2025年4月に日本武道館で2年ぶりの来日公演を行なったエリック・クラプトン。追加公演も含めると合計8日間もライブが行なわれ、日本武道館110回公演も達成した。本記事では、今回の来日公演のステージに用意されていたエリック・クラプトンのストラトキャスターを紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モーリー 機材撮影=西槇太一
Eric Clapton’s Guitars
Fender Custom Shop MBS
Eric Clapton Stratocaster Dunkel Blau
by Todd Krause
2024年から使い続けるメイン・ギター
今回の来日公演でのメイン・ギターは、クラプトンの愛車であるポルシェのカラーを再現したダーク・ブルーのストラトキャスター。長年クラプトンを担当するマスタービルダーのトッド・クラウスが製作したもので、2024年から使用している。シリアル・ナンバーは“CZ578294”。ギター・テックのダン・ディアンリー曰く、“ライブ中に弦が切れない限りは使い続ける”とのこと。
ボディはアルダー、ネックはメイプル1ピースという材構成。クラプトン・モデルはフェンダー・ギターとしては珍しく、22フレットが打たれている。ピックアップはVintage Noiselessを3基搭載し、ピックアップ・セレクターは3way。通常のクラプトン・モデルにはお馴染みのTBXコントロールは未搭載だが、ミッド・ブーストはそのまま採用されている。つまりコントロールは、上からマスター・ボリューム、マスター・トーン、ミッド・ブーストというレイアウト。

弦はすべてのギターにErnie BallのRegular Slinky #2221(.010〜.046)を張っており、チューニングはレギュラー。
ストラップはエルメス製。

Fender Custom Shop MBS
Eric Clapton Stratocaster Almond Green
by Todd Krause
以前のメインはサブとしてスタンバイ
こちらは今回サブとして用意されていた、アーモンド・グリーンのストラトキャスター。本器のカラーはクラプトンの愛車、アストン・マーティンと同じカラーとのこと。2019年から使用している1本だ。シリアル・ナンバーは“CZ535752”。
ダン・ディアンリー曰く、本器のスペックはメイン・ギターと同じで、ピックアップ・セレクターは3way、TBXコントロールは未搭載、ミッド・コントロールのみが採用されているとのこと。

本器のストラップもエルメス製で、メインのダーク・ブルーとサブのアーモンド・グリーン、それぞれ合わせたカラーになっているそうだ。

Fender Custom Shop MBS
Eric Clapton Signature Stratocaster
by Todd Krause
“The Flag Guitar”
パレスチナ国旗にリフィニッシュ
2023年12月にロンドンで行なわれたパレスチナ支援イベント、『To Save A Child』で初披露されたストラトキャスター、通称“フラッグ・ギター”。
もともとはクラプトンの倉庫に眠っていたオリンピック・ホワイト・カラーのストラトキャスターだったが、『To Save A Child』のためにクラプトンがアイディアを出し、ダン・ディアンリーの知人によってパレスチナ国旗にリフィニッシュされた。シリアル・ナンバーは“R129765”。
本器もVintage Noiselssを3基搭載、ピックアップ・セレクターは3way、TBXコントロールは未搭載、ミッド・コントロールのみが採用されている。

Fender Custom Shop MBS
Eric Clapton Stratocaster Daphne Blue
by Todd Krause
ウォームアップ用の1本
10〜15年ほど前に入手したというダフネ・ブルーのストラトキャスター。シリアル・ナンバーは“CZ510994”。ウォームアップ用のギターで、ライブでは使用されない。
本器もクラプトン・モデルだが、ピックアップはVintage Noiselessではなく普通のシングルコイルが搭載されており、TBXコントロールとミッド・ブーストも未搭載という珍しいスペック。
ちなみにクラプトンは楽屋でウォームアップする際、アンプにはつなげず生音だけでプレイするそうだ。ストラップはJim DulopのD07-01BKが付けられていた。

Pick

ピックはErnie Ballのティアドロップ型で、厚さはHeavy。一般でも発売されているものにプリントをしたのだという。ダンは“少なくとも20年以上はサイズ、厚さ、ブランドが変わっていない”と語っていた。