“チョーキングからの息もつかせぬ超絶速弾き!”、“ペンタ一発の男らしいソロ!”というのはいかにもギター的で最高ですが、ギター以外の楽器が演奏するソロ・プレイにも、それぞれの個性が光ったメロディがたくさんあります! この企画は、さまざまな楽器によるソロをギターに置き換えて弾くことで、フレージングの引き出しを増やしていこうというもの。第一回はスティーヴィー・ワンダーのハーモニカ・ソロから学びましょう! 情感たっぷりにレッツ・プレイ・ソロ!
譜例作成/解説=安東滋 浄書=Seventh デザイン=山本蛸 Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
ハーモニカのポップ&キャッチーなソロをギターで弾いてみよう!
曲後半のソロ・パートの2コーラス目(参考CDタイム:3’18″〜)から、スティーヴィー・ワンダーが吹くクロマチック・ハーモニカのポップ&キャッチーなアドリブ・ソロをギター用に転写してみました(註1&2)。全体的にかなり高い音域での演奏サンプルなので、ギターで弾けるように1オクターブ下げて記譜しています(それでもギターの音域ほぼいっぱいです:笑)。
註1:本譜例は『Songs In The Key Of Life』収録のオリジナル録音から模写したものです。『Song Review』などベスト盤収録のショート・ヴァージョンなどでは、譜例の2コーラス目の最後あたりでフェード・アウトしていますので、ご注意を。
註2:譜例中にはギター用のアーティキュレーション(各種の奏法)を便宜的に設定しましたが、これはあくまでも参考例。スライドをチョーキングに置き換えるなど、適宜工夫して弾いてみて下さい。
ポイント解説
①:Eメジャー・ペンタトニックを素材にした、ダイアトニック的なフレージングが本ソロの骨子。コード進行全体を大きくとらえる目線で、シンプル&キャッチーなグッド・フレーズが引き出されていきます。この、いわゆる“一発感覚”のソロ・アプローチが本ソロに学ぶ一番のツボと言えるでしょう。そこにスティーヴィー流ソロ・フレーズ作りの極意も鮮やかに発色します。
②:3連符の2個目のタイミングを強調した符割りを混入させる、“トリプレット・フィール”をプッシュする歌い回しもスティーヴィー節の見逃せないツボ。リズム面ではここにも要注目。
③:♭3rd(3弦12f)、♭7th (2弦14fからの半音ベンド・アップ)、♭5th(2弦11f)これらの各種ブルー・ノートを端々に投入して、ブルージィな響きをさりげなくアピールする……これも見逃せない実践ポイントのひとつです。
④:超高域のC♯音(実音は記譜した1弦21fのオクターブ上、めちゃ高いです:笑)までリズミカルに上昇する、本ソロのハイライト・フレーズ。
収録作品
『Songs In The Key of Live』
Stevie Wonder
Motown/1976年リリース