2023年10月15日に武道館で開催された、ストレイテナーの結成25周年&メジャー・デビュー20周年を記念した公演“25TH ANNIVERSARY ROCK BAND”。そのリハーサルに潜入し、大山純(g)の使用機材を撮影した。多彩な歪み、スペーシーな空間系サウンドをも生み出す巨大なペダルボードと、用途に合わせて使い分ける2台のアンプを徹底的に解説!
取材/文=伊藤雅景 写真=大谷鼓太郎
Pedalboard
使用ペダル
①Morley/Mark Tremonti Power Wah(ワウ)
②BOSS/PS-6(ハーモナイザー)
③FREE THE TONE/ARC-3(プログラマブル・スイッチャー)
④FREE THE TONE/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
⑤Rock Stock Pedals/The Raven Overdrive V2(オーバードライブ)
⑥One Control/Persian Green Screamer(オーバードライブ)
⑦Anasounds/CERBERUS(オーバードライブ)
⑧EarthQuaker Devices/Cloven Hoof(ファズ)
⑨BOSS/TB-2w(ファズ)
⑩iSP Technologies/Decimator II(ノイズ・リダクション/ゲート)
⑪BOSS/SY-1(ギター・シンセサイザー)
⑫Neunaber Audio Effects/Wet Reverb(リバーブ)
⑬Electro-Harmonix/Small Clone(コーラス)
⑭Electro-Harmonix/Small Stone(フェイザー)
⑮Electro-Harmonix/Cathedral(リバーブ)
⑯Electro-Harmonix/Nano Holy Grail(リバーブ)
⑰BOSS/DD-500(ディレイ)
⑱One Control/Tri Loop(ループ・スイッチャー)
⑲MOOER/GE250(マルチ・エフェクター)
⑳BOSS/TU-3w(チューナー)
㉑FREE THE TONE/PT-3D(パワー・サプライ)
㉒FREE THE TONE/PT-1D(パワー・サプライ)
㉓FREE THE TONE/カスタム・ジャンクション・ボックス
スイッチャーでコントロールしているペダル
2台のスイッチャーをダイレクト・モードで使用している大山。必要なサウンドに合わせて各エフェクトを重ねがけしていることも多い。以下では、スイッチャーに貼られたラベルに対応する形で、各ループの構成を記載した。
ARC-3(③/スイッチャー)
バンク名 *1 | ペダル番号 *2 | |
L1 | CRUNCH | ⑤ |
L2 | DRIVE | ⑥ |
L3 | SOLO | ⑦ |
L4 | FUZZ | ⑧+⑨+⑩ |
L5 | DELAY-1 | ⑰ |
L6 | SYNTH | ⑪ |
L7 | REVERB | ⑫ |
L8 | TWIN REVERB(現在はワン・コントロール) | ー |
ARC-53M(④/スイッチャー)
バンク名 *1 | ペダル番号 *2 | |
L1 | PHASER | ⑬ |
L2 | CHORUS | ⑭ |
L3 | REVERB | ⑮ |
L4 | GRAIL | ⑯ |
L5 | ー | ー |
*2:そのバンクに接続されているペダルの番号
ルーティング解説
ギターからの信号は、最初にワウ①、その後にハーモナイザー②を経由し、スイッチャー③のセパレート・ループL8のINに向かう。
③に入った信号は3つの出力系統に分岐し、それぞれ以下のとおりスイッチャー④の3つの入力系統に接続される。
ARC-3(③)から出力される信号の入力先
- OUT B→スイッチャー④のINPUT
- L8 SEND→スイッチャー④のL5 IN(セパレート・ループ)
- HTS-OUT→スイッチャー④のL5 RETURN(セパレート・ループ)
スイッチャー④からの出力先は2系統あり、ここで前述した2台のアンプへと振り分けられる。
ARC-53M(④)からの出力
- L5 OUT→マルチ・エフェクター⑲、ジャンクション・ボックス㉓を経由し、ギミック用アンプ(ワン・コントロール/BJF-S66)へ
- OUTPUT→ジャンクション・ボックス㉓を経由し、メイン・アンプ(フェンダー/Super Sonic)へ
また、それぞれのアンプに送られているシグナルの内容は下記のようになる。
- ワン・コントロール/BJF-S66:①、②、(③のバッファー)、マルチ・エフェクター⑲のみを経由した信号
- フェンダー/Super Sonic:①、②、③のL1〜L7+④のL1〜L4のなかで、オンになっているペダルのエフェクトが反映された信号
◆
③ARC-3のL8は出力先の切り替え、④ARC-53MのL5は入力の切り替えとして機能しているため、各スイッチを踏んだ時のアンプへの出力は以下のようになる。
ARC-3 L8 ON | ARC-3 L8 OFF | |
ARC-53M L5 ON | 2台とも鳴らない | 2台とも鳴る |
ARC-53M L5 OFF | ギミック用アンプ(ワン・コントロール/BJF-S66)のみ鳴る | メイン・アンプ(フェンダー/Super Sonic)のみ鳴る |
代表曲のイントロで使用するエフェクターの組み合わせ
多くのペダルを駆使しバラエティ豊かなサウンドを生み出す大山。ここでは、ストレイテナーの楽曲を一部抜粋し、使用しているペダルの組み合わせを紹介しよう。
楽曲名 | ペダルの組み合わせ |
彩雲 | ⑤+⑥+⑧+⑮+⑯+⑰ |
宇宙の夜 二人の朝 | ⑤+⑧ |
STNR Rock and Roll | ⑤+⑥+⑨+⑩ |
Parody | ⑨+⑪ |
DAY TO DAY | ⑥+⑧ |
246 | ②(PITCH SHIFTERモード)+⑤ |
Death Game | ②(S-BENDモード)+⑤+⑧+⑩ |
①Morley/Mark Tremonti Power Wah(ワウ)
②BOSS/PS-6(ハーモナイザー)
③FREE THE TONE/ARC-3(プログラマブル・スイッチャー)
④FREE THE TONE/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
⑤Rock Stock Pedals/The Raven Overdrive V2(オーバードライブ)
⑥One Control/Persian Green Screamer(オーバードライブ)
⑦Anasounds/CERBERUS(オーバードライブ)
⑧EarthQuaker Devices/Cloven Hoof(ファズ)
⑨BOSS/TB-2w(ファズ)
⑩iSP Technologies/Decimator II(ノイズ・リダクション/ゲート)
⑪BOSS/SY-1(ギター・シンセサイザー)
⑫Neunaber Audio Effects/Wet Reverb(リバーブ)
⑬Electro-Harmonix/Small Clone(コーラス)
⑭Electro-Harmonix/Small Stone(フェイザー)
⑮Electro-Harmonix/Cathedral(リバーブ)
⑯Electro-Harmonix/Nano Holy Grail(リバーブ)
⑰BOSS/DD-500(ディレイ)
⑱One Control/Tri Loop(ループ・スイッチャー)
⑲MOOER/GE250(マルチ・エフェクター)
⑳BOSS/TU-3w(チューナー)
㉑FREE THE TONE/PT-3D(パワー・サプライ)
㉒FREE THE TONE/PT-1D(パワー・サプライ)
㉓FREE THE TONE/カスタム・ジャンクション・ボックス
Amplifier
Fender/Super Sonic 60

ストレイテナーのリード・サウンドを長年支えているコンボ・アンプ
メイン・アンプは60W仕様のSuper Sonic。もともとは楽器チームが所有していた個体で、大山がストレイテナー加入後に買い取ったそうだ。現在もライブ/レコーディングの一軍アンプとして活躍している本機は、“ほかのSuper Sonicとは毛色が違う”面白い音が鳴るとのこと。
モードはBASSMANでチャンネルはBURNを使用し、クランチ・サウンドにセッティング。クリーンを鳴らす際はギター側のボリュームを絞っている。武道館ライブでは「DAY TO DAY」の激歪みなリフから、「シンクロ」の繊細なクランチ・アルペジオまで、幅広いゲイン幅を1つのチャンネルで難なく出力しており、本機の潜在能力の高さがうかがえた。
One Control/BJF-S66 HEAD & OC-EM112C CABINET

空間系エフェクトをより際立たせるトランジスタ・アンプ
空間系や飛び道具系のサウンドを出力するためにセッティングされたワン・コントロールのトランジスタ・アンプ。クセのないキャラクターが特徴とのことで、レコーディングでもフラットなサウンドを鳴らす際に活躍する。
ライブで本機による音色が聴けたタイミングは「Melodic Storm」の曲入り前など。大山はリバース・ディレイをかけた逆再生フレーズを弾いているのだが、上述のSuper Sonicの音色に比べて、一層クリアで煌びやかな音像が印象的だった。