小編成になればなるほど演奏のごまかしはきかなくなる。しかし、シンプルであればあるほど美しく儚いサウンドになることがある。ルーパーもなければ打ち込みやサンプリング・パッドもない時代、ギターが持つ伴奏楽器として可能性を最大限まで追求したギタリストたちがいた。彼らは、ボーカルとギター、もしくはそこにベースを加えた最小限の編成でも、珠玉の名演を残してきたのだ。今回のギタマガWEB特集ではそんな男たちの挑戦が感じられる、“歌姫とジャズ・ギタリスト”の関係に迫っていきたい。ギター1本でリズム、ハーモニー、メロディを一手に担った彼らの演奏からは、弾き語りやバンド・アレンジのアイディアなど、音楽に必要な要素をたくさん学べることだろう。
企画=編集部 構成協力=久保木靖 Photo by Paul Natkin/Getty Images
Contents
“歌姫とジャズ・ギタリスト”を考える。
ギタリストが最小編成でプレイするには、リズム、ハーモニー、メロディを1本で担う必要がある──それはつまりソロ・ギターの素養が不可欠というわけだが、このスタイルはどんな歴史を辿ってきたのだろうか。
女帝エラ・フィッツジェラルドと
巨匠ジョー・パス
歌姫とジャズ・ギタリスト……いきなり最初からその世界の頂点を紹介してしまおう。そう、ジャズ・ボーカルの女王=エラ・フィッツジェラルドとソロ・ギターの巨匠=ジョー・パスのコンビである。ふたりの邂逅と作品でのギター・プレイについて、音源を聴きながらじっくりと読み進めてほしい。
ジュリー・ロンドン&アル・ヴィオラ
美人女優と職人のマッチング
モダン・ジャズ期における貴重な女性ボーカル&ギターのデュオとして紹介したいのがジュリー・ロンドンとアル・ヴィオラの『Lonely Girl』。女優出身のシンガーと、フランク・シナトラを支えた職人――スターと裏方、光と影、そんなコントラストを楽しみたい。
女王サラ・ヴォーンを支える
歌伴名手バーニー・ケッセル
女王サラ・ヴォーンとバーニー・ケッセル、ふたりの名前を見ただけでブルージィな香りがしてくる。ベース&ギターの小編成なのに圧倒的な説得力、ぜひ体感してほしい。
和製歌姫・後藤芳子と
日本ジャズの至宝・中牟礼貞則
歌姫とジャズ・ギタリスト……いきなり最初からその世界の頂点を紹介してしまおう。そう、ジャズ・ボーカルの女王=エラ・フィッツジェラルドとソロ・ギターの巨匠=ジョー・パスのコンビである。ふたりの邂逅と作品でのギター・プレイについて、音源を聴きながらじっくりと読み進めてほしい。