2023年9月に迫ったコヴェットの来日公演に先駆けて、イヴェット・ヤングが日本のファンに向けたスペシャル実演動画を送ってくれた。新作『catharsis』のラストを飾るドラマチックなナンバー、「lovespell」をモチーフにしたその演奏の中から、印象的なフレーズを3箇所抜粋し、譜例とともに解説しよう。高難易度なフレーズだが、チューニングを6弦からFACGCEにして3フレットにカポを装着し、ぜひトライしてみてほしい。
採譜・浄書・解説=阿部靖広 動画作成=イヴェット・ヤング 上写真=Howerd Chen
イヴェット・ヤングが実演! ディレイを駆使した幻想的なメロディ・アプローチ
Ex-1:ハーモニクスを絡めたメイン・リフ
カポを3フレットに装着してプレイしているが、譜面はハイ・ポジションの見やすさを考慮して移調せずに原音表記にしてあるので、タブ譜の3フレットが開放弦になることに注意しよう。
楽曲をとおしてギターは1拍分遅れのディレイが掛けられている。楽曲のBPMが128なので、ディレイタイムはおよそ469msecに設定しよう。チューニングの設定はタブ譜の音名を参考にしてほしい。3弦3フレットと2弦10フレットがルートのA♭に対する9th音となり、モダンなニュアンスを生み出している。綺麗なハーモニクスも効果的。
Ex-2:ディレイを使った単音のリフレイン・フレーズ
2小節間のメロディ・ラインをリフレインさせており、ベース音を変化させてドラマチックな展開を作り出している。譜面の下段は親指でピッキングしよう。
Ex-3:楽曲中盤のフィンガーピッキング・フレーズ
楽曲中盤のキメ。開放弦を中心に、フィンガーピッキングならではのボイシングを活かしたフレーズだ。16分を強調したリズムになっているので、タイミングが遅れないように注意しつつ、16分休符でしっかり音を切ることがポイント。度々単音のオブリが入るが、スライドやハンマリングの装飾音を丁寧に表現したい。
作品データ
『catharsis』
COVET
P-VINE RECORDS/PCD-25364/2023年4月21日リリース
―Track List―
- coronal
- firebird
- bronco
- vanquish
- interlude
- smolder
- merlin
- lovespell
―Guitarist―
イヴェット・ヤング