マック・デマルコが2026年2月の来日公演で使用したギターを本人が解説! マック・デマルコが2026年2月の来日公演で使用したギターを本人が解説!

マック・デマルコが2026年2月の来日公演で使用したギターを本人が解説!

2026年2月、マック・デマルコが6年ぶりの新作『Guitar』を引っ提げた全国5都市の来日ツアーを行なった。東京公演に際して、ギター・マガジンWEBではマックに初のインタビューと機材撮影を敢行。本記事では、マックが使用したギターを本人の解説付きでご紹介。

取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=星野俊 人物撮影=Yuki Kikuchi

Mac DeMarco’s Guitar

1960’s Silvertone
1448

チープさを求めた
メインテナンス万全のメイン・ギター

今回のツアーでマックが使用したギターは、Silvertoneの1448のみ。1962〜67年に初心者向けの通信販売用ギターとして売られていたショート・スケール、メゾナイト・ホロウ・ボディのモデルで、当時の付属の専用ハードケースには小型の真空管アンプが搭載されていたことで知られている。製造はDanelectroが行なっていた。

デビュー当時に愛用していたTeiscoのギター(カードボード・クイーン)とサウンドや感覚が似ているという理由で本器を使い始めたという。また、ストラトキャスターでは“しっかりしすぎている感じがする”とのことで、本器のチープな質感を求めていると語る。

おそらくリフレットされているとのこと。以前はリペアやメインテナンスを誰かに頼んでいたが、現在は自分で行なっているそうだ。

ペグはKlusonのものに交換されている。しかし、本器の設計上そのまま取り付けることができないため、手作業で個々のペグの土台の両端をグラインダーで削り、オリジナルのシャフト穴にポストがくるようにしているという。

ネック・サイドにはポジション・マーク代わりにテープが貼られている。本人曰く、“カスタム製のポジション・マーカー”

ピックアップはリップスティックを1基搭載。マックは本器の中でピックアップを最も気に入っているとのこと。

オリジナルのブリッジではピッチが調整できなかったため、テレキャスター・サドル付きのブリッジに交換済み。

弦はErnie BallのPower Slinky #2220(.011〜.048)で、チューニングはレギュラー。

撮影時のライブでは「Salad Days」、「Ode To Viceroy」、「Freaking Out The Neighborhood」、「My Kind Of Woman」で使用された。

Picks

ピックはJim DunlopのTortex Standard .60mmを使用している。

Interview

ほかのオールド・ギターは壊れたらそれで終わりだけど、
Silvertoneならまた買えばいい。

今回の来日公演に持ち込んだギターの詳細を教えてください。

Silvertoneのギターを持ってきたよ。たしか1448っていうモデルだったと思う。自分で作品を作り始めた最初の頃はTeiscoのギターを使っていたんだけど、それは途中でMosriteのネックを付けたり、ピックアップとジャックを直結したりして、完全にフランケンシュタインみたいなギターだったんだ。キッズたちはインターネット上でそれを“Cardboard Queen(カードボード・クイーン)”って呼んでいるみたいだね。僕はそれを長いことプレイしていて、かなり気に入っていたよ。

1stアルバム『2』(2012年)のジャケットではマックがカードボード・クイーンを抱えている。
1stアルバム『2』(2012年)のジャケットではマックがカードボード・クイーンを抱えている。

なぜ今はSilvertoneがメインなのでしょう?

Silvertoneを使っている理由は、カードボード・クイーンと似たサウンドがするから。ピックアップのサウンドがカードボード・クイーンに付いていたものと似ているんだよね。それに両方とも軽くて、オモチャを弾いているみたいな感覚なんだ。ちょっと壊れたような感じも良いし、ベンドをする時もハマる。ストラトキャスターをプレイしていると、たまに強すぎるというか、しっかりしすぎている感じがするんだよね。だからもう少しチープなものが欲しくなるんだよ。

Silvertoneの良いところは、たくさん作られているところだ。僕は7本くらい持っている。ほかのオールド・ギターは壊れたらそれで終わりだけど、Silvertoneならまた買えばいい。買ったらまずはペグを交換して、それから“Reverb.com”とかで売っている市販品のブリッジを付けるんだ。そうするとイントネーションがちゃんと調整できるようになるから、少しはまともなギターになる。それでもかなりファンキーだけどね。だから僕はこのギターが大好きなんだ。本当にグレイトだと思うよ。

そのほかパーツの交換箇所はありますか?

ほかはそのままにしているよ。もともと付いているリップスティック・ピックアップが一番気に入っているんだ。ある時、Silvertone用のリップスティック・ピックアップを3個買って、それらを90年代の日本製ストラトキャスターに取り付けたことがある。そしたらすごくクールなサウンドになったよ。でもSilvertoneとまったく同じサウンドじゃなくて、どこかストラトっぽかったな。

チューニングはレギュラーですか?

現在のライブではそうだね、最近は変則チューニングの曲はほとんどやっていないけど、レコーディングではいくつかのチューニングを使っているよ。

Silvertoneはベックの使用で有名です。彼に影響されたところはありますか?

もちろん! 僕はベックと知り合いだし、LAでよく会うんだ。彼はすごくクールだよ。ストラトって、ある程度有名な人が使っているから、それを自分でプレイしても“まあいいんじゃないか”という感じになる。でもSilvertoneみたいなモデルを弾くと、ちょっとベックのギターみたいな感じになるんだよね。それから僕がよく思い浮かべるのはグリズリー・ベアのダニエル・ロッセンで、彼もSilvertoneで驚異的なサウンドを作り出していた。

他人と被らないギターが好きなのでしょうか?

子どもの頃に故郷のエドモントンでパンク・バンドのライブを観たことがあるんだけど、“あのギタリストが使っているあのギターはかっこいいけど、もう彼が弾いているから自分は持てないな”って思ったんだ。でも、今はそんなことはあまり考えない、ただかっこいいと思うだけ。それはベックにも話したことがあるよ。彼も僕同様に改造はせず、そのまま使っているはずだ。たぶんSilvertoneをたくさん持っていて、そのうちの何本かはチューニングが安定しているんだと思う。

カードボード・クイーンもそうですが、あなたはビザールなギターが好きなイメージがあります。

ストラトキャスターにも変な個体があるんだ。僕が持っていた古いやつなんかは、“こんなに変なストラトはもう二度と要らない!”と思ったくらいでね。ギターの面白いところは、同じ工場で同じパーツで作られても、1本1本が違うこと。木の性質とか、そういうことなんだろうけど、何かを見つけるとワクワクする。だから僕はハードオフみたいなところに行くんだよ。とんでもなく変わったものが見つかるかもしれないからね。僕は普段からちょっと変わった楽器やマイク、レコーディング機材……とにかく古いものに惹かれるんだ。もちろんグッドな古いギターも持っているけど、正直、古くて変なギターのほうをよく弾いているよ。

ストラトを複数本持っているようですが、なぜストラトを集めているのでしょう?

若い頃もストラトを持っていたし、テレキャスターとかのいろんなギターも弾いていたけど、結局ずっとビザールなギターを使っていた。そんな中、僕が何年も愛用していたストラトは70年製で、茶色っぽい、木材そのままっていう感じのカラーのものだったんだ。多くの人はプリCBSの個体を求めていたから、かなりのコレクターじゃないと欲しがらないタイプのストラトだったんだよね。でも弾いた感触がすごく良くて、さらにサウンドも素晴らしかった。“プレイしたい!”と思わせてくれるギターだったよ。本当に愛していて、アメイジングだった。

でも何度かステージでブッ壊してしまい、その後も直してはまた壊して……みたいになっていた(笑)。今はもう手元になくて、本当に惜しいことをしてしまったよ。ずっとその空白を埋めようとしてきて、60年代のストラトをステージで使ってみたけど、今では貴重すぎるものになってしまってね。クールだけど、プレイするのが怖くなったんだ。それに3wayピックアップ・セレクターもしっくりこなかったんだよね。

だからSilvertonesと同じようにポンポン買えるストラトを見つけたいと思って、最近になって日本製のSquier Silver Seriesを使い始めた。これもすごく良いギターだよ。あとは映画『ウェインズ・ワールド』(1992年)のモデルで、“She Will Be Mine”というメッセージが入ったプレート付きのギターも持っている。どれもかっこいいんだけど、ストラトを弾くたびに茶色の70年製を思い出しちゃって、“別のものをプレイするしかないか……”という感じにもなるんだよね。

何度もストラトを壊したというエピソードを聞くと、あなたがどれだけピート・タウンゼントを愛しているのかが伝わります(笑)。

そうそう(笑)!

使用している弦のゲージは?

いつもErnie Ballの紫のパッケージ(Power Slinky #2220/.011〜.048)を使っているよ。

ピックはどういうものを使っていますか?

これは僕が普段使っているものじゃないけど、君たちなら気に入るかも。ポケットにいくつか入っていると思う……。あ、あった! 昨日の夜、誰かからもらったやつなんだけど。

さすがですね(笑)! これを使うことはありますか?

いや、それはないかな(笑)。僕がいつも使っているのはJim Dunlopのティアドロップ型だね。そんなに厚くない、.60mmのやつだ。

2026年2月23日(日)KANDA SQUARE HALL


【Setlist】
01. Shining
02. For The First Time
03. Sweeter
04. On The Level
05. Phantom
06. Salad Days
07. Punishment
08. I Like Her
09. Rock And Roll
10. Still Beating
11. On The Square
12. Passing Out Pieces
13. Home
14. Heart To Heart
15. Knockin
16. Ode To Viceroy
17. Little Dogs March
18. Another One
19. Rooster
20. Freaking Out The Neighborhood
21. Holy
22. Moonlight On The River
23. My Kind Of Woman
24. Chamber Of Reflection
25. Nobody

作品データ

『Guitar』
マック・デマルコ

VMG
UICB-1036
2025年8月22日リリース

―Track List―

01. Shining
02. Sweeter
03. Phantom
04. Nightmare
05. Terror
06. Rock And Roll
07. Home 
08. Nothing At All
09. Punishment
10. Knockin
11. Holy
12. Rooster

―Guitarist―

マック・デマルコ