2025年に再結成を果たしたthe cabsのツアー『the cabs tour 2025 “再生の風景”』が、8月〜11月にかけて全国9箇所で行なわれた。本ツアーで高橋國光（g）が使用したペダルボードを、本人の解説付きでご紹介しよう。
取材・文＝小林弘昂 機材撮影＝小原啓樹
Takahashi’s Pedalboard
コンプレッサーを軸にしたシンプルなボード
【Pedal List】
①Wampler Pedals / Cory Wong Compressor（コンプレッサー）
②Vivie / CALLION（オーバードライブ）
③JHS Pedals / Sweet Tea V3（オーバードライブ／ディストーション）
④One Control / Minimal Series 1 Loop Box（1ループ・ボックス）
⑤Darkglass Electronics / Duality Fuzz（ベース・ファズ）
⑥Malekko Heavy Industry / Ekko 616 MKⅡ（ディレイ）
⑦VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ（パワー・サプライ）
⑧KORG / Pitchblack X（チューナー）
ギターからの接続順は、まず①〜④の番号どおりにつながれる。④1 Loop Boxには⑤Duality Fuzzをループ。④1 Loop Boxのアウトからは⑥Ekko 616を経由し、RolandのJC-120にインプット。
⑧Pitchblack XはJC-120のセンド端子に接続されており、オンにしても音はミュートされないようになっている。
①Cory Wong Compressorはクリーン・サウンドを整えるために常時オン。BLENDノブは10時方向と控えめなセッティングだが、高橋は“オンにするのとしないのでは全然違う”と話していた。この日のライブでは、「anschluss」、「第八病棟」、「地図」、「すべて叫んだ」など、クリーンを使用するフレーズがいくつか確認できた。
メインの歪みはcinema staffの辻友貴から借りている②CALLIONで、歪みを足したい時は③Sweet Teaの2つのチャンネルを使い分けている。③Sweet Teaはおもに左側のディストーション（同社製Angry Charlie V3）をオンにしており、「カッコーの巣の上で」、「purusha」、「Leland」、「第八病棟」、「二月の兵隊」、「キェルツェの螺旋」など、多くの楽曲で使用。右側のオーバードライブ（同社製Moonshine V2）は、「解毒される樹海」などで軽いブーストが必要な際にオンにしていたと思われる。
⑤Duality Fuzzはcinema staffの三島想平から借りているもの。本機を④1 Loop Boxにループしているのは、スイッチをオンしてファズがかかるまでのラグがあるためとのこと。スポットでオンにすることが多く、「purusha」、「わたしたちの失敗」、「Leland」、「camm aven」、「地図」、「キェルツェの螺旋」でフィードバックやノイズを生み出していた。
⑥Ekko 616も三島想平の所有物。本機はアルペジオで踏むことが多いが、ディレイ・タイムが短く、エフェクトも薄くセッティングしているため、リバーブのような感じで使用しているという。「anschluss」や「purusha」や「ラズロ、笑って」の間奏、「第八病棟」のサビ、「二月の兵隊」、「地図」、「すべて叫んだ」でオンにしていたのが確認できた。
Interview
コンプレッサーをオンにするのとしないのとでは
全然違います。
Cory Wong Compressor（①）は常時オンになっているんですね。
常時オンです。これは楽器店で色々とコンプレッサーを弾き比べて選びました。でも、あんまりBLENDノブを上げてないです。薄っすら混ざっているくらい。
クリーンはコンプレッサー以外は何も踏んでないんですか？
そうです。コンプがかかっているクリーンが欲しくてCory Wong Compressorを使っているんですよ。BLENDノブをあんまり上げてないとはいえ、これをオンにするのとしないのとでは全然違います。
メインの歪みペダルは？
メインの歪みはCALLION（②）で、Sweet Tea（③）の2つのチャンネルがキャラクター違いのブースターという感じですね。CALLIONを踏んでいることが多いです。
Sweet Teaは単音などでブーストしているのでしょうか？
使い方はずっと模索中なんですけど、単音というよりは、ゲインと音量を上げたいところで踏んでいますね。2つのスイッチを踏み間違えることが多いです（笑）。昔はCALLIONがなくて、Sweet Teaの右chをメインの歪み、左chをブースターとして使っていました。
ベース用のファズであるDuality Fuzz（⑤）の使い方を教えて下さい。
すべてを壊す、崩壊させる（笑）。ベース用ファズなのでギターのファズのように鳴らなくて、カオスみたいな音がします。これはcinema staffの三島（想平）君のものなんですよ。Sweet Teaも今のやつは自分で買いましたけど、もともとは三島君のものを借りていました。CALLIONは辻（友貴）君のもので、このボードのコンプ以外はcinema staffのものですね（笑）。
そうだったんですか（笑）。Duality Fuzzをループ・ボックス（④）に入れている理由は？
反応が遅くて、スイッチをオンにしてもファズがかかるまでラグがあるんですよね。それを解消させるためのものです。
Malekkoのディレイ（⑥）はどのようなフレーズで踏んでいますか？
アルペジオとかで、ごまかしというか、恥ずかしそうな時に踏んでいます（笑）。雰囲気ものですね。ディレイ・タイムも短いし、ほとんどリバーブみたいな感覚で、オンにしてもディレイがかかってるってわからないと思います。
チューナー（⑧）はJC-120のセンド端子につながれているそうですね。チューニングをする時も音が出ているという。
もともと昔はそうやっていて、今回のツアーでも同じようにやっているんですけど、次からは普通にミュートできるようにします（笑）。the cabsって弾きっぱなしだから、手元がめっちゃくちゃ忙しいバンドなんですよ。だから足下を複雑なシステムにしたくなくて。エフェクターも増える予定はないですし、シンプルなのが助かります。
2025年11月1日（土）Spotify O-EAST
【Setlist】
01. anschluss
02. カッコーの巣の上で
03. purusha
04. わたしたちの失敗
05. ラズロ、笑って
06. Leland
07. 第八病棟
08. 二月の兵隊
09. 解毒される樹海
10. 花のように
11. sarasa
12. チャールズ・ブロンソンのために
13. camm aven
14. 地図
15. すべて叫んだ
-Encore-
16. 新曲
17. キェルツェの螺旋
