2026年5月に行なわれたラーゲ・ルンドの来日公演。マーク・ターナー(sax)、ヴィセンテ・アーチャー(b)、ジョナサン・ブレイク (d)とのカルテット編成で、名演を奏でたWestville Guitarsのギターを本人の解説とともにご紹介。
取材・文=三木深 通訳=トミー・モリー 機材撮影=小原啓樹
Lage Lund’s Guitar
Westville Guitars
Prospect
ES-335のようなパンチ感と
アコースティックな木の鳴りを両立
今回の来日公演でラーゲが使用したギターは、Westville Guitarsが製作した“Prospect”というモデル。ラーゲは以前より同メーカーとの交流があり、本器は2本目に入手したもの。1本目のProspectは2018年頃から使用し始め、現在は渋谷の楽器店“WALKIN’”に置かれているそうだ。
Prospectは、Westville Guitarsのギター設計とパーツ製作を務める西村真樹氏のアイディアをもとに、ラーゲ本人の要望を反映してデザインされたモデルで、今では同社の定番の1つとなっている。本器は2021年頃に完成した1本だ。
開発に際し、理想としたコンセプトは“ES-335とL-5の中間に位置するギター”とのこと。ラーゲはサウンド面において、“ES-335のようなパンチ感やエレクトリックらしさを持ちながら、同時にアコースティックな木の鳴りも感じられる1本を求めていた”と語ってくれた。また、L-5のような大き過ぎるボディは求めておらず、サイズ感についても細かく話し合ったそうだ。ボディの幅は17インチ(432mm)、厚みは2.25インチ(57mm)となっている。
ボディ・トップはシトカ・スプルース、サイド&バック&ネックはハード・メイプル、指板はエボニーという材構成。
ピックアップはUSA Kent Armstrongカスタム・オーダーの“PAF-O AlnicoⅢ”を1基搭載。
また、ギター内部にはBartlett Audio製Mandolin Mic(マンドリン用コンデンサー・マイク)がインストールされている。そのためアウトプット・ジャックは2系統用意されており、片方はKent Armstrongのマグネティック・ピックアップ用のアウト、もう片方はコンデンサー・マイク用のアウトだ。
この2つは完全に独立しており、この日のライブではマグネティック・ピックアップの出力はアンプへ、コンデンサー・マイクの出力はBose / T4S ToneMatch(ミキサー)とRadial / LX3(スプリッター)を経由してパワード・モニター・スピーカーとPA卓に送られていた。
ジョイントはセット・ネック構造となっている。ネック・スケールは24.75インチのミディアムを採用。ラーゲ曰く“スケール長によって音色が変わると感じている”とのことで、レギュラー・スケールやショート・スケールも好んでいるが、中でも“やや短めのスケール特有のサウンドを気に入っている”と語っていた。
ブリッジはGOTOHのチューン・オー・マティック・タイプ“AS103B”が採用されており、その下部にはWestville Guitarsオリジナルのエボニー・ブリッジ・ベースが取り付けられている。
ペグはGOTOHのSGシリーズが採用されている。
弦のゲージは.012〜.052で、ElixirやD’Addarioのコーティング弦を好んで使用しているとのこと。音に少し重量感や太さを加えたい時には1弦を.014に、2弦を.018に変更することもあるそうだ。
Others
ピックはWestville Guitars製のティアドロップ型で、厚さは約1.14〜1.2mm程度。
アンプの上にはGHS StringsのFast Fret(ストリング・クリーナー)が置かれていた。
Interview
僕にとっては
アコースティックな楽器という感覚なんだ。
Westville Guitarsとは、どのような経緯で出会ったのですか?
マサキ(Westville Guitarsの創設者の西村真樹氏)とは、たしか日本のプロモーターであるコウヘイ(ジャズ・ミュージシャンの招聘を数多く手がけるOffice Zoo Inc.の川上浩平氏)を通して知り合ったんだ。彼が紹介してくれてね。マサキは本当に親切にしてくれて、コウヘイとツアーを周っていた時にアンプを何台か貸してくれた。それ以来の付き合いだよ。
歴代のあなたの使用ギターを見ると、ホロウ・ボディかつネック・ピックアップ1発というレイアウトにこだわりがあるのかと思いました。
エレキ・ギターは常にアンプにつないでいるけど、僕にとっては“アコースティックな楽器”という感覚なんだ。ピックアップなどを介する前の、ギターという楽器そのものから返ってくるダイレクトな感触や反応は、とてもオーガニックなんだよね。だから大きめのボディだったり、こういうタイプのギターが好きなんだ。
ピックアップに関して言うと、僕の頭の中で鳴っているサウンドはネック・ピックアップの音で、こういうウォームなサウンドが欲しいと思っている。ギターに多くのものはいらなくて、できるだけシンプルにしておきたいんだよ。だからボリュームとトーンだけあれば、あとはプレイするだけって感じだね。
レコーディングではソリッド・ボディのギターを使用することもありますか?
基本的にソリッド・ボディは弾かないかな。
弦高などのセットアップにこだわりはありますか?
極端に弦高を下げることはないよ。感覚的にはミディアムな高さで、アコースティック・ギターよりは少し低め。強く弾き込んでも、音が暴れたりビビったりしないくらいの余裕を残したセッティングを重視しているんだ。













