ギタリストなら絶対に聴くべきブリティッシュ・ブルース・ロックの名盤40枚(2/4) ギタリストなら絶対に聴くべきブリティッシュ・ブルース・ロックの名盤40枚(2/4)

ギタリストなら絶対に聴くべき
ブリティッシュ・ブルース・ロックの名盤40枚(2/4)

ギター・マガジンで連載中の40周年記念企画「偉大な40枚の○○○名盤」の内容を、本WEBサイトで順次公開します。第2回目の今回は、レッド・ツェッペリン、ジェフ・ベック・グループ、フリートウッド・マック、フリー、テイストの名作を紹介!

選盤・文:安東滋 

レッド・ツェッペリン
『Ⅰ』

●リリース:1969年
●ギタリスト:ジミー・ペイジ

ZEP流ブルース・ロックの桃源郷

初期ZEPを貫通する大きなキーワードは、ブルースを土台にした秀逸な楽曲アレンジにあり。それが顕著にクローズ・アップされた大名盤が、“ニュー・ヤードバーズ”期のマテリアルを下地に制作されたこの1st。「You Shook Me」、「I Can’t Quit You Baby」などブルース・スタンダードを豪快に編曲したトラック群は、まさにZEP流ブルース・ロックの桃源郷。

レッド・ツェッペリン
『BBC Sessions』

●リリース:1997年
●ギタリスト:ジミー・ペイジ

レアなラジオ音源トラック

69年と71年のBBCラジオ・セッション盤。ZEP流ブルース・ロックという視点では『Ⅰ』の楽曲を中心にしたDisc1が聴きもの。ライブ一発録りならではの生々しい音像が鮮やかに切り取られたエネルギッシュな演奏の中でも、目玉は正規盤未収録の「The Girl I Love She Got Long Black Wavy Hair」。本曲のリフは、後の「Moby Dick」の原型になったとも言われている。

ジェフ・ベック・グループ
『Truth』

●リリース:1968年
●ギタリスト:ジェフ・ベック

ブルース・ロック期のベックここにあり

ブルース・ロック期の野太いベックを聴くなら、この通称“第1期ジェフ・ベック・グループ”の1stが決定盤。愛器レス・ポールの太いトーンで豪快なブルース・ロックを弾き倒していた時代の逸品だ(当時はピック弾き)。ハード&ヘヴィな音像の中で魅せる、スリリングなインスピレーションはもう別格! 朋友ロッド・スチュワートとの絡みも最強。

ジェフ・ベック・グループ
『Beck-Ola』

●リリース:1969年
●ギタリスト:ジェフ・ベック

HR/HMの雛形ブルース・ロック

第1期ジェフ・ベック・グループの2nd。後のHR/HMの雛形とも位置づけられる、前作よりも格段にハード&ヘヴィに構築された音像の中でカラフルに躍動するベック印のギター・パフォーマンスが聴きどころ。ちなみに同期のベーシストは、のちにロッド・スチュワートとともにスモール・フェイセス(のちのフェイセズ)に移籍するロン・ウッド。

フリートウッド・マック
『Fleetwood Mac(ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マック)』

●リリース:1968年
●ピーター・グリーン/ジェレミー・スペンサー

際立つプレイ・キャラクターの対比

ジョン・メイオールの元を離れたピーター・グリーンが結成したフリートウッド・マックの1st。グリーンの真骨頂である、吟味された少ない音数でたっぷりと歌うモダンなスクイーズ・スタイルがより顕著に露出してくる作品だ。スライド・ギター専門の“エルモア・ジェイムス野郎”ことジェレミー・スペンサーとの、キャラ立ちした2ギター編成も目玉。

フリートウッド・マック
『Mr. Wonderful』

●リリース:1968年
●ギタリスト:ピーター・グリーン/ジェレミー・スペンサー

59レス・ポールの絶品トーンを聴け!

フリートウッド・マックの2nd。モダン派のピーター・グリーンとスライド野郎ジェレミー・スペンサー、この黄金コンビの際立つプレイ・キャラクターが満喫できる円熟の作品だ。ピーター・グリーンの愛器、59年製レス・ポールの極上トーンにも要注目。同器のPUをフェイズ・アウトさせた“鼻つまみ音色”もグリーンのトレードマークであった。

フリー
『Tons Of Sobs』

●リリース:1968年
●ギタリスト:ポール・コゾフ

“1音入魂”のギター・ワーク

愛器58年製レス・ポールを力感たっぷりに泣かせるポール・コゾフのギター・ワークは、まさに“1音入魂”の趣あり! そのコゾフを配する若き集団=フリーのデビュー作(リリース当時コゾフは18歳、ほかのメンバーも16歳~19歳という若さ)。その初期衝動が鮮やかに切り取られた本作は英国ブルース・ロックの新風が吹き込む秀作。

フリー
『Fire and Water』

●リリース:1970年
●ギタリスト:ポール・コゾフ

フリーの真骨頂ここにあり!

ブルージィな歌、泣きまくるギター、重~いドラム、美味なベース・ライン……このフリーの魅力と真骨頂が満載された3rd。シンプルなれど情感山盛りで奏でるポール・コゾフのギター・ワークは、今聴いてもグッと惹きこまれる(筆者の個人的な感想です:笑)。ブルース・ロック一辺倒という作品ではないが、ブルージィな音と曲作りが見事に昇華した逸品。

テイスト
『The Isle Of Wight Live』

●リリース:1972年
●ギタリスト:ロリー・ギャラガー

ガッツ全開で弾き倒す、圧倒的な熱量

アイルランド出身の熱血漢ロリー・ギャラガーが率いた“第2のクリーム”=テイスト。本盤は70年にワイト島ポップ・フェスティバルに出演した際のライブ音源。ガッツ全開のとびきりホットなギター・パフォーマンスが山盛りにされ、その熱量にはとにかく圧倒される! トレードマークはボロボロの愛器61年製ストラトと、チェックのシャツ(笑)。

ロリー・ギャラガー
『Live In Europe』

●リリース:1972年
●ギタリスト:ロリー・ギャラガー

熱い、熱い、とにかく熱い“漢”のギター!

ロリー・ギャラガーの真骨頂はライブ・パフォーマンスにあり! この72年初頭に行なわれたヨーロッパ・ツアーのライブ音源も、これまた熱い、熱い、とにかく熱い(いや暑苦しい?:笑)。渾身の熱量を込めてこれでもかとギターを弾き倒すその姿は、まさしく“漢”。ガッツまる出しのダイナミックな骨太ブルース・ロックが全編を貫き通している!

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*本記事はギター・マガジン2021年1月号にも掲載しています。

『ギター・マガジン2021年1月号』
特集:追悼 エディ・ヴァン・ヘイレン

12月11日発売のギター・マガジン2021年1月号は、エディ・ヴァン・ヘイレンの追悼特集。全6編の貴重な本人インタビューを掲載。