小林祐介(The Novembers)が2026年6月のワンマン・ライブで使用したペダルボードを本人が解説! 小林祐介(The Novembers)が2026年6月のワンマン・ライブで使用したペダルボードを本人が解説!

小林祐介(The Novembers)が2026年6月のワンマン・ライブで使用したペダルボードを本人が解説!

2026年5月にEP『合奏する、エンジン』をリリースしたThe Novembers。6月4日(木)Zepp DiverCityにて行なわれたワンマン・ライブにて、小林祐介(vo,g)とケンゴマツモト(g)の機材撮影を行なった。本記事では、小林祐介が当日使用したペダルボードを本人の解説とともにご紹介。

取材・文=森部真衣/三木深 機材撮影=星野俊

Kobayashi’s Pedalboard

出力を4系統に分岐する
2枚組のボード

【Pedal List】
①One Control / LEMON YELLOW COMPRESSOR 4K(コンプレッサー)
②KORG / Pitchblack X(チューナー)
③Shigemori / MIGHTY STONE DISTORTION(ディストーション)
④Keeley / BD-2 Phat Tube Mod.(オーバードライブ)
⑤One Control / Crocodile Tail Loop OC10(プログラマブル・スイッチャー)
⑥KarDiaN / C6H8O6 Vitamin C(ファズ)
⑦Eventide / PitchFactor(ピッチ・シフター)
⑧BOSS / DD-2(ディレイ)
⑨Phantom fx / Cure Chorus(コーラス)
⑩Electro-Harmonix / POG(ピッチ・シフター)
⑪DigiTech / HardWire RV-7(リバーブ)
⑫TECH21 / SansAmp Bass Driver DI(ベース用プリアンプ/DI)
⑬DigiTech / DigiVerb(リバーブ)
⑭BBE / Sonic Stomp Maximizer(マキシマイザー)
⑮TECH21 / SansAmp Bass Driver DI(ベース用プリアンプ/DI)
⑯StudioDaydream / JCTBx4/MD V6(ジャンクション・ボックス)
⑰K.E.S / KIP-001(パワー・サプライ)
⑱One Control / Distro Tiny Power Distributor(パワー・サプライ)
⑲CAJ / AC/DC Station ver.2(パワー・サプライ)
⑳audio-technica / VP-01 SLICK FLY(マイク・プリアンプ)
㉑BOSS / RE-2(ディレイ)

ギターからの信号は、まず①〜④を直列で経由し、⑤Crocodile Tail Loop OC10へと接続される。⑤OC10の各ループに接続されているペダルは以下のとおり。

・Loop 1=⑥Vitamin C
・Loop 2=⑦PitchFactor
・Loop 3=⑧DD-2 → ⑨Cure Chorus
・Loop 4=⑩POG
・Loop 5=⑪RV-7
・Loop 6=⑫SansAmp(→ PAへ)
・Loop 7=⑬DigiVerb(→ BJF-S66へ)
・Loop 8=⑭Sonic Stomp Maximizer → ⑮SansAmp(→ PAへ)

その後、⑤OC10のOUT8(全ループの出力)から⑯JCTBx4/MDのLINE-1を経由し、1台目のアンプ(Mesa/Boogie Dual Rectifier)にインプットされる。

また、⑤OC10でDual Rectifierのチャンネルを切り替えるため、S9(アンプのチャンネル切り替え)から⑯JCTBx4/MDのLINE-2を経由し、Dual RectifierのEXTERNAL SWITCHINGのCHAN 1へ。S10(アンプのチャンネル切り替え)から⑯JCTBx4/MDのLINE-3を経由し、Dual RectifierのEXTERNAL SWITCHINGのCHAN 3に接続されている。

また、Loop 7にループされている⑬DigiVerbのOUT2からは⑯JCTBx4/MDのLINE-4を経由して、2台目のアンプ(One Control BJF-S66)にインプット。

さらに、⑫⑮SansAmpは、どちらもXLR OUTPUTからライン信号がPA卓に送られている。つまり、2台のアンプと2つのライン回線で、アウトは合計4系統となる。

①LEMON YELLOW COMPRESSORは今回のツアーから導入し、当初は「みんな急いでいる」だけで使用する予定だったそうだ。しかし、後段の歪みペダルとの相性が良かったこともあり、この日のライブではオンにしている楽曲のほうが多かったという。

過去のインタビューで“音抜けが一番”だと話していた③MIGHTY STONE DISTORTIONは、RED chのDISTノブを下げてほとんど常にオンで使用。

小林が長らく愛用している④BD-2 Phat Tubeは、“ハイを上げて音を立ち上げる役割”として要所要所でブースター的に踏んでいる。

⑦PitchFactorは多くの楽曲で登場しており、特に“Crystals”と“H910 / H949”というモードをよく使用しているという。⑩POGとはピッチの解析方式が異なるため、後段に接続するペダルとの相性に応じて使い分けているとのこと。

⑧DD-2と⑨Cure Chorusは、小林のペダルボードがこの形になる前からセットで使用しているというお気に入りのペダル。“好きな空間形のイメージがDD-2とCure Chorusという風にできあがってしまっている”と語っていた。

メインのリバーブは⑪RV-7。楽曲によりReverse、Hall、Springという3つのモードを使い分け、それぞれDecayを長めにかけて使用している。

⑬DigiVerbは基本的にオフの状態で、オンにすることで本機のOUT2から接続されたBJF-S66に信号が流れることになる。リバーブについては、⑪RV-7とは対照的に、短めのタイム感に設定しているとのこと。

⑫SansAmpは、高域に特化したセッティングにしており、ギター・ソロやホワイト・ノイズの際に使用しているようだ。反対に、⑮SansAmpは低域に特化したセッティング。Dual RectifierとBJF-S66の組み合わせに、低域と高域を担当する2台のSansAmpの出力が加わることで、ワイド・レンジな音色を得ることができるという。

⑳VP-01 SLICK FLYとケンゴマツモトから借りているという㉑RE-2はどちらもボーカル用で、ギターのシグナル・チェーンには含まれていない。ボーカルのマイク・ケーブルは⑳VP-01 SLICK FLYのINへ接続され、本機のセンド/リターンに㉑RE-2をループ。⑳VP-01 SLICK FLYのOUTからPA卓へと信号が送られる。

Interview

もともとは“ギターのサウンドは全部手元で”
っていう派閥だったんです。

One Controlのコンプレッサー(①)を導入した理由は?

今回のツアーの1曲目「みんな急いでいる」を、いつものクリーンのセッティングで柔らかく弾いても、トゥーマッチな音量になってしまうという悩みがあったんです。その曲だけ音量を下げて、“強くピッキングするんだけど音量は出さない”っていうセッティングにしてしまうと、クリーン・トーンが生き生きと鳴らず、ただスピーカーから再生されているという印象で、あまり音楽的な表現じゃないというジレンマがあったんですよね。

もともとは“ギターのサウンドは全部手元で”っていう派閥だったんですが、そうなった時に“コンプレッサーを導入したほうがいいんじゃない?”とアドバイスをもらい、4〜5台くらい試したんです。臨機応変になんでもできるコンプだと沼っちゃうんですけど、LEMON YELLOW COMPRESSORはシンプルなコントロールで使いやすかったり、変な味付けもないことがコンプ初心者の僕にすごく向いていて、それで導入したんです。

常時オンにしているわけではないんですね。

今回は1曲目だけオンにして、それ以降はオフにしようと思っていたんですよ。でも、コンプをかけることで後段の歪みペダルのニュアンスまで変わってきたんです。音色が少しピーキーになりすぎる場面でも、余計な角をほどよく丸めてくれるというか。“ガコン!”と前に出したい時はしっかり出てくれるし、そうでない時は自然になだらかに整えてくれる。そのバランスがちょうどよかったので、結果的には踏みっぱなしにしている曲のほうが多かったですね。

PitchFactor(⑦)で使用しているモードは?

本当にいろんな曲でいろんなモードを使っているんですけど、一番多いのは“Crystals”。あとは“H910 / H949”という、音がライザーっぽく“ドゥドゥドゥドゥ↑”って上がってくものとか、一瞬ベンドしたみたいに“デューン↓”って下がるみたいなモードを使っている曲もあったりします。あとは、ハーモナイザーとして3度やオクターブの5度とかを足して、1音だけ弾いてハープシコードみたいな音色にする曲もあるし、けっこういろいろ使っていますね。

POG(⑩)との使い分けは?

4系統のすべての回路を鳴らして、ホワイト・ノイズの壁みたいにするっていう時は、やっぱりPOGでオクターブ上と下を足しますね。あとは、POG自体でもちょっと歪むんですけど、それで独特の歪み感を作るっていうのがPOGの一番の使い方で、ギター・ソロでも使います。

POGだったら、歪みで“ガーン!”って鳴らした時に気持ちいい質感が出るんですけど、PitchFactorだともっとケバケバしくなっちゃって。原音に対する追従機能も仕組みが全然違うんですよね。

原音への追従性の違いを詳しく教えてもらえますか?

歪ませた時にPOGだとストレスなくユニゾンしてくれるんですけど、PitchFactorの方はちょっとケロる瞬間だったり、オクターブの塩梅みたいなものが微妙に合わない時があるんです。タイム感が違ったものがあとから聴こえたりとか、同時に鳴らしてるはずだけど先に聴こえたり、デジタルならではの融通の効かなさみたいなものがあるんですよね。でもそれが良いように転ぶ時もあって、PitchFactorではそういうニュアンスを重宝しています。ケンゴ君で言う、Whammyを踏み切った瞬間にちょっと上手くいかない、みたいな感じ。それがむしろ良いと思える時に使いますね。

体の一部みたいになっていて、
替えが効かなくなっている感じです。

以前から戸高賢史さんが製作したCure Chorus(⑨)を使用していますが、どんなところが気に入っていますか?

いろんなコーラスを使ってきたんですけど、やっぱりCure Chorus独特の、ツマミをどこにしても好みの音が出るところが気に入っています。

コーラスって甘美な世界に行きやすい音色だと思うんですけど……これは語弊があるからなんとも言えないんですけど……“変なV系”みたいになっちゃうのが嫌なんですよね(笑)。僕はV系を通ってるから、好きなV系のコーラス・サウンドがもちろんあるんです。ゴシックな感じとかね。でもそうじゃなくて、軽薄で嫌なコーラス感って明確にあるんですよ。で、その嫌なところが戸高さんのペダルにはないんです。文字どおり、ザ・キュアーみたいなイメージの音色というか。

Cure ChorusとセットでDD-2(⑧)も昔から使用していますよね。

DD-2は、僕が高校生ぐらいの時に初めて買ったデジタル・エフェクターで、もう慣れ切ってしまっていますね。タイム感とか、“この辺のノブだと、どの曲でも合う気がする”とか、体の一部みたいになっていて、替えが効かなくなっている感じです。DD-2って変なディレイで、戻ってくる音がそんなにキレイじゃないんですよ。ちょっとにじんでいたりして、そういうところも気に入っています。

僕の中での好きな空間系のイメージっていうのが、DD-2とCure Chorusという風にできあがっていますね。前の前のボードくらいから、空間系のペダルを1箇所にまとめるというか、節約みたいな意味もあって、この2台を隣に置くのがずっと続いてるんです。

RV-7(⑪)とDigiVerb(⑬)、2台のリバーブの使い分けは?

メインのリバーブはRV-7です。これはReverseモードがすごく独特で、原音が出せないっていうアホなやつで(笑)。DigiVerbと比べてリバースのタイム感もけっこう長めなんですよね。昔はReverseモードで演奏する曲が多かったのでよく使っていたんですけど、今一番使うのはHallで、すごく長めのリバーブにしています。あとはSpringもすごく長めにして使いますね。

DigiVerbはアウトが2つあるのので、One Controlのアンプ用のABボックス的な役割も果たしています。基本はDigiVerbをオフの状態にしていて、BJF-S66に信号を分岐したいタイミングでオンにするんですよ。

どんな時にBJF-S66を鳴らすんですか?

例えば4系統を全部鳴らしてカオスにしたい時ですね。逆にBJF-S66とDual Rectifierだけのクリーン・トーンを鳴らす時にも使います。2台のアンプで大きいクリーンを出したい時には、この2台の独特のリバーブ感を重宝していますね。

ベース用の⑫⑮SansAmpを使っている理由は?

これは、僕のアウトが4系統あるうちの残りの2つとなっています。“Line ①”というラベルが貼られているほう(⑫)は、高いほうのレンジを担当させています。“バーッ”や“サーッ”ていう、シンバルとかと同じような帯域を埋めてくれるサウンドにしていますね。これはギター・ソロやホワイト・ノイズにしたい時とかで使っています。

“Line ②”というラベルが貼られたほう(⑮)は、逆にものすごく下の低い音を出していています。4系統を全部鳴らすとレンジが面になるんですよね。バンド全体で面にしたい時と、僕のギター1つで面したい時で、曲によって演出を分けています。演奏のソースが1つで、出力が4系統に分かれた時の一体感や塊感、情報の分散の仕方っていうのは、やっぱり独特のものがあるんですよ。まったく違うソースが4つ鳴っている質感とは違う演出ができるんです。

ボーカル用のRE-2(㉑)はどのような時に使っていますか?

歌っていて音を飛ばしたい時とか、“ファー”と意識が飛んでくようなスペーシーな感じを出したい時に使います。激しいっていうよりかは、キレイな感じやスケール感を楽しんでもらいたい時ですね。ほかにもダブっぽくしたり、そういうのを臨機応変にセッティングして使い分けています。

2026年6月4日(木)Zepp DiverCity

【Setlist】
01. みんな急いでいる
02. November
03. 消失点
04. BOY
05. Ghost Rider
06. Xeno
07. HERO
08. The Singing Engines
09. 遥か彼方
10. 合奏 -Hold me Hold me Hold me-
11. Cashmere
12. Down to Heaven
13. Bad Dream
14. Hamletmachine
15. Morning Sun
16. Rainbow

-Encore-
17. 再生の朝

作品データ

合奏する、エンジン
The Novembers

MERZ
2026年5月20日リリース

―Track List―

01. HERO
02. The Singing Engines
03. 遥か彼方
04. 合奏 -Hold me Hold me Hold me-

―Guitarists―

小林祐介、ケンゴマツモト