2025年7月5日(土)Spotify O-WESTにて行なわれたenvyの『Eunoia』リリース・ツアー、“tour of eunoia 2025_Japan”追加公演に、盟友MONOがゲスト参加した。本記事では、Takaakira ‘Taka’ Gotoが使用したペダルボードを本人による解説と共にご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=小原啓樹
Taka’s Pedalboards
静寂と爆音を切り替える2枚組ボード
【Pedal List】
①BOSS / TU-3(チューナー)
②BOSS / RV-5(リバーブ)
③Mad Professor / Forest Green Compressor(コンプレッサー)
④Mad Professor / Super Black(プリアンプ/オーバードライブ)
⑤Jim Dunlop / JHF1 Hosokawa Mod.(ファズ)
⑥Danelectro / Fab Tone Hosokawa Mod.(ディストーション)
⑦BOSS / DD-3(ディレイ)
⑧strymon / FLINT V1(リバーブ/トレモロ)
⑨Walrus Audio / Slö Multi Texture Reverb(リバーブ)
⑩Earthquaker Devices / Afterneath(リバーブ)
⑪Morley / Steve Vai Bad Horsie 1(ワウ)
⑫Handmade / 2 Loop Switcher
⑬BOSS / RV-6(リバーブ)
⑭BOSS / PS-2(ピッチ・シフター/ディレイ)
⑮Mooer / Lofi Machine(ビット・クラッシャー)
⑯Earthquaker Devices / Hummingbird(トレモロ)
⑰TC Electronic / Ditto X2(ルーパー)
⑱BOSS / LS-2(ライン・セレクター)
⑲BOSS / RC-30(ルーパー)
⑳Electrical Audio / Custom Splitter
ギターからの接続順は、まず①〜⑫まで直列でつながれている。⑫はCULTの細川雄一郎氏が製作した2ループ・スイッチャーで、片方のループには⑬RV-6を、もう片方のループには⑭〜⑯の3台を接続。
⑫スイッチャーのアウトからは⑰Dittp X2を通って⑱LS-2へ。⑱LS-2のアウトから信号が2つに分岐されており、1つは⑳スプリッターを経由してTone Master Twin ReverbのNORMAL chの1にインプット。これがメインのサウンドで、通常のパートでは常時出力されている。
そして⑱LS-2のもう1つのアウトからは⑲RC-30に接続。ここでも信号が2つに別れ、1つは⑳スプリッターを経由してTone Master Twin ReverbのNORMAL chの2にインプット。そしてもう1つは⑳スプリッターを経由してマーシャルJCM2000 DSL100につながれている。これはファズやディストーションを踏む時に使用され、⑱LS-2をオンにすることで2台のアンプから音が出力される。

②RV-5はHALLモード、すべてのノブを12時に設定して常に踏みっぱなし。歪みペダルの前段に置くことでシューゲイザーのようなサウンドを出している。
また、④Super Blackの左側のプリアンプchも常時オン。以前はレンタルした’65 Twin Reverbのコンディションが良くないことが多く、サウンドを整えるために導入したのだが、デジタルのTone Master Twin Reverbを使用している現在でも欠かせないペダルとなっている。「Run On」の中盤のアルペジオなど、フレーズによっては右側のオーバードライブchも使用。
Takaはたまにスティックでギターを弾くことがあり、③Forest Green Compressorはその時にオンにする。
⑥Fab ToneはMONOの結成当初から愛用する1台。CULTの細川雄一郎氏によって電源まわりがモディファイされているという。本機をオンにする際は同時に⑱LS-2も踏むことが多く、Tone Master Twin ReverbとJCM2000 DSL100の2台から爆音を出している。さらにつぶれたようなサウンドが欲しい時は前段の⑤JHF1も同時にオンに。⑤JHF1もCULTの細川雄一郎氏がモディファイしたもので、Takaの好みの音に近づけているとのこと。
⑦DD-3は音の良さから導入。本機のディレイを使用する楽曲はすべて同じセッティングで、右手の力加減で残響音をコントロールしている。
⑧FLINTはTaka曰く“天使の声みたいな音が出せる”という、ホール・リバーブをシミュレートした’80s REVERBを使用。DECAYノブはMAXまで上げられていた。
⑨Slö Multi Texture Reverbはアナログ・レコードの揺れのようなモジュレーション・リバーブが出せるとのことで、「Run On」や「We All Shine On」を始め最も使用頻度が高いという。本機もdecayノブとfilterノブがMAXまで上げられていた。
⑩Afterneathは薄めのショート・リバーブにセッティング。

左側のボードはノイズ専用とのことで、「Com(?)」のラストなどではこの中のペダルが活躍する。
⑪VAI-1はバイパス音含めTakaの音作りには欠かせないペダルで、本機込みのサウンドメイクになっているという。
⑬RV-6はSHIMMERモードにセッティング。オクーターブ上の幻想的な音を「We All Shine On」のクライマックス・パートを始め、ほかの楽曲でも加えている。
⑭PS-2、⑮Lofi Machine、⑰Hummingbirdはフレーズによってオン/オフを選択しているが、3台同時にオンにしてカオスな音像をつくこともあるとのこと。また、ここで作ったノイズを⑰Ditto X2に録音し、そのループ・フレーズをリバース再生したり、再生速度を落としたりし、その場で自由にノイズを生み出している。
⑲RC-30には事前にドローン・シンセやノイズなどをプリセットしており、そのサウンドはTone Master Twin Reverbから出力されている。この日のライブでは「We All Shine On」の後半で使用しているのが確認できた。
ボードの最後に置かれている⑳は、故スティーヴ・アルビニのスタジオ、Electrical AudioがTakaのために製作したワンオフもののスプリッター。最終段での音痩せに悩んでいたところ、このスプリッターを導入して改善されたという。
Interview
“なんとかしてもらえないか?”と頼んで
オリジナルで作ってもらったものですね。
Yodaさんと同じく、RV-5(②)は歪みペダルの前にセットしているんですね。
ちょっと変なんですけど、僕らはずっと歪みの前にリバーブを入れているんです。これはほぼかけっぱなしですね。
新たに追加されたForest Green Compressor(③)の使い方は?
僕はたまにスティックでギターを弾くんですけど、その時にだけ踏んでいます。それとSuper Black(④)っていうMad Professorのエフェクターがもう1台あって、これはTwin Reverbをシミュレートしたものなんですよ。Tone MasterのTwin Reverbを導入する前は世界中で’65 Twin Reverbをレンタルしていたんですけど、本当に全部コンディションが違ったので、これで音を調整できるようにしていましたね。Mad Professorはフィンランドのメーカーで、お会いしたらMONOのファンの方だったんです。それ以来ずっと使っていますね。
Tone Master Twin Reverbを導入した今もSuper Blackは活躍しているんですか?
これがサウンドのコアで、左側のchをプリアンプみたいにかけっぱなしにしています。右側にオーバードライブchも付いていて、そっちも使いますね。もともとMad Professorのオーバードライブが一番好きだったんですよ。
左側のボードにも、いくつか新しいペダルが追加されていますね。
こっちはノイズを出すためだけのボードです(笑)。PS-2(⑭)はピッチ・シフター・ディレイとして使っていて、MooerのLofi Machine(⑮)はぶっ壊れたノイズが出せて、EQDのHummingbird(⑯)もかなり強烈。Ditto X2(⑰)もノイズの再生速度を下げたり、リバースにしたり、色々といじっていて、今日のライブのエンディングはこっち側のペダルだけでやってる感じ(笑)。
ボードの最終段に置かれている赤いジャンクション・ボックス(⑳)の詳細も教えて下さい。
Electrical Audioっていうスティーヴ・アルビニのスタジオで作ってもらったスプリッターなんです。“ここで音が痩せないようになんとかしてもらえないか?”と頼んで、オリジナルで作ってもらったものですね。
サウンドの印象は?
めちゃくちゃ良いです! しかも電源を使わないパッシブ仕様なんですよ。もともとElectrical Audioはベース用のDIを作っていて、ウチのTamakiさん(b)が使っていたんですけど、それを見て“オレのも作ってもらえない!?”と頼んだら作ってもらえました。













