Live Report|Guitar magazine Presents TIME TO FUZZ(THE BOHEMIANS × おとぎ話)@新代田FEVER Live Report|Guitar magazine Presents TIME TO FUZZ(THE BOHEMIANS × おとぎ話)@新代田FEVER

Live Report|Guitar magazine Presents TIME TO FUZZ(THE BOHEMIANS × おとぎ話)@新代田FEVER

ギター・マガジンが主催し、2024年11月29日(金)に新代田FEVERで開催されたライブ・イベント『TIME TO FUZZ』。第1回目はTHE BOHEMIANSとおとぎ話による2マン・ライブとなった。当日の模様をレポートしよう。

文=ギター・マガジン編集部 ライブ撮影=小原啓樹

ギターをフィーチャーした
THE BOHEMIANSの特別セットリスト

ギター・マガジン主催のライブ・イベント、『TIME TO FUZZ』。記念すべき第1回目はTHE BOHEMIANSとおとぎ話の2マン・ライブとなった。この2組の対バンは2020年3月以来、約4年8ヵ月ぶり二度目である。

先行は、今年8月に3年ぶりの11thフル・アルバム『ultimate confirmation』をリリースしたばかりのTHE BOHEMIANS。この日はサポート・ドラマーとして楠部真也(Radio Caroline)が参加。オープニングはゴリゴリとしたギターのコード・ワークで押し進める「bohemian boy」からスタートし、鍵盤のなめらかなメロディと重厚感のあるバンド・サウンドが融合した「Jagger/Richards」へとなだれ込む。

THE BOHEMIANS

MCでは、平田ぱんだ(vo)が、おとぎ話との2マンができる喜びや、ギター・マガジン主催のイベントであるということをオーディエンスに強く語る。なんと20歳の頃にギターが弾きたくて初めて購入した雑誌がギター・マガジンだったそうだ。また、この日は“ギタマガのイベントなのでビートりょう(g)のギターをフィーチャーしつつ、グッド・メロディのおとぎ話に合わせたセットリストを意識した”そう。

ここからは新曲ゾーンに突入。ニュー・アルバムのリード・トラックでもある「the earnest」、ウィルコ・ジョンソンよろしくのカッティング・リフがメインの「マシンガン」、クイーンを意識したという「黄昏のマジックメロディー」といったUKロック・リスペクトのミドル・チューンが続く。

ビートりょう

この日のビートりょうの使用ギターは、お馴染みギブソンカスタムのES-335。軽やかなクランチ〜オーバードライブ、粘り気のあるリード・サウンドまで心地良いロック・サウンドだ。基本的にはシンプルなドライブ・サウンドが主体のビートりょうだが、ワウやコーラスを散りばめたフレーズ・ワークも非常に巧み。特にコーラスは、音源ではドライ・サウンドでレコーディングされた部分でも積極的にかけており、ムーディな雰囲気がインパクト大だった。

ライブ中盤では久しぶりに初期のナンバー「THE LENS」が披露され、ビートりょうのロング・ギター・ソロが炸裂。ギター・ソロでも音場が寂しくならないのは、本間ドミノ(k)のブルージィな伴奏、星川ドントレットミーダウン(b)のメロディアスなベース・フレーズによるところもあるが、やはりビートりょうのタイトなリズム感と、図太く芯があるESサウンドが存在するからこそ。ライブハウスでの生のアンサンブルを通して、そういった魅力にもまた気がつけた。

終盤では、「the reasons」、「male bee, on a sunny day. well well well well!」、「GIRLS(ボーイズ)」などのライブ定番曲が目白押しなアッパー・セクションに突入。何度何度も耳にした楽曲たちも、楠部真也のロックンロール・ドラムの魔法がかかり、いつもとは違ったスピーディな表情を見せる。ビートりょうはそのビートに身を任せ、帽子を何度もふり落としながら右肩上がりのアグレッシヴなステージングを披露していく。

ラストは、シンプルな泣きリフとメロディ・ラインのかけ合いが印象的な代表曲「THE ROBELETS」で終了。THE BOHEMIANS全員の人間的な魅力、アーティストとしての“骨太さ”を感じたライブだった。

平田ぱんだ
星川ドントレットミーダウン
本間ドミノ
楠部真也
ビートりょう
平田ぱんだ&ビートりょう
平田ぱんだ&ビートりょう
THE BOHEMIANS

オルタナティブ・ツイン・ギターが織りなす
摩訶不思議な“おとぎ話”の世界

おとぎ話

『TIME TO FUZZ』の後攻はおとぎ話。ニュー・アルバム『HELL』の1曲目「恋は水色」からライブがスタートし、冒頭から牛尾健太(g)のギター・ヒーロー感MAXなチョーキング・リフが響き渡る。

牛尾健太

牛尾のメイン・ギターは、お馴染みTVイエローのギブソンカスタム製SGスタンダード。対して有馬和樹(vo,g)が使用するギターはギルドの65年製Strafire Ⅲ。そして2人ともアンプ2台鳴らしというところが、おとぎ話のライブ・サウンドの特徴の1つだろう。ステージで鳴っているギター・アンプは合計4台と多いが、ホールに届くギター・サウンドは不思議と明瞭で、分離感がある。

中盤に差しかかるところで披露された「I♡PIG」、「きゅーと研究会」などのパワー感のある楽曲では、アンプ2台体制ならではのステレオ感やファズを踏んだ時の迫力が凄まじかったのは言うまでもない。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジやスマッシング・パンプキンズからの影響が色濃く出ており、そういったバックグラウンドを見つけるのもライブでの楽しみの1つだ(話が前後するが、THE BOHEMIANS「GIRLS(ボーイズ)」のアイリッシュなリフはロッド・スチュワートの「Maggie May」、プライマル・スクリームの「Country Girl」、どちらからインスパイアされたのだろうか……?)。

さて、おとぎ話はアグレッシブなセクションから一転し、「DEAR」からムーディーでリズミカルな楽曲群へ。牛尾の歌の間を縫うような裏メロ、アルペジオ、リフが楽曲を牽引していく。また、「繊細」や「です愛」などのクリーン寄りな楽曲での有馬のコード・プレイがこれまた絶品。くぐもった、メロウなStrafire Ⅲのサウンドもさることながら、“優しいピッキングなのにアタックはタイト”という絶妙なプレイなのだ。フレーズも単なるコード弾きというわけではなく、随所に気の効いたリックが散りばめられており、まさに“わかる人にはわかる”、超玄人なギター・プレイ。

有馬和樹

ライブも後半に差しかかり、「Boys don’t cry」、「正義の味方」、「光の涙」と、徐々に景色が晴れていくような開放感のあるロック・チューンが続く。牛尾が静かな楽曲やセクションで弾いている、さりげないフレージングも非常に心地良いが、やはり彼の真骨頂は往年のUKロックへのリスペクトを感じる、いなたく熱いリフ&ギター・ソロだろう。

おもなソロや単音フレーズで牛尾はRam’s Head Big Muff Piを踏んでおり、そのカラッとしつつもミドル感が詰まったファズ・サウンドは、まさにギター・ヒーローであり主人公。「光の涙」では新代田FEVERの柵に登り、天井の柱を掴みながら、ピッキングをしない左手オンリーのソロ・パフォーマンスを披露した。

最後の曲は「COSMOS」。ラストは有馬と牛尾によるソニック・ユースばりのノイズ・ギターで締めくくられた。牛尾のギターに関して言うと、アグレッシブな一面と、歌メロのうしろで“引きつつ弾く”スタイルの二面性が光るステージングだった。

おとぎ話
牛尾健太
有馬和樹
風間洋隆
前越啓輔
有馬和樹
牛尾健太

最後はおとぎ話の代表曲
「SMILE」をセッション!

おとぎ話 with 平田ぱんだ、ビートりょう、ギタマガ小林

アンコールでは、おとぎ話にTHE BOHEMIANSの平田ぱんだとビートりょう、そしてギタマガWEB編集部の小林が加わり、おとぎ話の代表曲「SMILE」をセッション。

有馬と平田ぱんだが交互にボーカルを取り、ビートりょうがリッケンバッカーの12弦ギターでメロディを重ね、ギタマガ小林がギブソンJ-200でキラキラした倍音を加えるという、多幸感のあるアレンジに仕上がった。

牛尾とビートりょうの対談で、牛尾は“(セッションで)本当は「Hotel California」とかがやりたい”と話していたが、実はビートりょうからの提案でアンコールでのセッション曲は一度COMPLEX「恋をとめないで」に決まりかけた。しかし、平田ぱんだの要望で最終的に「SMILE」になったそうだ。ライブ後、有馬は“「恋をとめないで」のリベンジまでいくつもりです!”と発言していたので、次回THE BOHEMIANSとおとぎ話の対バン・イベントが行なわれる際は「恋をとめないで」のセッションが観られるかもしれない。

TIME TO FUZZで、ビートりょう、有馬和樹、牛尾健太が使用した機材は、後日ギタマガWEBの会員限定記事にて公開予定。そちらもお楽しみに!

おとぎ話 & THE BOHEMIANS

TIME TO FUZZ

THE BOHEMIANS

【Setlist】
01. bohemian boy
02. Jagger/Richards
03. the earnest
04. マシンガン
05. 黄昏のマジックメロディー
06. the fanfare
07. 明るい村
08. THE LENS
09. the reasons
10. male bee, on a sunny day. well well well well!
11. GIRLS(ボーイズ)
12. THE ROBELETS

おとぎ話

【Setlist】
01. 恋は水色
02. ネオンBOYS
03. 美
04. I♡PIG
05. きゅーと研究会
06. DEAR
07. 繊細
08. です愛
09. Boys don’t cry
10. 正義の味方
11. 光の涙
12. COSMOS

-Encore-
13. SMILE(with 平田ぱんだ、ビートりょう、ギタマガ小林)