新世代のシンガー・ソングライター/ギタリスト、崎山蒼志の連載コラム。1人のミュージシャンとして、人間として、日々遭遇する未知を自由に綴っていきます。 月一更新です。
デザイン=MdN
新作『i 触れる SAD UFO』の使用機材。
8月9日に崎山蒼志としてのメジャー3枚目のアルバム、『i 触れる SAD UFO』が出ました。前作から一年半空いて出たアルバムです。私の日常から垣間見える宇宙、そんな作品になった気がします。表題曲である一曲目なんかは特にSFチックに、「未知との遭遇」を歌った曲となりました。
機材との「未知との遭遇」をテーマに書いてきましたこの連載では、今回、アルバムで使用した機材や、その機材との出会い、この作品を作り見えてきたこと、やりたくなってきたことなど綴らせて頂ければなと思っております。
アルバムではおもにギブソンのLG-1と、メインのオベーション・アダマスを使い分けて、バッキングを録りました。この連載でもたびたび出てくる2本ですね。ギブソンのLG-1は、全体的に枯れたトーンと、中域が気持ちよく出るところが魅力的だと思っています。表題曲「i 触れる SAD UFO」でも、メインで使用しました。アダマスは、低域と高域がよく出ているギターです。ラインと混ぜて使用しました。10曲目の「Swim」という曲が、そのサウンドがわかりやすいんじゃないかなと思います。間奏はDanelectroのBack Talkというリバース・ディレイをかけて録っています。アコギ/エレアコによるサイケ的イメージのアレンジです。アコギという楽器のネイティブ感、源流感。これからもそういったアコギ・サイケみたいな試みは続けていきたいです。
表題曲の「i 触れる SAD UFO」という曲は、strymonのNIGHTSKYというペダルが肝でした。全体的に鳴っていますが、特にサビや、アウトロではそのサウンドを充分に聴くことができます。空間を作り出す、シマー・サウンドはステレオでライン出力し、アウトロではディケイをいじって、UFOに連れ去られるようなサウンドを作りました。とっても面白いペダルで、楽曲の上でオーロラみたいに鳴ってくれるので、今作では何度も使用しました。アルバムを語る上で、欠かせないペダルです。NIGHTSKYという名称も、宇宙・SFというテーマにぴったりです。
「collector//emitter」 というYouTubeチャンネルがありまして、非常にクリエイティブなエフェクターを、クリエイティブな使い方で紹介しまくるチャンネルで、日頃からよく観ていました。そこでのNIGHTSKYの使われ方に感動したのも、購入した大きな理由の一つです。その動画、自分も非常にインスピレーション頂きました。是非ご覧下さい。
あと、今作で使用した注目機材はGABBY! 新潟の楽器店で購入した赤ん坊の顔をしたテルミンです。
目が合ってしまって、、、購入しました。五曲目の「剥がれゆく季節に」のラスサビ以降で使われています。ラスサビの部分はIbanez Tube Screamerと、Death By Audioの Reverberation Machineをかけました。まるで雷さまの赤ちゃんが泣いているような、そんなサウンドになりました。
11曲目「太陽よ」は、6弦ドロップDチューニング。開放弦を交え、心のままにコードを組みました。渇いたミニマムな音像で、1番生々しい楽曲になった気がします。こちらもLG-1を使っています。
全体を通して、今作ではアレンジをする機会も多かったので、ギターのアプローチとしましても、自発的に様々な試みができた気がします。次作以降は、より様々な音の録り方、ミックスなど自分でも勉強し、取り組めたらいいなと思っています。現在自分が興味のあるジャンルはジャングルで、ジャングルのビートに、ギターのアルペジオが鳴っている曲なんかやってみたいです。なんにせよ、日々精進! 頑張ります! それといっぱい音楽に触れたい、ギターに触れたい!
著者プロフィール
崎山蒼志
さきやま・そうし。2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガー・ソングライター。2018年、15歳の時にネット番組で弾き語りを披露、一躍話題に。独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。