自分独自のコード・フォームを作る 初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第24回 自分独自のコード・フォームを作る 初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第24回

自分独自のコード・フォームを作る 
初心者集まれ! 指板図くんのギター・コード講座 第24回

今回は、コード・ブックには載っていないようなコード・フォームを自分で作る方法を紹介します。

文・図版作成=ギター・マガジン編集部

前々回前回では、自分の知っているコードを変化させて、別のコードのフォームを作る方法を説明しました。今回はこれを発展させ、自分でまったくのイチからコード・フォームを作る方法を紹介します。この方法を覚えると、コード・ブックには載っていないような、自分独自のフォームを作ることもできるようになります。

題材とするコードはC△7です。

予備知識

独自のコード・フォームを作る時に、まず必要となる知識は、そのコードの構成音です。今回はC△7を作りますので、その構成音を確認しておきましょう。

次の表のとおり、C△7はドを’1’(ルート)とし、’1・3・5・7’(ルート・長3度・完全5度・長7度)で出来ています

コード名構成音
C△71357
ルート長3度完全5度長7度

もう1つ必要な知識は、ドを’1’とした場合の指板上での各音の配置です。これは次の図のとおりです。

この図をすぐに丸暗記するのは難しいでしょうが、Cメジャー・スケールを弾く練習を重ねることで覚えられます。

※Cメジャー・スケールについては「第4回:Cメジャー・スケールを覚えよう」をご覧下さい。

フォームの作り方

C△7のフォームを作る手順はいたって単純で、Cメジャー・スケールの音の配置図の中から、’1・3・5・7’を指が届きそうな範囲で探して組み合わせるだけです。ただし組み合わせ方がまずいとC△7には聴こえないこともあります。そこで、次の4つのポイントもあわせて覚えて下さい。

  1. 一番低い音は’1’にする。
  2. その上の’1’、’3′‘5’‘7’はどんな順番でもかまわない。
  3. ‘1’‘3’‘5’‘7’のいずれかが複数あってもかまわない。
  4. ‘5’がなくてもかまわない。

一般的なフォームで確認

まずはコードブックに普通に載っているコードが、上記の規則で作られているかどうかを確認してみましょう。例を5つを挙げます。

▲ロー・コード。5弦から1弦に向かって’1-3-5-7-3’。’3’は2箇所にある。
▲5弦3フレットをルートとするハイ・コード。5弦から1弦に向かって’1-5-7-3-5’。’5’は2箇所にある。
▲6弦8フレットをルートとするハイ・コード。6弦が’1’で、4弦から2弦に向かって’7-3-5’。
▲4弦10フレットをルートとするハイ・コード。4弦から1弦に向かって’1-3-5-7’。
▲4弦10フレットをルートとするもう1つのハイ・コード。4弦から1弦に向かって’1-5-7-3’。

以上の5つのフォームが、どれも’1・3・5・7’の組み合わせでできていることがおわかりいただけたと思います。

また、一番低い音が’1’になっていることや、一番低い’1’以外は順番がまちまちであること、そして5本の弦を鳴らすフォームにおいては、’3’や’5’が2箇所にある点にも気付いたと思います。

独自のフォームの作り方

次は自分独自のフォームを作ってみましょう。

先に書いたとおり、Cメジャー・スケールの音の配置図の中から、’1・3・5・7’を指が届きそうな範囲で探して組み合わせるだけでC△7は出来上がります

このすぐあとに筆者が思いついた例を紹介しますが、できればまずは自分で次の配置図(先程のものと同じです)を見ながら、上記の5つとは違うフォームを見つけてみて下さい。きっと色々なC△7のフォームが発見できると思います。

では筆者が思いついたフォームの例を6つ紹介します。

▲5弦、4弦、3弦のみでできたフォーム。’5’は省略。
▲上の例に2弦で’3’を加えたフォーム。4弦2フレットの’3’と2弦5フレットの’3’がオクターブで鳴り、ふくよかな響きになる。
▲小指のストレッチが必要なフォーム。音域が広い。
▲高音弦3本だけのフォーム。’5’は省略。軽い響きでカッティング向き。
▲6弦を親指で押さえたフォーム。軽めの高音部に、6弦の重い響きが加わる。
▲小指のストレッチが必要。2弦と1弦が半音でぶつかる。アルペジオ向き。

以上、6つのフォームを紹介しました。

ところでC△7というコードの面白いところは、その構成音のうちの’5’は3弦、’7’は2弦、’3’は1弦の開放で鳴らせるというところかと思います。そこで、開放弦をからめたフォームも2つ考えてみました。

▲2弦と1弦はミュートではなく開放。3弦と2弦が半音でぶつかる。2弦よりも3弦のほうが音が高いのもポイント。アルペジオ向き。
▲2弦と1弦はミュートではなく開放。4弦と2弦、3弦と1弦がそれぞれユニゾンになり、音に厚みが出る。

なお、この2つの例のように「押さえるポジションはハイ・ポジションでありつつ、そこに開放弦も加えたコード」を「オープン・ハイ・コード」という名で呼ぶこともあります。

さて、筆者が思いついた例としてもう1つ、12フレットでの「ハーモニクス」を使ったものも紹介します。図の中の菱形がハーモニクスのポイントを表しています。

▲12フレットのハーモニックスを利用したフォーム。澄んだ響きがする。


ハーモニクスは、弦長の1/2、1/3、1/4~の位置に左手の指を軽く触れさせて右手でその弦をはじき、ほぼ同時に左手を弦から離すと鳴ります。“ポーン”とか“ピーン”などと形容されるように、澄んだ音が出ます。また、弦長の1/2、1/3、1/4の位置はどこにあるかというと、12フレット、7フレット、5フレットの真上です。

上のフォームの例は、そのうちで一番鳴らしやすい12フレットのハーモニクスを利用したものです。音の高さは3弦、2弦、1弦の12フレットを普通に押さえた時と同じですが、ハーモニクス特有のサウンドになります。

付録:「指板図くん」でフォームを作ってみよう

今回紹介したコード・フォームの作り方は、自分で実際にギターを持ちながら試すことをお薦めしますが、手元にギターがない時は、ギターコード指板図くんの「作ろう! マイコードブック」をご利用下さい。このアプリには、自分でフォームを作る機能やコード名を判定する機能、サウンド機能などがありますので、今日覚えたことがバーチャルに体験できます。

使い方を説明します。まずパソコンで「作ろう! マイコードブック」にアクセスして下さい。

作ろう! マイコードブック
https://guitarmagazine.jp/mychordbook/

*本アプリはパソコン用です。

音声ファイルのロードが完了すると、次の図と同じ画面になります。なお赤い文字と枠線は説明用に入れたものなので、実際には表示されません。

最初は6弦の部分に灰色の帯がかかっています。この帯はルートにする弦がどれかを表しています。

次に左側の「ルート弦選択」と書かれているところで、「5弦」のボタンをクリックします。これで灰色の帯が5弦に移動します。なぜここで5弦を選択しておくのかというと、5弦3フレットのドをルートとしたフォームを作るからです。

次に指板上の5弦3フレットの位置をクリックして下さい。その位置にルートを表わす二重丸が表示されます。

次に「指板ガイド」の選択ボタンで、「度」をクリックします。これにより、指板上には1234567の番号が現われます。これはC音をルートとした場合の各弦各フレットの度数で、つまり今日紹介した配置図と同じものです。

次にルートとした5弦3フレットに近い位置で、1、3、5、7の数字が付いたところを見つけ、適当に選んでクリックします。コードがC△7になると、指板図の上に「C△7」と表示されます。

フォームが完成したら、「自動ストローク」ボタンをクリックして下さい。これで音が鳴ります。自分で作ったフォームがどんな響きになるかを確かめましょう。

他のフォームも作ってみて下さい。例えば次の図はオープン・ハイ・コードのC△7の完成図です。

次の図もC△7のフォームです。このように人の手では押さえられないような極端なフォームも作れます。

「作ろう! マイコードブック」をこのように活用すれば、独自のフォームを簡単に見つけることができようになるでしょう。

次回は今回の続編として、コード・フォームをより素早く見つけるために役立つノウハウを紹介します。

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本講座を書籍化した本です。オールカラーで144ページ。電子書籍もあります。

【CONTENTS】
◎コードとは?コード進行とは? 
◎Cの構成音と、いろいろな押さえ方 
◎C6、C7、C△7の構成音と、いろいろな押さえ方 
◎Cメジャー・スケールを覚えよう 
◎ルートとは?度とは? 
◎コードの構成音一覧 
◎三和音とは? 
◎四和音とは? 
◎テンション・コードとは? 
◎omit3とは?add9とは?sus4とは? 
◎分数コードとは? 
◎続・分数コードとは? 
◎コードは平行移動で覚えよう 
◎続・コードは平行移動で覚えよう 
◎フレット数の書かれていないコード・ブック 
◎続・フレット数の書かれていないコード・ブック 
◎コード・フォームを自分で作る 
◎続・コード・フォームを自分で作る 
◎自分独自のコード・フォームを作る 
◇巻末スペシャル:Fコードの押さえ方と攻略法
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