタでのスケール・チェンジ術
6-5 ミックス・ペンタでフレーズの幅を広げる
6-6 ドリアン=マイナー・ペンタの親戚!?
6-7 超実践型ミクソリディアンを習得
6-8 マイナー・スケール3種の構造比較
6-9 ジャジィなスケール:その1
6-10 ジャジィなスケール:その2
章末小曲 etude05 各種スケールの弾き分け練習曲

第7章 コード・ワーク&理論
7-1 三和音のダイアトニック・コード
7-2 四和音のダイアトニック・コード
7-3 バッキングにメロディを含める手法
7-4 テンション音などでコードを装飾
7-5 クリシェ・パターンでコード進行を彩る
7-6 ペンタ進行でロック・テイストを得る
7-7 ジャズ・ブルース進行を覚える
7-8 ジャズ・スタンダード的な進行パターン
章末小曲 etude06 ジャズ・ブルース進行でのバッキング

第8章 ジャンル別王道フレーズ
8-1 ジミヘン・コードで60年代ロック風に
8-2 70年代ロック的リフ・ワーク
8-3 ブリッジ・ミュートで80年代ロック風に
8-4 90年代ロック・テイストのワイルド・プレイ
8-5 バラードに最適なバッキングの構築法
8-6 歌モノ系に最適なソフト・カッティング
8-7 ワウを使ったファンク・フレーズ
8-8 複音カッティングでファンキーに
8-9 ブルース・ソロで必要となる表現方法
8-10 ウォーキング・ベース+コンピング
8-11 連続で転調をくり返すジャズ・ソロ
8-12 ジャズ・スタンダード的進行でのソロ構築
8-13 ボサ・ノヴァ風味のテンション&指弾き
8-14 カントリーでお馴染みの奏法で軽快に
章末小曲 etude07 本書の総まとめエチュード

付録 定番コード進行でアドリブ練習
adlib-1 「Cantaloupe Island」進行でアドリブ
adlib-2 「Feel Like Makin’ Love」進行でアドリブ
adlib-3 「Just The Two Of Us」 進行でアドリブ

宮脇 俊郎(みやわき としろう) プロフィール
兵庫県出身。ビートルズで音楽に目覚める。 東京学芸大学卒業後、 笠浩二(CCB)、松原みきなどのサポートワークと並行してギター講師、ライターとしてのキャリアをスタート。これまでに『究極のギター練習帳』『最後まで読み通せるジャズ理論の本』など多数の書籍・DVDを発売。ギターの他にベース、ピアノの教則本も発売している。現在は下北沢で音楽教室を運営しながら、台湾・中国など海外でのセミナーやデモ演奏にも力を入れている。敬愛するギタリストはウェス・モンゴメリー、ニール・ショーン、トレヴァー・ラビン。
『できる DVDとCDでゼロからはじめる エレキギター超入門』、『ギター基礎トレ365日!』、『究極のギター運指トレーニング』、『「ギターが下手」、原因の90%はリズム感』、『最後まで読み通せる音楽理論の本』を始め、ピアノ、ベース用の教則本/映像なども多数手がけている。
◎ホームページ:http://www.trussrodstudio.sakura.ne.jp/mtgs/index.html

『至高のギター・トレーニング・バイブル』
宮脇 俊郎(著)
| 品種 | ムック |
|---|---|
| 仕様 | A4変形判 / 192ページ |
| 発売日 | 2025.10.16 |
| ISBN | 9784845643387 |
