JHS Pedalsは、“ミス、しくじり”という意味でネーミングされたクリーン・ブースト・ペダル“Fumble”をリリースした。
ネーミングにあるように、JHS Pedalsが15年以上の歴史のなかで犯した“最大の失敗”をもとに誕生した製品だ。紆余曲折を経て、結果的には1970年代のアコースティック・プリアンプやハワード・ダンブルによるFETモード回路の系譜に連なる回路を搭載したペダルとして稀有な立ち位置を獲得するにいたった。
その誕生の経緯と、搭載された回路に関する歴史的背景を見ていこう。
間違った回路を搭載して製品化。なんかゴメン……ジョン・メイヤー!
ことの発端は2025年5月、JHS Pedalsが発売したソルダーレスDIYキット・ペダル“NOTADÜMBLË”にある。
このペダルは本来、Dumbleスタイルのオーバードライブ回路と、ジョン・メイヤーが希少な実機を所有するバッファード・エフェクトループ・デバイス“A Box Later”を解析して作られたレプリカ回路のバッファー(Box It Later)を組み合わせた設計だった。
しかし発売後、広報用動画の制作過程において、クリーン側の回路に意図しない別の回路が搭載されていることが発覚する。実際に組み込まれていたのは、2019年に同社がジョン・メイヤーのために解析を行なった、また別のDumble製プリアンプ“BBC-1”の回路であった。
JHS Pedalsは初期在庫の販売した後に“NOTADÜMBLË V1”の生産を終了したが、ユーザーから“(誤って搭載されていたクリーン回路=BBC-1の回路を)単体で販売してほしい”という要望が多く寄せられた。
これを受け、同社はこの回路を小型筐体に収め、自社のミスを意味する“Fumble(ミス、しくじり)”と名付けて正式製品化した。これが本製品というわけだ。
ダンブル・アンプのFETモード回路にも元ネタがあった……?
実はこの話にはまだ続きがある。“Fumble”に搭載されたDumble BBC-1回路についてあらためてJHS Pedalsが調査を進めたところ、回路のルーツに関するさらなる事実が明らかになった。
ハワード・ダンブル氏が自身の機器に搭載し“FETモード”と呼んでいたこの回路は、同氏の完全なオリジナル設計ではなく、1970年代にBarcus Berry社が製造していたアコースティック用ピエゾ・プリアンプの回路をほぼそのまま流用したものだったのだ。
というわけで、“Fumble”に搭載された回路の系譜を整理すると、以下のようになる。
- 元祖: 1970年代 Barcus Berry製アコースティック・プリアンプ
- 第1世代: ハワード・ダンブル氏が自社機器に流用した回路(Dumble BBC-1/FETモード)
- 第2世代: JHS Pedalsが解析・複製し、誤って“NOTADÜMBLË”に搭載した回路
- 第3世代: 上記の回路を単体筐体化してリリースされた“Fumble”
そして誕生した、多彩に活躍できるブースター
ハワード・ダンブル氏が伝説的なアンプのFETモードとして流用した1970年代の回路をルーツに持つ“Fumble”は、こうした逸話を抜きにしても、多彩な活用ができるブースターだ。
ボードの先頭に設置して常設ブースター/バッファーとして使うも良し。オーバードライブの前段でのブースト感の追加、歪んだアンプの前段でより大きく輪郭のあるサウンド作りをするも良し。また、チェーン末尾でコーラスやソロで踏むだけのシンプルなソロ・ブースターとしても活躍する。
JHS Pedals
Fumble
【スペック】
● 回路方式:トゥルー・バイパス JFETクリーン・ブースト
● コントロール:INPUT(低域・ゲイン・アッテネーター)、OUTPUT(マスター・ボリューム)
● 電源:DC9V センター・マイナス
● 消費電流:5mA
● サイズ:約49.8 × 99.8 × 30.7mm
● 組み立て:アメリカ・カンザスシティ
【想定売価】
17,600円(税込)
【問い合わせ】
キョーリツコーポレーション TEL:052-847-5300 https://kyoritsu-group.com