2023年4月のエリック・クラプトン武道館公演時に、ドイル・ブラムホールIIがステージ上に用意したギター・アンプを公開!
取材・写真提供=菊池真平 協力=マティアス・ヨハンソン、前むつみ
サウンドの要となるドイルのギター・アンプ群
エリック・クラプトンの演奏を支えながらも、曲によってはソロも披露し、抜けが良く芯のあるトーンで魅せてくれたドイル・ブラムホールII。そんな彼の音作りの土台とも言えるアンプを紹介していこう。
Doyle Bramhall II’s Amplifiers
ステージにセットされていたのは、ダンブル系のサウンドを目指して作られ、数々のプロ・ミュージシャンに愛用されているTwo-Rockのフラッグシップ・モデル、Classic Reverb Signature(写真右側)。写真では布で隠れて見えていないが、10インチ・スピーカーを4発内蔵したキャビネットとの組み合わせだ。どちらもオプションの赤いカバリングが施されている。
さらにSuproのコンボ・アンプDelta King(左手前)、そしてFenderのSuper Reverb(左奥)もセットされていた。
メイン・アンプは、Two-Rock Classic Reverb Signatureと4×10のキャビネットです。フェンダーはバックアップですが、時には使うこともあります。オーバードライブとディストーションは、エフェクター・ペダルで作っています。
と、ギター・テックのマティアス・ヨハンソンが語る通り、メインとなるアンプはTwo-Rockのみ。おそらくクリーンもしくはクランチくらいまでのセッティングで使っているのだろう。また10インチ4発のキャビネットを好むのは、音抜けや反応の良さを重視していると思われる。
ドイルは様々なスタイルの曲を演奏しますが、サウンド自体は変わりません。常に“ドイルの音”を奏でます。また、その時の状況に応じたプレイをしているので、エリックと演奏する時は、ドイルのソロ・ワークとは違うことが多いですね。
ライブではクラプトンの歌と演奏をしっかりサポートしながらも、自らの個性も封印することなく、しっかり音とプレイで存在感をアピールしていたドイル・ブラムホールII。使用機材も厳選されていることがうかがえた。もしかしたら、そんな所がクラプトンのお気に入りなのかもしれない。
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上記のように複数のアンプと、数種類のファズを含む様々なエフェクターを駆使して、ビンテージ・トーンを意識しながらも曲に合わせた音作りをすることで、エリック・クラプトンの演奏を盛り立てていた。
そんなドイルの個性的な機材をバックアップするマティアスは、どのようなことを心がけて彼のギター・テックを務めていたのだろうか。
楽器のメンテナンスはとても重要です。ただセットアップは、ほかの人とほとんど変わりません。
もちろん、彼の弾き方やチョーキングの方法は右利きのギタリストとは違うので、彼のスタイルに沿ってギターをチューニングします。例えばギターを“右”に構える場合と、“左”に構える場合では、特に低音弦のチューニングが異なりますし、そういったことに気を配っているんです。
また、ショーの間は、ドイルが必要なものがないか、常に注意深く見ています。時には、チューニングの違うギターが必要になりますし、アンプのレベルを変えることもあります。
最も重要なことは常に状況を的確に判断し、何かあれば素早く対応できるように準備しておくことですね。
世界最高峰のプレイヤーは常に、マティアス・ヨハンソンやダン・ディアンリーのような世界最高峰のギター・テックやスタッフがサポートしている。だからこそ、武道館公演のような大きなステージでのライブを、トラブルなく素晴らしいサウンドで楽しむことができるのだろう。
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