MONOEYESが結成10周年を記念し、2025年9月3日(水)に5年ぶりとなる4thアルバム『Running Through the Fire』をリリースした。本記事では戸高賢史(g)が使用するペダルボードを本人の解説付きでご紹介しよう。
文=小林弘昂 機材撮影=小原啓樹
Todaka’s Pedalboard
スイッチャーでアンプとペダルを一括制御
【Pedal List】
①Morley / Mini Kiko Loureiro Switchless Wah Pedal(ワウ)
②Limetone Audio / LTV-30H(ボリューム・ペダル)
③BJFE / Shattered Gold Compressor(コンプレッサー)
④One Control / Caiman Tail Loop(プログラマブル・スイッチャー)
⑤Decibelics / Golden Horse(オーバードライブ)
⑥Bondi Effects / Del Mar Overdrive mkⅡ(オーバードライブ)
⑦Virtues / arca CULT Limited(オーバードライブ)
⑧Phantom fx / Sabbath “Bliss”(ファズ)
⑨Electro-Harmonix / Nano POG(ピッチ・シフター)
⑩Neunaber Audio Effects / Chroma Stereo Chorus V2(コーラス)
⑪Source Audio / Nemesis Delay(ディレイ)
⑫Limetone Audio / Limetone BASE(シグナル・ルーティング・ボックス)
⑬MXR / ’74 Vintage Phase 90(フェイザー)
⑭Sonic Research / ST-300(チューナー)
⑮FREE THE TONE / PT-3D(パワー・サプライ)
⑯Junction Box
⑰strymon / BigSky(リバーブ)
⑱BOSS / DM-2W(ディレイ)
戸高がMONOEYESで使用するペダルボード。ギターからはアンプ(Friedman BE-100)の上に置かれたShureのワイヤレスを通り、まず①〜③を経由して④Caiman Tail Loopにインプット。
④Caiman Tail Loopの各ループに接続されているペダルは以下のとおり。
・Loop 1=⑤Golden Horse
・Loop 2=⑥Del Mar Overdrive mkⅡ
・Loop 3=⑦arca CULT Limited
・Loop 4=⑧Sabbath “Bliss”
・Loop 5=⑨Nano POG → ⑩Chroma Stereo Chorus V2
④Caiman Tail Loopのアウトからは、⑪Nemesis Delayを通って⑫Limetone BASEへ。

⑫Limetone BASEは④Caiman Tail Loopのループ数が足りなくなったため導入し、Loop 1に⑬’74 Vintage Phase 90が接続されている。⑬’74 Vintage Phase 90のオン/オフは⑫Limetone BASEと接続されている④Caiman Tail Loopで操作。
そして信号は⑫Limetone BASEのアウトからアンプへとつながれている。⑭ST-300は②LTV-30Hのチューナー・アウトに接続。⑰BigSkyと⑱DM-2Wは足下のシステムには組み込まれておらず、アンプのセンド/リターンにループ。

⑨Nano POGの下に置かれた⑯ジャンクション・ボックスは、各電源とアンプのチャンネルを切り替える信号用。
③Shattered Gold CompressorはCompノブをほぼ上げず、状況に応じて適宜オンにしている。かけっぱなしでもナチュラルなサウンドが特徴とのこと。ちなみに本機は戸高がBJFEのビヨン・ユールから直接購入したものなのだが、もともとビヨン・ユールに同社製のPale Green Compressorをオーダーしていたところ、“特殊なアーティストに塗装を任せたらしく、けっこうな値段で勝手にこれが送られてきた(笑)”というエピソードがある。
戸高はアンプのクランチ、アンプのディストーション、ペダルの歪み、といったように様々な歪みのバリエーションを使い分けているため、④Caiman Tail LoopのMIDIやプリセット機能を活用してそれらを制御している。ちなみにアンプのクリーンだけのサウンドは使うことはなく、常にコンプレッサーやオーバードライブなどのペダルをオンにしてサチュレーションさせた状態にしているという。

オーバードライブは3台用意されており、⑤Golden Horseはブリッジ・ミュートを伴うバッキングでのゲイン・ブースト用、⑥Del Mar Overdriveはクリーン寄りでキラッとしたハイを出す用、⑦arcaは『Running Through the Fire』の楽曲のアルペジオでハイミッドを少し出す用。そしてファズの⑧Sabbath “Bliss”はソロ用という使い分けだ。⑧Sabbath “Bliss”はオーバードライブと組み合わせることもあるという。
⑨Nano POGと⑩Chroma Stereo Chorusは④Caiman Tail Loopの同じループに接続されており、使用するほうを直接オン/オフする。スコット・マーフィー(b)が制作した楽曲のリード・フレーズにオクターバーがかかっていたため、⑨Nano POGはそのサウンドを再現するために導入。⑩Chroma Stereo Chorusは「Adrenaline」のアルペジオなどでオンにしている。
⑪Nemesis Delayはプリセットを組んでおり、TAPEモード、DIGITALモード、ANALOGモードなどをフレーズによって使い分けている。音色が良く、サイズ感もちょうどよく、MIDIとプリセットが使用できるのが決め手で導入。戸高は“いたって普通の使い方をしています(笑)”とコメント。
⑬’74 Vintage Phase 90は元チャットモンチーの福岡晃子のエフェクターを修理した際、そのお礼でもらったもので、入手後にLEDとDCジャックを増設している。戸高はスクリプトの音が好きと語っており、「Ladybird」などで使用。

⑰BigSkyは「アンカー」などクリーンでのアルペジオで薄くオンにしたり、「Fall Out」などでスペイシーなリバーブを使うことがあるとのこと。
Interview
歪み具合の変化や絶妙な押し引きを
上手く再現するためのプラスアルファ。
Caiman Tail Loop(④)のプリセットはどうなっていますか?
このスイッチャーでアンプ(Friedman BE-100)のクリーンchと歪みchの切り替えとかを全部やっています。とにかくクリーンと歪みをくり返すんですけど、それは直列のボードだとできないので、仕方なくスイッチャーでプログラムを組んでいる感じですね。
オーバードライブが3台(⑤⑥⑦)ありますが、それぞれの使い分けは?
楽曲の中では歪み具合の変化だったりとか、絶妙な押し引きみたいなのがけっこう多いので、それを上手く再現するためのプラスアルファっていう考え方なんです。Klon CentaurをもとにしたGolden Horse(⑤)でブリッジ・ミュートのバッキングを作ったり、キラッとした上を出すためにDel Mar Overdrive(⑥)を使ったり。
arca(⑦)もクランチ用ですか?
そうですね。arcaはハイエンドがキラッと出るんですよ。新譜の曲でアルペジオを多用していて、そういう時にハイミッドを少し出すために使っていますね。
Nano POG(⑨)は最近導入したものですか?
前回アメリカに行った時に録ったスコット・マーフィー(b)の曲があるんですけど、そのリード・フレーズにオクターバーがかかっていて、それを再現するために入れました。
ファズがPhantom fxのMOTHERからSabbath “Bliss”(⑧)に変わりましたよね。
同じくLAで録音した楽曲でゲートがかかるブチブチした音を使ったので、それを再現するために入れました。






