イカサマイマサ
『夢の中へ』

昨日（2月16日）がアルバムの発売日だったこともあり、ここ最近はいわゆる“プロモーション”ってやつが少しばかり続く中、アコースティック・ギターの名手、押尾コータロー君のラジオ番組に出ません？という話が来た。スタジオでの生セッションもあるという。一も二もなく「出る！ やる！」と答えたものの、すっかり油断して都内だと思い込んでいた収録が大阪だったと知り、前夜にあわてて新幹線の切符を買いに走ったりと、久々にドタバタ状態で当日を迎えた。

アコギは嵩張るので少々移動の手際が悪い。ギグバッグを肩にかけ、よちよち歩きで改札を抜けつつ、持ち物確認。「特急券よし、コータロー君用の譜面よし、カポよし、ピックは財布の中と」座席最後部のスペースにギターを置き、ほっとひと息。“あ！歌詞プリントするの忘れた。ま、着いたらコンビニでプリントすりゃいいか”。

あれ？

コート叩いた。ジャケットの内ポケット探った。が、……ない。ショルダーバッグの底か？と見ると、サイドポケットのファスナーが全開になっている。家を出た時点では持っていたのに。

スマホが……ない！

 「やっちまったぁ。落とした」。ちょっと血の気が引いた。歌詞はもちろん、行き先のビル名やディレクターの名前もスマホに書き込んだ時点で安心してるから、うろ覚えなのだ。しかし今さらジタバタしてもしょうがない。“駅に着いたらどうにかなるさ”と、背もたれを倒し、ふーっと息を吐き、目を閉じる、が落ち着かない。やることがない！　以前は移動中はiPod（もはや懐かしい）で音楽を聴きながら持参した文庫本を読む、がお決まりだったのに。今じゃすっかりスマホ1台に頼りきって済ませていたことに、気づいてびっくり。たかだか2時間ちょいの間スマホを覗かない状態を、こんなに“た・い・く・つ・だ！”と感じるなんて、“俺、必要以上にスマホやSNSに浸りすぎかも”と新大阪駅に着く頃には思っていた自分に少し安心する。

コータロー君との初セッションも（肚くくったからか意外に歌詞とかも思い出せて）楽しかったし、無事にトークの収録も終え、速攻で復路。着いてすぐ遺失届けを出しに最寄りの交番へ。

電話を落としてるのに連絡先の電話番号を訊かれ、“一人暮らしの者はどうするんだろう”などといらぬ想像もしつつ、その他諸々を経て、今現在は紛失保険を適用して届いた同型の交換機で、これを書いている。バックアップ取ってなかったせいで、アドレス帳も、LINEの友達も、メッセージの履歴もまっさらの強制断捨離状態、これはいいこと？　悪いこと？　くやしいのは、曲や歌詞の思いつきを録音したり書き込んでいたデータも一緒に失くなったことかなぁ。

まだまだ探す気ですか？　いや、また新たな気分でひねり出すから大丈夫✌️　では、また。

いまみちともたか

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Profile

いまみちともたか

いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ＝“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。18年ぶりのソロ・アルバム『Uta-MONO』が、2022年2月16日にリリース。

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作品データ

『Uta-MONO Tomotaka IMASA Imamichi』
いまみちともたか

D.SKH-E／DSKH-2106／2022年2月16日リリース

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―Track List―

01. ブリキのギターに愛を込めて-Tin man’s Ax-
02. SPICY-月下絶頂美人-
03. The 80’s-エイティーズ-
04. -AREEGATO- あり~がとう
05. J@B T@LK
06. パレードは中止 -lockdown parade-
07. 夢遊 -dream play-
08. カリスマ-Charisma-
09. 嘘のようなマジな話 -Truth lies here-
10. ぼくらのバックナンバー -centerfold mystery-
11. All Okay
12. 「うまくやれ」-Reboot-
13. How Do You Do?

―Guitarist―

いまみちともたか