『アンリミテッド・ラヴ』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/04/2022-0416-disc-review-01-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
ジョン・フルシアンテ(g)、アンソニー・キーディス(vo)、フリー(b)、チャド・スミス(d)
【曲目】
①ブラック・サマー
②ヒア・エヴァー・アフター
③アクアティック・マウス・ダンス
④ノット・ジ・ワン
⑤ポスター・チャイルド
⑥ザ・グレイト・エイプス
⑦イッツ・オンリー・ナチュラル
⑧シーズ・ア・ラヴァー
⑨ジーズ・アー・ザ・ウェイズ
⑩ワッチュ・シンキン
⑪バスターズ・オブ・ライト
⑫ホワイト・ブレイズ・アンド・ピロー・チェア
⑬ワン・ウェイ・トラフィック
⑭ヴェロニカ
⑮レット・エム・クライ
⑯ザ・ヘヴィ・ウィング
⑰タンジェロ
⑱ナーヴ・フリップ (日本盤ボーナス・トラック)
ジョン・フルシアンテが帰ってきた!
全世界待望、6年ぶりのフル・アルバム
ついに我らがジョン・フルシアンテが帰ってきた! ジョン特有の“ねっちり感”のある枯れきった極上ビンテージ・トーンはもちろん健在。本来ならば全曲解説したいところだが、ここでは3曲をピックアップしよう。
ダーティなベース&ギターの絡みで幕をあける②では、もしやBOSSのDS-2か?と思わせるぶっとい音色が鳴り響く。歌に絡みつくロング・トーンやアウトロのスリリングなリードなど、まさしく代名詞のようなメロディを堪能できる。
また、いかにもレッチリらしいゴキゲン・ムードで骨太なドライブ・サウンドを鳴らすミディアム・チューンの⑨では、sus4やテンションを織り交ぜた新鮮なアプローチも楽しい。
そして⑩では、2Aなどで顕現するフリーとのユニゾン、アウトロのいかにもストラト的なギター・ソロの咆哮……これはもう盛り上がること必至だろう。
ジョンの神がかり的なセクションが満載すぎる全18曲。彼らの進化した屈強なアンサンブルを堪能せよ。
(伊藤雅景)
『Fear Of The Dawn』
ジャック・ホワイト
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【参加クレジット】
ジャック・ホワイト(vo,g)、他
【曲目】
①Taking Me Back
②Fear Of The Dawn
③The White Raven
④Hi-De-Ho(w/Q-TIP)
⑤Eosophobia
⑥Into The Twilight
⑦Dusk
⑧What’s The Trick?
⑨That Was Then (This Is Now)
⑩Eosophobia (Reprise)
⑪Morning, Noon and Night
⑫Shedding My Velvet
4年ぶりの新作は狂気と熱狂のレトロ・フューチャー・ロックンロール!
約4年ぶりとなるジャック・ホワイトの新作。
3年前のラカンターズの復帰作でも物凄いロックンロールを聴かせてくれたが、本作も1曲目「Taking Me Back」から強烈なジャック節が炸裂! ハードで泥臭いロックをベースにしつつ、世界観や音使いは完全にスペイシー……これはありそうでなかった新しいロックンロールの形だ。お馴染みのブチブチとしたオクターブ・ファズや耳を突き刺すピッチ・シフターを軸にしつつ、“これはギターの音なのか?”と思うような変幻自在なサウンドメイクも効果的に盛り込まれている。そしてなんとこの曲はジャックがすべての楽器の演奏を担当しているというのだから驚きだ。
ほかにはヒップホップ・ビートの「Hi-De-Ho」、ダブを取り入れた「Eosophobia」などもあり、聴いていて本当に楽しい。
7月にはフジロックでの来日、そして新作『Entering Heaven Alive』もリリースされるので、楽しみがいっぱいだ。
(小林弘昂)
『It’s the moooonriders』
ムーンライダーズ
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/04/2022-0416-disc-review-03-1024x1022.jpg)
【参加クレジット】
鈴木慶一(vo,g)、白井良明(g)、鈴木博文(b,g)、夏秋文尚(d)、岡田徹 (k)、武川雅寛(vln,tp)、 【ゲスト】佐藤優介、澤部渡、春風亭昇太、ゴンドウトモヒコ、DAOKO、xiangyu、 織田祐亮、東涼太、湯浅佳代子
【曲目】
①monorail
②岸辺のダンス
③S.A.D
④駄々こね桜、覚醒。
⑤雲と群衆
⑥三叉路のふたり
⑦親より偉い子供はいない
⑧再開発がやってくる、いやいや
⑨世間にやな音がしないか
⑩彷徨う場所がないバス停
⑪Smile
⑫私は愚民
11年ぶりのオリジナル・アルバム 気骨も気迫も充実の日本最古参ロック
無期限の活動休止、期間限定の活動休止の休止、再びの活動休止を経て、活動休止の休止(活動再開)を続行中のムーンライダーズ。その11年ぶりの新作アルバム。
もちろん、一筋縄ではいかない。野蛮でアバンギャルドで、頑徹で柔軟性に富んでいる。つまりは、様々なアンビバレンスが絶妙にコントロールされているのだ。
「駄々こね桜、覚醒。」や「親より偉い子供はいない」など、どこか江戸前の洒落っ気を感じさせるようなタイトルが並ぶ。このあたりのセンスはギタリストの白井良明の真骨頂でもあるのだけれど、ヘンテコな歌詞のあとにポップで極上のギター・フレーズを忍ばせたり、縦横無尽の仕掛けが施されている。
もしも70年代以降、日本に洋楽が入ってこなくなり、ロックがまったく独自の進化を遂げたのなら……。そんなパラレル・ワールドを感じさせてくれる作品集だ。これぞ現役最古参バンドの矜持、おいそれと老いぼれるわけにはいかない。
(小川真一)
『Alpha Games』
ブロック・パーティ
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/04/2022-0416-disc-review-04-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
ケリー・オケレケ(vo,g)、ラッセル・リサック (g)、ジャスティン・ハリス(b)、ルイーズ・バートル(d)
【曲目】
①Day Drinker
②Traps
③You Should Know the Truth
④Callum Is a Snake
⑤Rough Justice
⑥The Girls Are Fighting
⑦Of Things Yet to Come
⑧Sex Magik
⑨By Any Means Necessary
⑩In Situ
⑪If We Get Caught
⑫The Peace Offering
アルバムに彩りを与える多彩なアプローチのギター・アレンジ
2003年に結成され、フランツ・フェルディナンドらと共にポスト・パンク/ニューウェイブ・リバイバルの代表格として注目を集めたロンドン出身の4人組による通算6枚目。
前作『Hymns』からおよそ6年ぶりとなる本作は、プロデューサーにニック・ローネイ(アイドルズ、ヤー・ヤー・ヤーズ、アーケイド・ファイアなど)とアダム・グリーンスパンを迎え、バンド初期のヒリヒリとした緊張感溢れるアンサンブルへと回帰している。
ケリー・オケレケ(vo,g)とラッセル・リサック(g)が織りなす時に幾何学的なオーケストレーションが映える①や、ピクシーズ、テレヴィジョンあたりを彷彿とさせるフリーキーなサウンドの②④、トーキング・モジュレーションを用いたファンキーなカッティングが聴ける⑥など、曲ごとにアプローチを変えていくギターが印象に残る。
中でも⑦の、シンセによるエレクトロ・サウンドと有機的に混じり合うユーフォリックなギター・サウンドは必聴だ。
(黒田隆憲)
『SPRING HAS COME』
春畑道哉
『QUILT』
Rei
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/04/2022-0416-disc-review-09-1024x1024.jpg)
Guitar:Rei(vo,g,programming)、コリー・ウォン(g,k)、マーク・レッティエリ/長岡亮介/渡辺香津美(g)、尾崎博志(g,banjo,pedal steel)
これまでの音楽活動や人脈をギュッ!と詰め込んだコラボ作品
Reiの最新作は昨年スタートしたコラボレーション・プロジェクト“QUILT”の集大成的な作品。
コリー・ウォン、山崎まさよし、長岡亮介、藤原さくら、CHAI、細野晴臣、渡辺香津美など、スタイルや世代、国境を飛び越えた多彩な顔ぶれとコラボレーション。
様々なプレイヤーやレジェンドを相手に、果敢に挑んでいく姿はたくましく感じられる。
(関口真一郎)
『スキンティ・フィア』フォンテインズ D.C.
『Honey & Darling』
KANA-BOON
『ゲット・オン・ボード』
タジ・マハール&ライ・クーダー
ピードモント・ブルースの名デュオに捧げるタジ・マハールとライ・クーダーの共演作
60年代からの旧知の仲であるタジ・マハールとライ・クーダー。本作はその2人が影響を受けたピードモント・ブルースの名デュオ、サニー・テリー&ブラウニー・マギーの楽曲を集めたアルバム。
サニー・テリー&ブラウニー・マギーと言えば、ほのぼのとしたおおらかさが持ち味だが、まさにそんな雰囲気で、楽しそうにセッションしているのが印象的。
(関口真一郎)
『ア・ビット・オブ・プリヴィアス』
ベル・アンド・セバスチャン
混沌の時代にこそ色鮮やかに際立つ、インディー・ロック桃源郷の真価
ウクライナ紛争へのチャリティ・シングルとして緊急先行リリースされた「If They’re Shoothing At You」を含む、約2年半ぶりの11thアルバム。
呼吸と体温のように柔らかに織り上げられたギター・サウンドと、ポップ桃源郷の如き心地良いバンド・アンサンブルが、混沌の時代を闊歩する不屈のインディー・ロック精神を象徴するように深く胸に響く。
(高橋智樹)
『ゼイ・コール・イット・リズム・アンド・ブルース』
ザ・デューク・ロビラード・バンド
※本記事はギター・マガジン2022年5月号にも掲載されています。