2025年4月、90年代をコンセプトに掲げた17枚目のアルバム『1997』をリリースしたMUCC。4月〜6月に行なわれる全国ツアー“MUCC TOUR 2025「Daydream 1997」”にて、ミヤ(g)が新たに導入したアンプやエフェクターなど、最新のシステムを本人が解説!
取材=伊藤雅景 文=小林弘昂 機材撮影=大谷鼓太郎
Miya’s Amplifiers
Mesa/Boogie / Dual Rectifier Road King Ⅱ & Randall Amplifiers / R412
Rectifierの最上位モデル
以前までのメイン・アンプはMese/BoogieのTriple Rectifierだったが、新たに導入されたのがDual Rectifier Road King Ⅱという完全独立4ch仕様のモデル。ミヤはCH 1をクリーン、CH 2をクランチ、CH 3をメインの歪み、CH 4をリード用として使い分けている。
キャビネットはRandall AmplifiersのR412。
Road King Ⅱの出力は50W/100W/120Wで切り替えることができる。プリ管にEL34が5本、パワー管に6L6が4本、整流管に5U4が2本採用されており、出力管選択スイッチによって2x6L6、2xEL34、2x6L6+2xEL34、4x6L6、4x6L6+2xEL34という5通りの組み合わせで鳴らすことも可能。

クリーン用のCH 1はFATモードに、クランチ用のCH 2はBRITモードに設定。ファズを踏む際はCH 2を使用しているとのこと。

メインの歪み用のCH 3とリード用のCH 4はどちらもMODERNモードに設定。
Mesa/Boogie / Dual Rectifier Road King Ⅱ 2×12 Combo
もしもの時のための1台
ステージ袖に置かれたラック内には、CelestionのCustom 90という12インチ・スピーカーが2発搭載されたコンボ・タイプのDual Rectifier Road King Ⅱがセットされていた。
本機はメインのRoad King Ⅱに問題が起きた際のサブで、ミヤ曰く“最悪これだけでもライブができます”とのこと。
Miya’s Pedalboards

20年ぶりにワウを新調!
【Pedal List】
①Shure / UR4D+(ワイヤレス受信機)
②Valkyrie Spear / Violence Booster MKⅡ(ブースター)
③FREE THE TONE / JB-82S(ジャンクション・ボックス)
④FREE THE TONE / ARC-4(プログラマブル・スイッチャー)
⑤FREE THE TONE / EFS-3(ARC-4専用拡張フット・スイッチ)
⑥EarthQuaker Devices / Hizumitas(ファズ)
⑦EarthQuaker Devices / Gary(ファズ/オーバードライブ)
⑧FREE THE TONE / JB-82S(ジャンクション・ボックス)
⑨Third Man Hardware × CopperSound / Triplegraph 3rd Anniversary Edition(ピッチ・シフター)
⑩Third Man Hardware × Donner / Triple Threat(ディストーション/フェイザー/ディレイ)
⑪Morley / 20/20 Power Fuzz Wah(ワウ/ファズ)
⑫EarthQuaker Devices / Arrows(ブースター)
⑬KarDiaN / C3H5N3O9 “Nitroglycerin”(オーバードライブ)
⑭FREE THE TONE / RM-2S(リング・モジュレーター)
⑮FREE THE TONE / DVL-1EX(RM-2S用エクスプレッション・ペダル)
⑯JHS Pedals / Little Black Buffer(バッファー)
⑰BOSS / DM-3(ディレイ)
⑱BOSS / TE-2(ディレイ)
⑲EarthQuaker Devices / Arpanoid(アルペジエーター)
⑳Demedash Effects / T-120(ディレイ)
㉑Third Man Hardware × Anasounds / La Grotte(リバーブ)
㉒EarthQuaker Devices / Astral Destiny(リバーブ)
㉓Electro-Harmonix / Golden Small Stone(フェイザー)
㉔EarthQuaker Devices / Ledges(リバーブ)
㉕EarthQuaker Devices / Disaster Transport SR(ディレイ)
㉖Third Man Hardware × Eventide / Knife Drop(オクターブ・ファズ/モノフォニック・シンセ)
㉗Valkyrie Spear / Violence Buffer Ex(バッファー)
㉘FREE THE TONE / ML-1L(ショート・ルーパー)
㉙BOSS / PS-5(ピッチ・シフター)
㉚FREE THE TONE / PA-10G(EQ)
㉛KarDiaN / CHCL3 “CHLOROFORM”(オーバードライブ)
㉜FREE THE TONE / Custom Mute Switch
㉝Sonic Research / ST-300(チューナー)
㉞FREE THE TONE / MB-5(MIDIスルー・ボックス)
㉟FREE THE TONE / PT-1D(パワー・サプライ)
㊱FREE THE TONE / PT-1D(パワー・サプライ)
㊲FREE THE TONE / PT-1D(パワー・サプライ)
㊳Handmade / Custom Switch
ギターからは、まずワイヤレスでステージ袖に置かれた①UR4D+に接続。そして同じくステージ袖に置かれたギター・テックが操作するボードの中の②Violence Booster MKⅡを経由して、ミヤの足下に置かれたペダルボードにインプットされる。
②Violence Booster MKⅡはギターごとのレベル差を補正するためのもの。おもにシングルコイル・ギター使用時に常時オンにしている。
ペダルボードに入ってからの接続順は、まず左側のボード内の③JB-82Sを経由し、④ARC-4のHTS INにインプット。
④ARC-4の各ループに接続されているペダルは下記のとおり。なお、右側のボード内のペダルへは⑧JB-82Sを経由している。
・Loop 1=⑥Hizumitas → ⑦Gary
・Loop 2=⑨Triplegraph(⑩Triple Threat) → ⑪20/20 Power Fuzz Wah
・Loop 3=⑫Arrows → ⑬C3H5N3O9 → ⑭RM-2S(⑮DVL-1EX)
・Loop 4=⑯Little Black Buffer → ⑰DM-3 → ⑱TE-2 → ⑲Arpanoid → ⑳T-120 → ㉑La Grotte → ㉒Astral Destiny → ㉓Golden Small Stone → ㉔Ledges → ㉕Disaster Transport SR
・Loop 5=㉖Knife Drop
・Loop 6=㉗Violence Buffer Ex → ㉘ML-1L → ㉙PS-5
・Loop 7=㉚PA-10G
・Loop 8=㉛CHCL3
・Tuner Out=㉝ST-300
そして④ARC-4のアウトからはFREE THE TONEでカスタム製作された㉜ミュート・スイッチに接続。本機から③JB-82Sを経由し、後述するラック内の㊴FREE THE TONE / ARC-53Mへ。

ミヤはRoad King ⅡのCH 3でメインの歪みを作っており、④ARC-4のLoop 1はRoad King ⅡのCH 2(クランチ用)に割り当てられている。⑥Hizumitasと⑦Garyは同時に使うことはなく、片方をオンにする時はもう片方をオフに。⑦Garyを使用する際は右側のファズchと左側のオーバードライブchをどちらもオンにする。
Loop 8の㉛CHCL3はクランチ用の歪み。
ミヤは20年ほどMorleyのワウ、Bad Horsie Liberty Wahを愛用していたが、このたび同社製の⑪20/20 Power Fuzz Wahが導入された。Bad Horsieはフィルター系のエグいエフェクトが特徴だったが、⑪20/20 Power Fuzz Wahはフィルター系/チャカポコしたビンテージ系の両方が出せるため、試しに使用してみたところ、その出音の良さで導入を決めたそうだ。本機のファズ機能は未使用。
Loop 3はリード用で、⑫Arrows → ⑬C3H5N3O9 → ⑭RM-2Sという順番でつながっている。ミヤ曰く⑬C3H5N3O9はミッドに癖があり、前段に⑫Arrowsを入れることで、あえて⑬C3H5N3O9のサウンドを訛らせているとのこと。
㉚PA-10GはMIDIで④ARC-4と連動しており、④ARC-4のプリセットごとに㉚PA-10Gの設定が変わるようになっている。補正が必要な時だけオンにするため、単体でLoop 7に接続。

⑨Triplegraphのセンド/リターンには⑩Triple Threatを接続。⑩Triple ThreatはECHO、PHASER、DISTORTIONの3種類のエフェクトが内蔵されたマルチで、⑨Triplegraphの真ん中のスイッチを踏んでいる間のみ⑩Triple Threatのエフェクトが出力される。また、⑨Triplegraphの左右のペダルはオクターブの上と下が追加できるピッチ・シフターだが、ミヤ曰く“最近のTriplegraphは初期のものと比べてレイテンシーが少ない”と語る。
Loop 4には⑧JB-82Sも含めると合計11台のペダルを接続。台数が多いため、音痩せ対策としてループの先頭に⑯Little Black Bufferをセットしている。Loop 4内のペダルは基本的にフレーズにごとにミヤ自身が1台ずつオン/オフを操作しているが、⑰DM-3は常にオン。薄いショート・ディレイにセッティングし、部屋鳴りのような残響を演出している。
⑲Arpanoidは『1997』のレコーディングでも活躍。Dryノブがゼロになっており、オンにするとウェット音のみが出力される。本機は㉑La Grotteと同時に使用する。㉑La Grotteは筐体内部にスプリングを搭載。軽く振動を与えるだけでスプリング・リバーブによる“ガシャン!”とした鳴りが得られるところが気に入っているとのこと。
㉒Astral DestineyもMixノブがMAXに設定されており、オンにするとウェット音のみが出力される。ミヤはSub Shimmerモードを選択。
Loop 6内の㉘ML-1Lと㉙PS-5は飛び道具として使用。“ピッチ・シフター系のペダルは通すと劣化する”とのことで、音痩せ対策としてループの先頭に㉗Violence Buffer Exを入れている。
㊳はマニピュレーターにSEや同期を流す合図を送るためのスイッチ。
Other Pedals

【Peal List】
㊴FREE THE TONE / ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
㊵The Pill Pedal / The Pill Mono(サイドチェイン・ダッキング・ペダル)
㊶Echo Fix / EF-P3(コーラス)
㊷BOSS / SE-70(マルチ・エフェクター)
㊸Death By Audio / OCTAVE CLANG V2(ファズ)
㊹BOSS / SDE-3000D(ディレイ)
㊺Honda Sound Works / SPICE(バッファー)
㊻FREE THE TONE / IG-1N(ノイズ・リダクション)
ミヤの足下に置かれたボードに収まらなかったペダル類は、ラック内にセットされている。
足下のボードからの信号は、㊴ARC-53MのINにインプット。㊴ARC-53Mの各ループに接続されているペダルは下記のとおり。
・Loop 1=㊵The Pill Mono
・Loop 2=㊶EF-P3
・Loop 3=㊷SE-70
・Loop 4=㊸OCTAVE CLANG V2
そして本機のアウトから㊹SDE-3000、㊺SPICE、㊻IG-1Nの3台を経由してアンプに接続される。
Rack System

【Rack List】
㊷BOSS / SE-70(マルチ・エフェクター)
㊼BOSS / SE-70(マルチ・エフェクター)
㊽Burl Audio / B1(マイク・プリ)
㊾Chandler Limited / Germ 500 MkⅡ(マイク・プリ)
㊿Chandler Limited / Germ 500 MkⅡ(マイク・プリ)
ステージ袖に置かれたラック・システム。この下にはサブ・アンプのRoad King Ⅱ 2×12 Comboが設置されている。
㊸SE-70は㊴ARC-53MのLoop 3に、㊼SE-70は後述するSolid State LogicのBiG SiX(ミキサー)のセンド/リターンに接続されている。
BAEのR53(リンク・オプション付きラック・シャーシ)には、㊽Burl AudioのB1、㊾㊿Chandler LimitedのGerm 500 MkⅡという3台のマイク・プリを設置。通常、アンプ・キャビネットには3本のマイクが立てられており、各マイクで収音したギター・サウンドの信号はこれらのマイク・プリに送られる。その後はそれぞれSolid State Logic / BiG SiX(ミキサー)のLINEインプットに入力され、サミング後にPAに出力される。
Mixer
Solid State Logic / BiG SiX

こちらがマイク・プリを経由したギター・サウンドと、AUX出力からのポスト・エフェクトが入力されるミキサー、BiG SiX。
本機の2つのセンド/リターンを使用しており、片方には㊼SE-70を、もう片方には後述するKORG / SDD-3000 Pedal(ディレイ)とChase Bliss / CXM 1978(リバーブ)が接続され、ギター・サウンドにポスト・エフェクトをかけることが可能に。
Other Pedalboard

【Pedal List】
(51)FREE THE TONE / JB-21(ジャンクション・ボックス)
(52)FREE THE TONE / LB-2(ループ・ボックス)
(53)FREE THE TONE / ARC-4(プログラマブル・スイッチャー)
(54)FREE THE TONE / EFS-3(ARC-4専用拡張フット・スイッチ)
(55)Sonic Research / ST-300(チューナー)
(56)FREE THE TONE / MB-5(MIDIスルー・ボックス)
(57)KORG / SDD-3000 Pedal(ディレイ)
(58)Chase Bliss / CXM 1978(リバーブ)
(59)Sonic Research / ST-300(チューナー)
(60)FREE THE TONE / PT-1D(パワー・サプライ)
②Valkyrie Spear / Violence Booster MKⅡ(ブースター)
㊸Death By Audio / OCTAVE CLANG V2(ファズ)
ラックの上に置かれたボード。これはギター・テックが操作するものだ。
(51)ARC-4はミヤの足下に置かれた④ARC-4のスレイブになっており、(51)ARC-4にはペダルが1台も接続されていない。
(57)SDD-3000 Pedalと(58)CXM 1978はBiG SiXのセンド/リターンに接続されており、マイク・プリ通過後のギター・サウンドにディレイとリバーブをかけることが可能。
Vocal Effects
Death By Audio / ECHO MASTER

ミヤのマイク・スタンドに設置されていたボーカル用エフェクター、Death By Audio / ECHO MASTER(ディレイ)。本ツアーではシューゲイザーの楽曲があるため、本機のノブを操作しながら自身の声を発振させるとのこと。
Interview
Rectifierがアメ車だったら、
Road Kingはヨーロッパ車。
メイン・アンプがMesa/BoogieのTriple RectifierからRoad Kingに変わりました。
Road Kingはクリーン、クランチ、メインの歪み、リードの4chで使っていて、ファズを踏む時はクランチchにしています。Road Kingって50万円くらいしたので、昔は買えなかったんですよ。今は廃盤なんですけど、状態の良いものが残っていたので買いました。凄く丁寧に作られていて、めちゃくちゃ音も良い。
憧れのアンプで購入を決めたと。
あとは単純に4chだからというのもありますね。Triple Rectifierは3chだったので、ファズを使う時はクリーンchと兼用になっていたのが使いづらかった。Road Kingの音はRectifierよりもまとまっていますね。Rectifierがアメ車だったら、Road Kingはヨーロッパ車。どっちもアメリカのアンプなんですけど(笑)。Road Kingはおいしいところがギュッとまとまって出てくれるので、ラウド以外でも使えます。
ステージ袖のラック内に設置されているコンボ・タイプのRoad Kingは?
サブです。最悪これだけでもライブができます。
スピーカー・ケーブルにこだわりはありますか?
NOSの70年代Western Electricの単線ケーブルが出てきて、それを試したら凄く良かったので、もう3〜4年使っています。
ワウは20年ぶりくらいに
変わりましたね。
ペダルボードの解説もお願いします。新しく導入したペダルは?
まず、ARC-4(④)のLoop 1に入っているGary(⑦)ですね。これが増えました。Garyを使う時は2つのチャンネルを同時にオンにして、同じループ内のHizumitas(⑥)をオフにします。で、Hizumitasを使う時はGaryをオフに。

Loop 2に接続されているTriplegraph(⑨)ですが、カラーがホワイトの限定版に変わりましたよね?
そうです。Triplegraph、新しいほうが音が良いんですよ(笑)。黒い初期型と差し替えてビックリしました。これって限定版だから良いのではなく、最新版の中身をアップデートしているんでしょうね。初期型よりもオンにした時の遅延が減っているんです。Triplegraphのセンド/リターンにはTriple Threat(⑩)をつないでいますね。

長年ミヤさんのボードからはずれなかったMorleyのBad Horsie Liberty Wahが、20/20 Power Fuzz Wah(⑪)に替わっているのが気になりました。
ワウはずっとBad Horsieっていうスティーヴ・ヴァイのシグネチャー・モデルを使っていたんです。それはフィルターっぽい音しか出せなくて、クラシックな音を出す時はG-LABのワウを並べて2台使っていたんですね。でも、新しく導入したやつは1台でフィルターっぽい音もクラシックな音もいけるんですよ。音が凄く良かったので購入しました。ファズは使わないのでオフにしています。
ワウは20年ぶりくらいに変わりましたね。Petit BrabanconではチャカポコやらないのでBad Horsieを使っています(笑)。

Loop 3のArrows(⑫)とC3H5N3O9(⑬)は、どのような使い方を?
C3H5N3O9はミッドが強いキャラクターなので、前段のArrowsで訛らせてる感じですね。

そしてLoop 4には9台のペダルが接続されています。
Loop 4には直列で何台もつないでいるので、音痩せ対策で最初にLittle Black Buffer(⑯)のバッファーを入れています。
DM-3(⑰)はショート・ディレイとして使っています。レトロ感を足すためにオンにしっぱなしなんですよ。オレはDM-2じゃなくてDM-3が好きで。

そうなんですか! DM-2のほうがファンが多いですよね。
DM-2って音が変に太いんですよ。ショート・ディレイで部屋っぽい残響を効かせると、DM-2だと太すぎる。DM-3が音的にタイトでちょうど良いし、発振が好きですね。発振音もDM-2だと暗くなります。
なるほど。Loop 4内のほかのペダルはどのような使い方を?
Arpanoid(⑲)は曲のテンポとかを考えずに使っています。ノブは今回の『1997』のレコーディングで使ったままで、ドライ音を切ってるんですよ。なので飛び道具ですね。La Grotte(㉑)のスプリング・リバーブと合わせて使います。

La Grotte(㉑)もThird Man Hardwareのコラボ・ペダルです。
これはリバーブ・ユニットに衝撃を与えた時の“ガシャン!”というスプリングの感じが出せるんです。ジャック・ホワイトがさすがだと思うのが、ほかのスプリング系のリバーブってけっこう強く叩かないと“ガシャン!”と鳴らないんですけど、これは“それやるでしょ?”っていう前提で設計されている(笑)。自分はAnasoundsのスプリング・リバーブ・ペダルを使っていたこともあるんですけど、それは何回も蹴っ飛ばしていたら壊れちゃって。でも、これは軽く叩いても鳴ってくれます。
T-120(⑳)はずっとボードに入っていますよね。気に入っているポイントは?
ビデオ・テープ・エコーのサウンドはT-120でしか出せないので、ボードにずっと入っていますね。再生やダビングをしまくって擦れたビデオ・テープのサウンドって、けっこうマニアックじゃないですか? それがめちゃくちゃ良いのでPetit Brabanconのボードにも入れています。
Disaster Transport SR(㉕)のセッティングは、10年くらい前にkenさん(L’Arc-en-Ciel)と音作りした時から変えてないです(笑)。モジュレーション・ディレイにハマったキッカケのペダルですね。Bleedっていうノブがあって、ここを動かすとランダムにピッチが動くんですけど、それがけっこう良いんですよ。

Loop 6にはViolence Buffer Ex(㉗)、ML-1L(㉘)、PS-5(㉙)の3台が接続されています。
ピッチ・シフター系のペダルって通すとけっこう劣化するので、ここも最初にViolence Buffer Exのバッファーを入れています。これはけっこう色が付くバッファーですね。ふくよかでリッチな印象。
逆にJHS PedalsのLittle Black Buffer(⑯)はそのまんまの音なので、あんまり面白みはない。EQとかよりもブースターやバッファーで補正するほうがフレッシュになるかなと思っています。
Loop 7のPA-10G(㉚)は、使用するギターやフレーズによって色々とプリセットを作っているんですか?
PA-10G自体のプリセットは一切使ってないです。MIDIでARC-4と連動していて、ARC-4のプリセットごとにPA-10Gの設定が変わるようになっているんですよ。補正が必要な時だけオンにするので、単体でLoop 7に入れているんです。凄く助かっています。
C3H5N3O9(⑬)、CHCL3(㉛)と、KarDiaNの歪みが増えましたよね。何か理由があるんですか?
Loop 8のCHCL3はクランチ用のオーバードライブですね。KarDiaNは歪みの質が良くて、ちゃんと爆音で鳴らした時の音作りを考えて作られてる。あとは古いアンプでも新しいアンプでも同じ音がするんですよ。だから応用が効くし、まとまりすぎてない。変に使うと変な音になって、ちゃんと個性があるというか。あとは強く弾いた分だけ歪むし、手に対する反応が凄く良いです。

ミュート・スイッチ(㉜)はどこに接続されているんですか?
ボードの最後、ARC-4のアウトから直列でつないでいます。これはFREE THE TONEに作ってもらいました。モーメンタリー・スイッチなので、踏んでいる間だけプリ・エフェクトを全部ミュートできます。なのでミキサーのセンド/リターンに入っているポスト・エフェクトには効きません。

ラックの中にもペダルが置かれていますよね?
ラックの中のARC-53M(㊴)は、足下のARC-4で足りない分のループなんですよ。このARC-53Mのアウトからアンプにつながっています。Loop 1のThe Pill Mono(㊵)にはマニピュレーターから送られてくるクリックが入ってきて、その時だけ音が消えるんです。
なかなか珍しいペダルですよね。
サイド・チェインってギタリストはあんまりやらないですよね。レコーディングの手法で、信号が入ってきた時にだけコンプがかかるというものなんです。入力する音源のソースによって音が変わるので、クリックだけじゃなくてキックの音も入れています。
ミヤさんのマイクに接続されていたDeath By AudioのECHO MASTERは、どう使うのでしょう?
Death By Audioのボーカル用ディレイ、これめっちゃ良いです。今回はシューゲイザーの曲があるので、それ用に導入しました。発振もするんですよ。発振をPAにお願いするのは難しいのでね。奥田民生さんがBOSS DM-2のコントローラーをマイク・スタンドに付けていますけど、それと同じようなことができます。