奏法分析|ジュリアン・レイジ『Squint』ジャズ・ギターの現在地を弾く 奏法分析|ジュリアン・レイジ『Squint』ジャズ・ギターの現在地を弾く

奏法分析|ジュリアン・レイジ『Squint』
ジャズ・ギターの現在地を弾く

ジュリアン・レイジ最新作から、彼の美的センスが光る珠玉のフレーズを厳選して紹介! 譜例を参考にチャレンジ!

譜例作成/解説=石沢功治 写真=Alysse Gafkjen

「Etude」風
クラシカルな雰囲気をまとうギター独奏

ギター1本のみによるクラシカルな小品のニュアンスも併せ持つ、オープニング曲「Etude」の冒頭部分を土台に作成してみた(参考CDタイム0’00″〜0’08″)。読みやすさを考慮して3拍子にしたが、6/8拍子、もしくは拍子自体がないかも。

2カッコの1小節目は便宜上4連符にしたが、4分音符自体の長さはほかと同じ。右手はピック+他指の可能性もなくはないが、おそらく指弾きだろう。なお、コードはあえて付けていない。

参考音源

「Boo’s Blues」風
IV7-I7で使える、流れるような単音アプローチ

B♭のスリー・コード・ブルース(12小節の)に、Gmから始まるブリッジ6小節を間に挟んだABA形式の「Boo’s Blues」。そのAパートのブルース進行のコーラス中盤IV7→I7で登場する、3連符が連続するソロ・フレーズを模してみた(参考CDタイム0’56″〜1’03″)。

意図的かどうかはともかく、4小節目の1拍目は微妙ながらもややイーヴン気味のタイミングで弾かれていて、続く3〜4拍目から再び3連符フィールになっている。

参考音源

「Day & Age」風
スモーキーに香る情熱的なコード・アプローチ

郷愁を誘うオールド・アメリカンな趣たっぷりの「Day & Age」で、曲後半にギターをかき鳴らして盛り上がっていく部分を下地にスケッチした(参考CDタイム2:06〜2:16)。

一般的なオープンEフォームを弾いたあと、1小節目4拍目から2弦3f=薬指、3弦4f=小指で押弦して、3小節目後半で2弦を半音ベンド・アップすると、以降も1弦開放を交えながら上がっていっている。4小節目前半の2弦は5fとしたが、もしかするとここも4fで半音ベンド・アップしている可能性もあり。

参考音源

作品データ

『Squint』
ジュリアン・ラージ

ユニバーサル/RCCQ-1142/2021年6月11日リリース

―Track List―

01. Etude
02. Boo’s Blues
03. Squint
04. Saint Rose
05. Emily
06. Familiar Flower
07. Day & Age
08. Quiet Like A Fuse
09. Short Form
10. Twilight Surfer
11. Call Of The Canyon
12. Granada(日本盤ボーナス・トラック)

―Guitarists―

Julian Lage