『Still Dreamin’』
布袋寅泰
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/01/2022-0113-disc-review-02-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
布袋寅泰(vo,g)、黒田晃年(g)、井上富雄(b)、古田たかし(d)、伊澤一葉(k)、他
【曲目】
①Still Dreamin’
②Do You Wanna Dance?
③Let’s Go
④Starlight
⑤コキア
⑥オペラ
⑦Pegasus (Album version)
⑧理由
⑨Rock & Soul Music
⑩Pure
⑪世界は夢を見ている
⑫10年前の今日のこと(Album version)
60年間の人生が集約された正真正銘のギター・アルバム
60歳の誕生日という記念すべき日にリリースされる通算20枚目のオリジナル・アルバムは、常に自分自身と戦い、夢を追いかけ続けた布袋が自身のキャリアを総括したような充実の内容になっている。
BOØWYの楽曲を連想させるメロディアスな「Still Dreamin’」、ポスト・パンクの硬質なカッティングが響く「Do You Wanna Dance?」、アコースティック・ギターで温かく包む「コキア」、P-FUNK調のファンキーな「Rock & Soul Music」などなど、すべての楽曲で明確なサウンド・コンセプトがあり、ギターはそれぞれで違った表情を見せる。まさに正真正銘のギター・アルバムだ。
ポップもストレンジもごちゃ混ぜに、王道も異端も同列に扱うそのプレイや作曲能力はやはり唯一無二。ギター・ミュージックが聴かれない世の中になって久しいが、ぜひとも布袋の人生が凝縮された本作を手に取り、ギターの表現力の幅広さや、音色の素晴らしさを改めて感じてみてほしい。
(小林弘昂)
『ザ・ボーイ・ネームド・イフ』
エルヴィス・コステロ
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/01/2022-0113-disc-review-03-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
エルヴィス・コステロ(vo,g)、デイヴィ・ファラガー(b)、ピート・トーマス(d)、スティーヴ・ナイ―ヴ(k)、他
【曲目】
①フェアウェル、OK
②ザ・ボーイ・ネームド・イフ
③ペネロピー・ヘイプニー
④ザ・ディファレンス
⑤ホワット・イフ・アイ・キャント・ギヴ・ユー・エニシング・バット・ラヴ
⑥ペイント・ザ・レッド・ローズ・ブルー
⑦ミストゥック・ミー・フォー・ア・フレンド
⑧マイ・モスト・ビューティフル・ミステイク
⑨マグニフィセント・ハート
⑩ザ・マン・ユー・ラヴ・トゥ・ヘイト
⑪ザ・デス・オブ・マジック・シンキング
⑫トリック・アウト・ザ・トゥルース
⑬ミスター・クレッセント
⑭トゥルース・ドラッグ
ジ・インポスターズのエネルギッシュな演奏とコステロのポスト・パンク・ギターが激突!
3年ぶりに頼りになる相棒たち=ジ・インポスターズと作った最新アルバム。王道のロックを求めるファンの期待に応えつつ、御年67歳とは思えないアグレッシブさが聴きどころだろう。
60’sを思わせるロックンロールやポップスのスタイルを借りて円熟したメロディの魅力を味わわせる一方で、コンボ・オルガンや電気ピアノを奏でるスティーヴ・ナイーヴら、インポスターズの3人とコステロが互角にぶつかり合う演奏はちょっと耳に痛いくらいだ。
強いアタックで鳴らすコードとフレーズにフリーキーなソロ――アンサンブルの一部に徹しながら、思いっきり歪ませたコステロのギター・プレイはポスト・パンクという言葉がふさわしい。
ニコール・アトキンスとデュエットしたポップ・ソウルの「マイ・モスト・ビューティフル・ミステイク」、オールディーズなバラードの「ミスター・クレッセント」では、サーフ・ミュージックを思わせるリバーブ・サウンドも鳴る。
(山口智男)
『TIME』
Yoshito Tanaka
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/01/2022-0113-disc-review-04-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
Yoshito Tanaka(g,etc)【ゲスト】DURAN(g,vo)、さかいゆう/スガ シカオ/中沢ノブヨシ/池田春(vo)、Mummy-D(MC)、DJ IZOH(DJ)、大神田智彦(b)、タケウチカズタケ(k)、他
【曲目】
①Time Traveler
②Bxxxh Perfect feat. Mummy-D(RHYMESTER)
③Interlude to Smells
④Smells feat. Suga Shikao
⑤Okay feat. DURAN
⑥Timeless feat. Nobuyoshi Nakazawa
⑦Time Goes By
⑧Hello feat. Haru Ikeda
⑨Interlude to Rain
⑩Rain feat. Yu Sakai
⑪Old Letter
珠玉のシングルコイル・サウンド
約8年ぶりとなる渾身の2ndフル
日本屈指の腕利きスタジオ・ギタリストで、プロデューサー/コンポーザーとしても活躍する田中義人の2ndフル作。さかいゆう、スガ シカオら豪華ボーカル陣とのコラボも見逃せないが、田中自身の手によるインストゥルメンタル・トラックの完成度も凄まじい。
クリスピーかつ流麗なアルペジオから始まり、ソウルフルなカッティングが合わさり極上のサウンド・スケープが目の前に広がる①、90年代ヒップホップを感じさせるトラックの上で美メロなソロが映える⑦、DURANとのブルージィなツイン・ギターのレイヤード感に魅せられる⑤……、どれもキャビネットのコーンの振動までが鼓膜に伝わってくるような繊細さと、迫力を合わせ持ったサウンドに仕上がっている。特に⑧の終盤で聴くことのできる、付点8分ディレイを掛け合わせたソロのぶっ飛び具合には思わずため息。
ギタリストだけではなく、最新のサウンドを追う聴き手へお薦めしたいヒップな1枚である。
(伊藤雅景)
『インヴァイオレット』
スティーヴ・ヴァイ
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/01/2022-0113-disc-review-05-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
スティーヴ・ヴァイ(g)、ビリー・シーン/ブライアン・ベラ―/フィリップ・バイノー/ヘンリック・リンダー(b)、ヴィニー・カリウタ/ジェレミー・コルソン/テリー・ボジオ(d)、デイヴィッド・ローゼンタール(k)
【曲目】
①ティース・オブ・ザ・ハイドラ
②ゼウス・イン・チェインズ
③リトル・プリティ
④キャンドルパワー
⑤アポロ・イン・カラー
⑥アヴァランチャ
⑦グリーニッシュ・ブルーズ
⑧ナップサック
⑨サンドマン・クラウド・ミスト
⑩スワンプ・フェアリーズ (日本盤限定ボーナス・トラック)
“とても「ヴァイ的」だよね”と本人が語る10年ぶりの書き下ろしインスト・アルバム
未発表曲で構成された前作『モダン・プリミティヴ』から6年、書き下ろしのオリジナル・アルバムとしては『ザ・ストーリー・オブ・ライト』以来10年ぶりとなる新作。
右肩の手術とコロナ禍を経て発表された本作は、全体を貫くコンセプトやストーリーといった要素を排し、ステージで披露する意欲を重視して制作されたインストゥルメンタル・アルバムだ。
2021年の先行動画配信でインパクトを与えた⑧は、手術後に左手一本で演奏された異色作。2020年配信の④では、ヴァイ自身が“ジョイント・シフティング”と名付けた、浮遊感あふれるチョーキングの複合テクニックを披露している。
またアルバムでは④で、テリー・ボジオによる新録ドラム・トラックを採用。ドラマーはほかに、同じくザッパ・ファミリーのヴィニー・カリウタと、ツアー・メンバーでお馴染みのジェレミー・コルソンが参加している。
日本盤にはボーナス・トラックとしてインストの小曲⑩を収録。
(堀沢俊樹)
『バーン』
ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース
『Hell on Church Street』
Punch Brothers
『なんだかもう泣けてきて』
PhatSlimNevaeh
※本記事はギター・マガジン2022年2月号にも掲載されています。