今回は、コード・ブックには載っていないようなコード・フォームを自分で作る方法を紹介します。
文・図版作成=ギター・マガジン編集部
前々回と前回では、自分の知っているコードを変化させて、別のコードのフォームを作る方法を説明しました。今回はこれを発展させ、自分でまったくのイチからコード・フォームを作る方法を紹介します。この方法を覚えると、コード・ブックには載っていないような、自分独自のフォームを作ることもできるようになります。
題材とするコードはC△7です。
予備知識
独自のコード・フォームを作る時に、まず必要となる知識は、そのコードの構成音です。今回はC△7を作りますので、その構成音を確認しておきましょう。
次の表のとおり、C△7はドを’1’(ルート)とし、’1・3・5・7’(ルート・長3度・完全5度・長7度)で出来ています。
コード名 | 構成音 | |||
---|---|---|---|---|
C△7 | 1 | 3 | 5 | 7 |
ルート | 長3度 | 完全5度 | 長7度 | |
ド | ミ | ソ | シ |
もう1つ必要な知識は、ドを’1’とした場合の指板上での各音の配置です。これは次の図のとおりです。
この図をすぐに丸暗記するのは難しいでしょうが、Cメジャー・スケールを弾く練習を重ねることで覚えられます。
※Cメジャー・スケールについては「第4回:Cメジャー・スケールを覚えよう」をご覧下さい。
フォームの作り方
C△7のフォームを作る手順はいたって単純で、Cメジャー・スケールの音の配置図の中から、’1・3・5・7’を指が届きそうな範囲で探して組み合わせるだけです。ただし組み合わせ方がまずいとC△7には聴こえないこともあります。そこで、次の4つのポイントもあわせて覚えて下さい。
- 一番低い音は’1’にする。
- その上の’1’、’3′、‘5’、‘7’はどんな順番でもかまわない。
- ‘1’、‘3’、‘5’、‘7’のいずれかが複数あってもかまわない。
- ‘5’がなくてもかまわない。
一般的なフォームで確認
まずはコードブックに普通に載っているコードが、上記の規則で作られているかどうかを確認してみましょう。例を5つを挙げます。
以上の5つのフォームが、どれも’1・3・5・7’の組み合わせでできていることがおわかりいただけたと思います。
また、一番低い音が’1’になっていることや、一番低い’1’以外は順番がまちまちであること、そして5本の弦を鳴らすフォームにおいては、’3’や’5’が2箇所にある点にも気付いたと思います。
独自のフォームの作り方
次は自分独自のフォームを作ってみましょう。
先に書いたとおり、Cメジャー・スケールの音の配置図の中から、’1・3・5・7’を指が届きそうな範囲で探して組み合わせるだけでC△7は出来上がります。
このすぐあとに筆者が思いついた例を紹介しますが、できればまずは自分で次の配置図(先程のものと同じです)を見ながら、上記の5つとは違うフォームを見つけてみて下さい。きっと色々なC△7のフォームが発見できると思います。
では筆者が思いついたフォームの例を6つ紹介します。
以上、6つのフォームを紹介しました。
ところでC△7というコードの面白いところは、その構成音のうちの’5’は3弦、’7’は2弦、’3’は1弦の開放で鳴らせるというところかと思います。そこで、開放弦をからめたフォームも2つ考えてみました。
なお、この2つの例のように「押さえるポジションはハイ・ポジションでありつつ、そこに開放弦も加えたコード」を「オープン・ハイ・コード」という名で呼ぶこともあります。
さて、筆者が思いついた例としてもう1つ、12フレットでの「ハーモニクス」を使ったものも紹介します。図の中の菱形がハーモニクスのポイントを表しています。
ハーモニクスは、弦長の1/2、1/3、1/4~の位置に左手の指を軽く触れさせて右手でその弦をはじき、ほぼ同時に左手を弦から離すと鳴ります。“ポーン”とか“ピーン”などと形容されるように、澄んだ音が出ます。また、弦長の1/2、1/3、1/4の位置はどこにあるかというと、12フレット、7フレット、5フレットの真上です。
上のフォームの例は、そのうちで一番鳴らしやすい12フレットのハーモニクスを利用したものです。音の高さは3弦、2弦、1弦の12フレットを普通に押さえた時と同じですが、ハーモニクス特有のサウンドになります。
付録:「指板図くん」でフォームを作ってみよう
今回紹介したコード・フォームの作り方は、自分で実際にギターを持ちながら試すことをお薦めしますが、手元にギターがない時は、ギターコード指板図くんの「作ろう! マイコードブック」をご利用下さい。このアプリには、自分でフォームを作る機能やコード名を判定する機能、サウンド機能などがありますので、今日覚えたことがバーチャルに体験できます。
使い方を説明します。まずパソコンで「作ろう! マイコードブック」にアクセスして下さい。
作ろう! マイコードブック
https://guitarmagazine.jp/mychordbook/
*本アプリはパソコン用です。
音声ファイルのロードが完了すると、次の図と同じ画面になります。なお赤い文字と枠線は説明用に入れたものなので、実際には表示されません。
最初は6弦の部分に灰色の帯がかかっています。この帯はルートにする弦がどれかを表しています。
次に左側の「ルート弦選択」と書かれているところで、「5弦」のボタンをクリックします。これで灰色の帯が5弦に移動します。なぜここで5弦を選択しておくのかというと、5弦3フレットのドをルートとしたフォームを作るからです。
次に指板上の5弦3フレットの位置をクリックして下さい。その位置にルートを表わす二重丸が表示されます。
次に「指板ガイド」の選択ボタンで、「度」をクリックします。これにより、指板上には1234567の番号が現われます。これはC音をルートとした場合の各弦各フレットの度数で、つまり今日紹介した配置図と同じものです。
次にルートとした5弦3フレットに近い位置で、1、3、5、7の数字が付いたところを見つけ、適当に選んでクリックします。コードがC△7になると、指板図の上に「C△7」と表示されます。
フォームが完成したら、「自動ストローク」ボタンをクリックして下さい。これで音が鳴ります。自分で作ったフォームがどんな響きになるかを確かめましょう。
他のフォームも作ってみて下さい。例えば次の図はオープン・ハイ・コードのC△7の完成図です。
次の図もC△7のフォームです。このように人の手では押さえられないような極端なフォームも作れます。
「作ろう! マイコードブック」をこのように活用すれば、独自のフォームを簡単に見つけることができようになるでしょう。
次回は今回の続編として、コード・フォームをより素早く見つけるために役立つノウハウを紹介します。
本講座の関連コンテンツ
指板図くんのギターコードブック
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【CONTENTS】
◎コードとは?コード進行とは?
◎Cの構成音と、いろいろな押さえ方
◎C6、C7、C△7の構成音と、いろいろな押さえ方
◎Cメジャー・スケールを覚えよう
◎ルートとは?度とは?
◎コードの構成音一覧
◎三和音とは?
◎四和音とは?
◎テンション・コードとは?
◎omit3とは?add9とは?sus4とは?
◎分数コードとは?
◎続・分数コードとは?
◎コードは平行移動で覚えよう
◎続・コードは平行移動で覚えよう
◎フレット数の書かれていないコード・ブック
◎続・フレット数の書かれていないコード・ブック
◎コード・フォームを自分で作る
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