エドワード・ヴァン・ヘイレン1978年の初々しいお宝インタビュー エドワード・ヴァン・ヘイレン1978年の初々しいお宝インタビュー

エドワード・ヴァン・ヘイレン
1978年の初々しいお宝インタビュー

リア・ピックアップひとつと
アーム・ユニットが必須。

普段はどういった練習をしているの?

 じっと座って練習するってことはないね。部屋に閉じこもって、“さあ、マジにやるぞ”なんてことはない(笑)。退屈になったらギターを弾くだけのことさ。

曲作りはギターですることが多い?

 もちろん。でも、そうでないこともある。大抵は頭で考えるんだ。いつも頭でリフを考えている。何も考えてない時もあるだろうって思う人もいるかもしれないけど、そんなことないよ。僕は音楽のことをいつも考えてるのさ。

ひらめいたアイディアをあとで思い出すことってできる?

 できることもあるし、できないこともある。大抵はあまりにもハイになってるんで、忘れちゃうけど(笑)。

機材について教えてくれる?

 いいよ。今日ステージで使ったのは僕のセットアップじゃないんだ。日本でツアーしてたんだけど、帰って来る途中で盗まれた。パン・アメリカンの航空貨物便でだよ! 畜生め! 同じ飛行機に乗せなかった一部だけが盗まれたんだ。65年製くらいの古いマーシャルを4台持ってたんだけど、サン・フェルナンド・ヴァレーにいるホセっていう奴が大きなトランスフォーマーを入れて強力にしてくれてね。僕はアンプと一緒に電源変圧器を使ってる。ヴァリアック(Variac) というメーカーのものだ。大きなボックスで、電圧を調整するツマミが付いていて、それを通すと140ボルトまで上げることかできる。本来アンプは100ボルトまでだけど、130か140ボルトまで上げてしまうんだ。そうすると真空管はすごく熱くなるんで、扇風機を回しておかないといけない。このアンプは、ギグの1回おきに壊れてたんで、 2日に1回は真空管を交換しないといけなかった。でも、すこいんだぜ! 強力にオーバードライブして、ほかでは出せない音が得られる。10時間以上は使えないけどね。10時間も使えないかもしれないな。だって1回おきのギグで壊れるんだから。フライになっちまうんだよ。というわけで、いつも使っていた良いアンプ4台は、今はもうないんだ。

今は何を持ってるの?

 複雑なセット・アップが3通りあるんだよ。100ワットのヘッドが3つあって、ミュージックマン、イギリス製のレイニー・アンプを2、3台、そして新しいマーシャルを2、3台使っている。古いアンプをなくしたんで、今はいろいろ試してるところなんだ。メイン・セットには100ワットのアンプを3台使っていて、それでギター・ソロをやって、それからギターとアンプを第2セット・アップに替えるんだ。第3セット・アップはバックアップのためのアンプ3台だよ。

ということは、ギターによってアンプを変えているわけ?

 そう、別々のセット・アップにプラグインされている。第1セット・アップに何か問題があれば、別のギターを使う。セット・アップは直さなくてもいいんだ。ヘッドはすごくたくさんもっているから、それをいろんな組み合わせで使ってみて、良い音が出るのを祈るだけだよ。今はすごくうまくいってる。ギターは同じスタイルのものを使ってるね。リア・ピックアップひとつとアーム・ユニットが必須。これが今好きなサウンドなんだよ。ただ、次のアルバムでどうなるかはわからないけど。

エフェクターは?

 エコープレックスを使ってる。フランジャーは微妙なタッチを出したい時だけに使う。イントロには使わないで、ところどころで使ってるだけだ。例えば、低い音の1ノートを出したい時なんかにスイッチをオンにすると、ちょっとした効果が得られる。MXRフェイズ90を使ってるけど、これはトレブル・ブースターとしての効果が好きなんだ。ソロの時に切り込んでいける。それだけかな。ユニボックスのエコー・ボックスも使ってるけど、別のモーターを組み込んだんで遅いディレイがかかるようになった。アルバムでは「暗闇の爆撃」のソロの終わりのノイズがユニボックスだね。爆弾のところで使ってるヤツだよ。

ヘンドリックスは好きだけど、
クラプトンほどに好きだったことはない。

バンドの中でギターを弾くという点で心がけていることは?

 好きなことをやってるよ。そういうことはあまり考えないな。このバンドの素晴らしいところは、みんなそれぞれが好きなことをやってるってことだ。厳しい決まりはない。みんなでアイディアを出し合って、なるようになるだけさ。

ライブの曲目は変える?

 どういう意味? 例えば明日プレイする時に、今日とまったく同じかどうかってこと?

そうだね。挑戦しようという気持ちでステージに臨むわけ?

 もちろんさ。アルバムで弾いたほとんどのソロは忘れちまってるからね。ほとんどはかなりスポンティニアスで、きっちり決まってるわけじゃない。前にキーボーディストがいたんだけど、奴に合わせるためにきっちり同じに弾かなければいけないのがすごく嫌だった。ボーカル・メロディの間もヤツが埋めようとしてたんで、こっちは好きなように弾くことすらできなかった。僕は弾きまくりたかった。弾き過ぎの時もあるのかもしれないけどね。だけど、ギターを弾くのが好きなんだ。自分が埋めたいと思うパートを人が埋めるのは嫌だね。昔から3ピースでやりたいと思ってたのも、弾きまくりたかったからなんだろう。

最も影響を受けたギタリストは?

 それは何とも言えないなあ。一番と言うと、エリック・クラプトンになるかな。僕が彼のような音を出してるかどうかはわからないけど。

むしろ、ヘンドリックスやブラックモアに似ているんじゃない?

 ああ、わかってるよ。でも、なんでなんだろう。ヘンドリックスは好きだけど、クラプトンほどに好きだったことはない。クラプトンのソロは今でも1音1音全部覚えてるくらいなのにね。

暗符したわけ?

 そうさ! アルバムを聴いてコピーしていた。「スプーンフル」や「アイム・ソー・グラッド」のライブ・バージョンとかね。ヘンドリックスもそうだよ。ほかのバンドと同じく、僕らの場合も共通して好きなものがひとつあるわけじゃない。ボーカルのデイヴはステレオさえ持ってないんだから。彼はラジオを聴いてるから、いろんなものを耳にしてる。だから、アルバムには「アイス・クリーム・マン」みたいに叩きまくりのデカいサウンドとは違う感じの音も入っている。メロディックなものが好きなんで、たとえ風変わりなギターやこの世の終わりとも思えるようなドラムが入っていたとしても、ほとんどの曲は口ずさめるよ。

君が辿ってきたルーツを辿りたいと思っている若いギタリストへのアドバイスは?

 自分のやっていることを楽しむことだよ。ロックンロール・スターになりたいからといって、ギターを手にして、“俺はロックンロール・スターになりたいんだ”なんて言ったってしょうがないだろう? まずギターを弾くことを楽しむことだ。そうでなければやっている意味がない。とにかく有名になりたいって人を大勢知ってるけど、彼らはギターなんか練習しない。ただ髪の毛を伸ばして、フリーキーに飛び跳ねていればいいと思っていて音楽のことを忘れてる。ひどい話だ。音楽を習うってことは、弁護士になるために学校に通うのと同じことかもしれない。それでも楽しまないといけないよ。でなかったら、時間の無駄さ。

ギタリストでも譜面を読むことは役に立つと思う?

 モノによってはね。でも、僕の役に立ったとはあまり思わないな。曲作りにも大して役立っていないしさ。大抵はアイティアだけ覚えて、それをテープに入れる。スタジオ・ミュージシャンだと、譜読みができないといけないんだろうけどね。僕がロックンロールを好きなのは、テクニックよりもフィーリングを重視するからだ。やたらとテクニカルなバンドは生き生きしてないから嫌いだね。いいミュージシャンのいる気取らないロックンロールが好きなんだ。

ギターで新たな分野を開拓しようと思ってる?

 もちろんさ。すごく良いアコースティックの曲があるんだ。アコースティック・ギターは持ってないんで、エレクトリックで弾いたけど、リフがアコースティックっぽいから、アコースティックで弾いたほうがずっと良くなることはわかっている。それからキーボードも弾いている。兄貴もだよ。だから、次かその次のアルバムでピアノやシンセサイザーが入ったとしても驚かないでくれ。次のアルバムではそんなに劇的な変化はみられないと思うけどね。何もかもやたらと変えてしまうっていう間違いを犯す連中が多すぎるよ。僕だって、そういうのは“こんなの嫌いだ”って思うもの。

『ギター・マガジン2021年1月号』
特集:追悼 エディ・ヴァン・ヘイレン

12月11日発売のギター・マガジン2021年1月号は、エディ・ヴァン・ヘイレンの追悼特集。全6偏の貴重な本人インタビューを掲載しています。