Playing Analysis|『HOPE』唯一無二のプレイに垣間見るバック・グラウンド Playing Analysis|『HOPE』唯一無二のプレイに垣間見るバック・グラウンド

Playing Analysis|『HOPE』
唯一無二のプレイに垣間見るバック・グラウンド

『HOPE』のギター的ハイライトを編集部の独断と偏見でピックアップ! 参考譜例をご用意しました。サウンドメイクやフィーリングが重要なマーク・リーボウの演奏ですが、今回はその音運びに注目を! ぜひチャレンジしてみて下さい!

譜例作成/解説=安東滋 浄書=Seventh Photo by Joseph Branston/Guitarist Magazine/Future via Getty Images

「Bertha The Cool」風ソロ
スリリングに音をはずす“ヒネくれ”アウト・フレーズ

クールなジャズ・フィールが充満する「Bertha The Cool」のソロ中から、「あれ? なんか変!」とリスナーの耳を惹きつけるアウト・フレーズが登場する場面をモデリングした模擬譜例(参考CDtime=2’53”~)。

その音使いはいろいろと解釈できますが、2~3小節目にかけての節回しは、key=Cmの軸に対してC7のコンビネーション・オブ・ディミニッシュの音階を組み込んだフレージング……とも解釈できます。さり気ない場面ですが、そのスリリングにウネる“ヤバい”旋律作りに鬼才マーク・リーボウが持つ先鋭的な“ヒネくれ”感覚が発色します。 

参考音源

「The Long Goodbye」風コード・ワーク
ダークに響かせる混沌とした短調の響き

10分を超える長尺トラック「The Long Goodbye」の導入シーンから、ダークに響かせる和音プレイを模写したモデリング譜例がこれ(参考CDtime=0’00”~)。

5弦開放をペダルに置き、その上に高音弦側で弾く単音メロディを重ね、そしてその両者の間に“半音ぶつけ”の不協和音(3弦5f&2弦0fのペア)を鳴らす……このコンビネーションで混沌としたマイナー感(?)を響かせていく場面です。その音形から、指をガバっと広げて弾くフィンガリングとして採譜しましたが、う~ん、ちょっと指使いがキビしいかもです(笑)?

参考音源

作品データ

『HOPE』
マーク・リーボウのセラミック・ドッグ

P-VINE/PCD-25327/2021年6月25日リリース

―Track List―

01. B-Flat Ontology
02. Nickelodeon
03. Wanna
04. The Activist
05. Bertha The Cool
06. They Met In The Middle
07. The Long Goodbye
08. Maple Leaf Rage
09. Wear Your Love Like Heaven

―Guitarist―

マーク・リーボウ