国産ブティック・ギター・ブランドのビルダーや仕掛け人たちに、音楽的なルーツやギター製作の哲学を聞いた『にっぽんのエレキ人 2026』では、各ブランドのオリジナル・ギター18本をDo As Infinityの大渡亮が徹底試奏! その試奏部分をWEBでもお届けしよう。今回はMary GuitarsのVispa L Donut-J2c。
取材/文=鈴木伸明 撮影=星野俊 デザイン=須藤廣高
Mary Guitars/Vispa L Donut-J2c

洗練された曲線を持つモダンなデザイン
メアリー・ギターズは、丸井優希が岐阜県大垣市で立ち上げたギター・ブランド。画家であった祖父、デザイナーであった父の影響を受けて芸術家を志したこともあったという丸井の、伝統にとらわれない柔軟なセンスにより、デザイン性、基本性能ともに高く評価されている。
DiscoとVispaの2つのラインナップを展開し、試奏したVispa L Donut-J2cは、主力モデルである軽量小サイズのVispaをひとまわり大型にしたモデル。ボディはアッシュ、ネックはメイプル、指板はローズウッド。ピックアップは、カリヤ・ピックアップのJM B+を2基搭載、ブリッジは3ウェイのTLスタイルを採用している。モデル名の末尾の“c”は、カスタム・スペックであることを表わしている。外周にシェイピングが施されたボディはトラディショナルかつ親しみやすさのある洗練されたデザインだ。

Builder’s Voice

丸井 優希 通常仕様からアッシュ・ボディやチタン・サドル、配線類などの素材を変更し、鳴りの組み立て方をアレンジした “Vispa”のカスタム・モデルです。全モデルに共通して音に芯がありますが、このJMピックアップのモデルは、音の煌びやかさとほどよい解像度の高さが特徴で、深く歪ませても音がきれいに抜けてくれるよう設計しています。初めて弾かれる方にはよく“見た目はビザール感があるのに、いい意味で裏切られる”と好評をいただいています。
Owatari’s Impression
いろんな要素が同居して不思議な感覚です

大渡亮 スライド・ギターを弾きたくなるようなシェイプですね。抱えてみるとLPジュニアに近い気もするけど、不思議な感覚です。ブリッジがTLスタイル、ピックアップがJMタイプで、ほかにない個性を追求していることが伝わってきます。
ネックは厚みがあって、個人的には弾きやすいタイプです。ピックアップはゲインが高めでワイドなレンジがあります。P-90を付けてもいい音がしそうですが、このピックアップのせいかハイが出ていて、あまり聴いたことのない個性的なトーンになっている感じがします。クリーン・トーンでセンターにするとフェンダーっぽいニュアンスが出てくる。
反応の速さはテレキャスっぽく、音が滲む感じはジャズマスターっぽい。ビンテージ感もモダンさも感じます。ボリュームはハイパス・フィルターが付いていて、リアのホットな感じが使いやすい。テレ好きで、さらにホットなトーンを求めている人にも向いている気がします。
