アリエル・ポーゼンによるスライド・プレイを参考にした譜例を弾いて、彼のスタイルに挑戦してみよう! スライド・バーを用意してオープンチューニングにしたら、レッツ・トライ!
譜例作成/文=安東滋 浄書=Seventh
低音域にシフトした重量感たっぷりのプレイ・フィール
ブルース/ジャズ/カントリーなどのルーツ・ミュージックに根ざした重量感たっぷりのプレイ・フィールを発散させるアリエル・ポーゼン。
彼の演奏を際立たせている一番のツボは、愛用の全弦2音半下げ(完全4度下げ)のスタンダードBチューニングを軸にオープンC系なども併用する、低音域にグッとシフトした重心の低いLowサウンド。その“ダウン・チューニング”のどっしりとした出音によって重量感たっぷりのギター・トーンを紡ぎ出していきます。これはスライド・ギターと押弦プレイ、両スタイルを貫通するアリエル・ポーゼン奏法の肝とも言える必須ポイントです。カポタストも適宜使用。
スライド・プレイの基本スタイル
今回スポットを当てるスライド時の演奏スタイルの特徴を、ギター1本の独奏トラックだけで構成された最新ソロ作『Mile End』の映像資料を観察しながらザッとまとめたのが以下。
まず基本事項から挙げると、スライド・バーは小指に装着、右手側はフィンガーピッキングとフラット・ピックとの併用スタイル。
フィンガーピッキング時は人差指の関節の中にフラット・ピックを挟み持ったままの態勢で撥弦し、そこからフラット・ピッキングに切り替える際は上記の態勢からピックを素早く取り出してピッキングする……この切り替えはとても素早くシームレス。音を聴いているだけではその切り替え(音色の変化)はまったく気がつかないほどスムーズです。
このピッキング方法はスライド/押弦を問わずアリエル・ポーゼン・スタイルを形成する見逃せない要素でしょう。
フレーズ・アプローチの面で見渡すと、スライド・プレイの隙間に押弦音がフレキシブルにどんどん組み込まれるハイブリット・スタイルに大きな特徴あり。このスライドと押弦プレイ、両者の自在で密接なコンビネーションがアリエル・ポーゼン流スライド奏法の一番の肝です(というか、両者はもう完全に一体化してます!:笑)。
スライド・バーの左側(ヘッド側)に押弦音を差し込む“ビハインド奏法(Behind The Slide)”もガンガン絡んできます。水平方向の大股スライドでつなぐメロディアスな旋律作りも特徴的。
Ex-2:スライドと押弦の自在なコンビネーション

オープニング・トラック「Begin Again」中盤の一節をモデリングした参考譜例がこれ(参考CDtime=3’13″~)。使用チューニングはオープンCの4fカポ、つまりオープンEですね(註)。
譜例前半でのスライド音と押弦音(譜例中のⓕ印)を自在にミックスさせるハイブリッドなフレージングに彼の特徴的なプレイ・スタイルが鮮やかに発色します。譜例後半はそれに応える低音弦上の押弦フレーズ。ちなみに本譜例は全編ピック弾きです。
参考音源
Ex-4:技ありのコード・プレイにも要注目!

オープンCで演奏される「Borrowed Time」冒頭のコード・プレイを模写した参考譜例(参考CDtime=00’00″~)。たっぷりとした和音感をサラっと響かせていく一見シンプルな演奏ですが……実際に弾いてみるとこれが難度高し!(笑)。
スライド・バーでの発音と押弦音を組み合わせて弾くワイド・レンジな2音コード作り(譜例中ⓕ印の指定に注目)、そして2小節目の冒頭には(バーを11fにキープした状態で押弦音を1弦9fに加える)“ビハインド奏法”も登場するなど、技ありのコード・プレイが連鎖していきます。ピッキングは前述したフィンガー・スタイル。