ギタリストならではの、目からウロコな作曲法があふれ出す!
文:いちむらまさき イラスト:花くまゆうさく
*この記事は書籍『ギター作曲100の裏ワザ 知ってトクするおもしろアイディア&ヒント集』(2010年/リットーミュージック刊)の内容を転載したものです。
変わった音程のコードを見つけるには ➡ とりあえずメロディを弾いてみよう
上の譜例のようなメロディを思いついたとしましょう。譜面にすると一目瞭然、1個所だけに「♯」が付いているので、その部分はダイアトニックではないコードだと分かります。ただし、先ほども述べたように、ほとんどの人の脳内には音程感覚があるので、訓練すれば譜面が書けなくてもそれを探すことができるようになります。
譜例の場合、2小節目から奇数拍だけを見ると「ソ、♯ソ、ラ」という流れがあります。そして「?」部分の「ミ、#ソ、シ」をフレットで押さえてみると、EかE7のフォームですね。おおよその場合、こうしたちょっと変わった進行を使ったらセブンスでダイアトニックに戻してやるとしっくりくるので、E7がベストでしょう。メロを弾いてみると、コードが分かるという例です。ちなみに、3小節目はラがコード・トーンのAmかA、Fなどが選べます。
このようなことは、既成曲で気に入った曲を徹底的に研究することで発見できます。例えば、森田童子さんの「ぼくたちの失敗」が、こんな感じの進行です。
筆者がこれまでに既成曲を弾いてみて、とても面白いコード進行だと思った曲に矢野顕子さんの「春咲小紅」という曲があります。この曲はEキーでありながらAコードで始まる、サビからスタートする曲で、Eのダイアトニックではないコード満載です。「EキーながらAキーでスタートして、Cキーへの部分転調もありつつ、Eで終わる」という複雑な進行なのに、メロディもコード進行も、まったく違和感がないのです。
この曲からは「最初のコードがキーだとは限らない」ということや、部分転調する際のつなぎコードの選び方が学べます。
歌本を開いてみて「うわぁ、この曲、難しい」と思った曲こそ、作曲上達のヒントが隠されています。避けずにトライしてみてほしいです。もちろん、素直なダイアトニックだけの曲も、何曲か知っていった後でOKですけれど。
『ギター作曲100の裏ワザ 知ってトクするおもしろアイディア&ヒント集』
著者 | いちむらまさき |
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品種 | 電子書籍 |
紙版発売日 | 2010.03.19 |
紙版ISBN | 9784845617968 |
いちむらまさき プロフィール
岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。
様々な雑誌に記事を書きつつ、『ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論』、『楽譜を見えるのがうれしくなる方法とプレイに直結させるコツ』、『音楽理論がおもしろくなる方法と音勘を増やすコツ』、『コード進行を覚える方法と耳コピ&作曲のコツ』、『ピアノでコードを覚える方法とほんの少しの理論』、『ギターを弾いているだけで音感がアップする方法』、『ブルース・ギターをはじめる方法とプレイ幅を広げるコツ』、『ギター・スケールを覚えないでアドリブをはじめる方法』、『ウクレレのお手入れ&お手軽カスタマイズを楽しむ本』、『ジャズコで聴き比べる歪みエフェクター97』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本 リズム強化編』、『ギター上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDエレクトリック・ギター』、『アコギ上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100の裏ワザ』、『ライブ上達100の裏ワザ』、『ウクレレ上達100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDウクレレ』、『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』、『ギターで作曲する方法とほんの少しのコード理論』(すべてリットーミュージック刊)などを執筆。
東京でギター/ウクレレ楽器教室も。