五味拓人がLOSTAGEの日比谷野外大音楽堂公演で使用した、お馴染みJCM800 2203と6人編成用のSuper Reverb 五味拓人がLOSTAGEの日比谷野外大音楽堂公演で使用した、お馴染みJCM800 2203と6人編成用のSuper Reverb

五味拓人がLOSTAGEの日比谷野外大音楽堂公演で使用した、お馴染みJCM800 2203と6人編成用のSuper Reverb

2025年3月29日(土)にバンド初となる日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライブを行なったLOSTAGE。あいにくの雨模様だったが、会場には大勢のファンが詰めかけ、通常の3人編成はもちろん、ゲスト・ミュージシャンを加えた6人編成でもステージを披露した。本記事では、ライブで使用されたマーシャルJCM800 2203とフェンダーのSuper Reverbという2台のアンプを五味拓人(g)の解説付きでご紹介。

取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊

Takuto’s Amplifiers

・Marshall / JCM800 2203 & Sunn / Model 412(Left )
・1971 Fender / Super Reverb(Right)

Marshall / JCM800 2203 & Sunn / Model 412
1971 Fender / Super Reverb

2台のアンプを用意した特別セット

メインのアンプは五味が長らく愛用する100WモデルJCM800 2203で、キャビネットは90年代のSunn Model 412という組み合わせ。JCM800 2203はステップアップ・トランスを通し、117Vで鳴らしている。

この日はJCM800 2203のセンド/リターンにBOSS / NS-1X(ノイズ・サプレッサー)が接続されていた。ヒスノイズ対策のため、試しに導入してみたのだという。

Super Reverbは2021年、Achico(Ropes)、Koichi、Kazuya Hori(AYNIW TEPO)の3人が加わる6人編成ライブのために入手したもの。スピーカーはオリジナルで、10インチのCTS Alnicoが4発搭載されている。今回のライブでも、6人編成で演奏する「かぎろひ」、「Les Misérables」、「MESSAGE」、「グレイアイドフィッシュ」、「HARVEST」、「NAGISA」、「残像」の7曲で使用された。

Marshall / JCM800 2203

JCM800 2203はHIGHにインプットし、各ノブはPRESENCEが2.5、BASSが9.5、MIDDLEが5、TREBLEが5、MASTERが1.5、PRE-AMPが10にセッティングされていた。

五味はPRE-AMPをMAXまで上げて歪みを作っている。以前はPRE-AMPノブは8程度までしか上げていなかったが、先日アンプをメインテナンスに出して真空管を交換したところ、音のスピード感が上がった代わりにゲインが下がったそうで、現在はMAXの状態でも以前より歪み量が少ないとのこと。音のスピード感が上がった分、PRESENCEとTREBELEは以前よりも抑え気味に設定しているという。

パワー管はJJ ElectronicsのEL34が搭載されている。センド/リターンにはBOSS / NS-1Xを接続。
パワー管はJJ ElectronicsのEL34が搭載されている。センド/リターンにはBOSS / NS-1Xを接続。

Sunnのキャビネットは2016年にオークションで落札したところ、出品者がLOSTAGEのファンだったとのことで、近くのライブ会場まで直接持ってきてもらったという逸話がある。スピーカーはCelestionのG12T-75が4発搭載されており、五味曰く“ローが締まる印象で音が散らばらない”

Fender / Super Reverb

Super ReverbはVIBRATO chの1にインプット。BRIGHTスイッチはオフで、各ノブはVOLUMEが3、TREBLEが7、MIDDLEが6、BASSが8にセッティングされていた。リバーブとトレモロは未使用。クリーン・サウンドのため、足下にあるKlon / KTR(オーバードライブ)でクランチを作っている。

Interview

800にしか出せない音があって、
その音で曲を作ってきたので替えが効かない。

今日はアンプが2台用意されています。

メインがJCM800で、Super Reverbは6人編成で使うものですね。Super Reverbを使う時は800に挿さっているシールドを抜いて、そのままインプットします。

拓人さんはJCM800を歪ませてメインのサウンドを作っているんですよね?

最近メインテナンスに出して真空管を交換してもらったんですよ。そしたらパツパツに調整してもらって、前よりも音のスピード感が上がって、歪みが減ったんですね。なので今はPRE-AMPをMAXにしていて。前までは3時くらいで十分だったんですけど、MAXでも少し足りないくらい(笑)。

そうだったんですか(笑)。

ハリが出てスピード感が上がったので、PRESENCEとTREBLEは前よりも抑えめにしています。

今日は試しにBOSSのNS-1XをJCM800のセンド/リターンに入れているとのことですが、なぜ導入してみようと?

アンプを歪ませているので、どうしてもヒスノイズが出てしまうんですね。なので1回ノイズ・サプレッサーを使ってみようと。

BOSS / NS-1XはREDUCTIONモードにセッティング。
BOSS / NS-1XはREDUCTIONモードにセッティング。

JCM800を使い続ける理由とは?

800にしか出せない音があって、その音で曲を作ってきたので替えが効かないというか。あとは限りなくシンプルなので、一番わかりやすくて使いやすい。パンチ力もありますし。

Sunnのキャビネットは、拓人さんがオークションで落札したら出品者がLOSTAGEのファンの方だったんですよね(笑)?

そうです(笑)。“ライブ観に行くので持って行きます”って連絡が来て、現場でもらうという(笑)。

入手してから手を加えた部分はありますか?

いや、ないですね。CelestionのG12T-75っていうPeaveyのキャビネットとかによく入っているスピーカーが載っていて、けっこうローに締まりがあるんですよ。マーシャルのAキャビだと音が散る感じがしていたんですけど、Sunnに替えてからはタイトになりました。

Super Reverbはいつ頃手に入れたものですか?

6人編成のライブをやろうとなった時なので、けっこう前ですね。それ以外で使うことはほぼないですけど、1台持っておきたいなと。これの前にVOXの白いAC30 Hand-Wiredを買ったんですよ。でもあんまりコシがなくて。それでフェンダーにしてみようと思って、まずはTwin Reverbを借りたんです。

Twin Reverbの使用感はどうでした?

マーシャルの音圧感に慣れているので、物足りなくて(笑)。結局スピーカー4発がちょうどよくて、Super Reverbに落ち着きました。これは71年製です。

改造した点はありますか?

メインテナンスに出した時に真空管を換えてもらいました。その時、基板に当時これを作った人のサインが入ってたのを見つけたんですよ。メインテナンスしてもらったアンプ屋さんに聞いたら、“この基板をモデルにしてパートのおばさんに作ってもらっていた”と教えてくれて。つまりサンプル的に作られたものらしくて、面白いの見つけたなと思いました(笑)。

Super Reverbのセッティングのコツはありますか?

けっこう音量が出るんですけど、6人編成では兄貴(五味岳久)がアコギを弾くので抑えめですね。セッティングはまだ探っている感じです。今とは逆に、EQを下げてVOLUMEを上げるのとどっちがいいんだろう?みたいな。

2025年3月29日(土)日比谷野外大音楽堂

【Setlist】
01. 巡礼者たち
02. こぼれ落ちたもの
03. My Favorite Blue
04. BLUE
05. ポケットの中で
06. 母乳
07. Flowers/路傍の花

08. かぎろひ(6人編成)
09. Les Misérables(6人編成)
10. グレイアイドフィッシュ(6人編成)
11. MESSAGE(6人編成)
12. HARVEST(6人編成)
13. NAGISA(6人編成)
14. 残像(6人編成)

15. ひとり
16. 平凡
17. 楽園
18. 窓
19. SURRENDER
20. ひかりのまち
21. 瞬きをする間に

-Encore-
22. 手紙
23. NEVERLAND(6人編成)