MR .BIGが2025年2月に大阪と東京で正真正銘のラスト・ライブ、『The BIG Finale! Forever In Our Hearts』を開催。最後のステージとなった2月25日(火)の日本武道館公演でポール・ギルバート(g)が使用したアコースティック・ギターを、本人の解説と共にご紹介しよう。さらに、エリック・マーティン(vo)が使用したアコースティックギターと、ポールのドリルも掲載!
取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モーリー 機材撮影=小原啓樹
Paul Gilbert’s Acoustic Guitar
Ibanez
Montage MSC650VV
新たに手に入れたライブ用エレアコ
2024年8月、ドイツ・フランクフルトでポール・ギルバートのギターが4本盗まれてしまい、その中には当時愛用していたGodinのMultiac Steel Duet Ambianceも含まれていた。本器はその後、ライブ用にReverb.comで購入したエレアコである。Montageというモデル名で、ボディはキルト・メイプル、ネックはメイプル、指板はローズウッド。オレンジ・サンバーストというカラーも相まって高級感を醸し出している。
もともとMontageにはアコースティック/エレクトリックのサウンド・ミックス機能、フェイズ・スイッチ、チューナー、リバーブやコーラス・エフェクトなどが搭載されているのだが、ポールがReverb.comで見つけた際、出品者が電気系統の回路をすべてはずしていたそうで、安価で購入できたとのこと。そのため現在は完全にパッシブ仕様になっている。
購入後、ポールはボディ中央のピックアップをDiMarzioのミニ・ハムバッカーに交換し、DiMarzioのThe Black Angel Piezoというピエゾ・ピックアップを搭載した。さらにコントロール類を改造し、ミニ・ハムバッカー用のボリューム・ノブ、ピエゾ用のボリュームとトーン・ノブ、そしてピエゾのオン/オフ・スイッチを増設。
ハウリング防止めため、サウンドホールにはテープを貼っている。また、ボディ・バック下部には1.25ポンドの重りが付けられていた。
本器はエレキ・ギターと同じく、ペダルボードを通ってアンプからサウンドが出力される。
弦はErnie BallのEarthwood Phosphor Bronze Alloy Light #2148(.011-.015-.022w-.030-.042-.052)。

使用楽曲(2025年2月25日@日本武道館)
※全弦半音下げチューニング
- 「Wild World」
- 「To Be With You」
Eric Martin’s Acoustic Guitar
1997 Yamaha
CJ-32
「Wild World」で鳴らした歯切れの良い1本
エリック・マーティン(vo)が「Wild World」が使用した、Yamahaの1997年製CJ-32。1994年に発売されたジャンボ・モデルで、ボディ・トップはソリッド・スプルース、サイドとバックはソリッド・メイプルのオール単板仕様。指板とブリッジにはエボニーが採用されている。
ピックアップはFishmanのSonitoneと思われるピエゾ・タイプが搭載されており、ギターからはKlark TeknikのLBB100(DI)を経由してPAに信号が送られていた。

使用楽曲(2025年2月25日@日本武道館)
※全弦半音下げチューニング
- 「Wild World」
Others
Jim Dunlop / Tortex T Ⅲ .73mm

ポールのピックはJim DunlopのTortex T Ⅲ .73mm。このピックの音色を気に入っているとのこと。
Makita / FD02

ドラム・ライザーの上には、「Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)」で使用されるマキタのドリルとピックが置かれていた。ドリルの先端にはピックが4枚固定されている。
Interview
MR. BIGのステージ上は本当にラウドだから、
ハウリングをコントロールするのが本当に難しいんだ。
「Wild World」と「To Be With You」では、キルト・メイプル・トップが美しいIbanezのエレアコを使用していました。
これはMontageというモデルで、Reverb.comで中古で買ったんだ。以前の所有者は内蔵されていた回路を全部取りはずしていて、とても安かったよ。
手に入れてからは新しいDiMarzioのミニ・ハムバッカーに交換して、DiMarzioのThe Black Angel Piezoというピエゾ・ピックアップを組み込み、近所のリペアマンにミニ・ハムバッカー用のボリューム・コントロールを追加してもらった。今は完全にパッシブ仕様で、電池も入っていないんだよ。
ピエゾ・ピックアップ用のボリュームとトーン・ノブ、そしてオン/オフ・スイッチも付いていて、もし突発的にフィードバックが発生したらピエゾをオフにすればいい。とても気に入っている、本当にクールなギターだよ。

以前はTaylorやGodinのエレアコを使用していましたが、なぜこのモデルを選んだのでしょう?
盗まれてしまったGodinは気に入っていたし、サウンドも良かった。あのギターをプレイしていた大きな理由の1つは、サウンドホールがなかったからなんだよね。MR. BIGのステージ上は本当にラウドだから、ハウリングをコントロールするのが本当に難しいんだ。サウンドホールにゴム製のカバーをしてもハウリングが起こってしまう。
Taylorも音は好きだったんだけど、トップ材が原因でフィードバックするのが気になっていた。だからハウリングを起こさない点ではGodinがベストだったんだよね。でも盗まれてしまったから、“大きなサウンドホールがない、古いIbanezがあれば使えるかもしれない”と思って、そんな時にMontageを見つけたんだ。サウンドホールはかなり小さくて、ライブでは空気が通らないようにテープで封をして、ハウリングが起きないようにしているよ。

アコギの弦はどこのものですか?
Ernie Ballのライト・ゲージ(Earthwood Phosphor Bronze Alloy #2148)だね。
ちなみに、「Wild World」ではエリック・マーティン(vo)もYamahaのアコースティック・ギター、CJ-32を弾いていました。もしこのギターについてわかることがあれば教えて下さい。
何もわからない(笑)。ビリー(・シーン/b)がYamahaのエンドーサーだから、そのつながりで手に入れたんじゃないかな?
The BIG Finale! Forever In Our Hearts
2025年2月25日(火)日本武道館
【Setlist】
01. Mr. Gone
02. Good Luck Trying
03. Price You Gotta Pay
04. Big Love
05. Temperamental
06. Up On You
07. Green-Tinted Sixties Mind
08. Alive And Kickin’
09. Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)
10. Undertow
11. Instrumental Medley
12. Paul Gilbert Guitar Solo
13. Colorado Bulldog
14. Promise Her The Moon
15. Take Cover
16. Wild World
17. Addicted To That Rush
18. Billy Sheehan Bass Solo
19. Shy Boy
20. Forever In Our Hearts
-Encore-
21. To Be With You
22. Just Take My Heart
23. Good Lovin’
24. Baba O’Riley
25. I Love You Japan