B’zの松本孝弘が監修するエフェクター・ブランドIndigo Noteについて、開発担当者にインタビュー! B’zの松本孝弘が監修するエフェクター・ブランドIndigo Noteについて、開発担当者にインタビュー!

B’zの松本孝弘が監修するエフェクター・ブランドIndigo Noteについて、開発担当者にインタビュー!

松本孝弘の監修によるエフェクター・ブランド、Indigo Noteが12月に始動。 ブランド第一弾として、FIXED WAHのリリースが発表された。 今回はIndigo Noteの開発担当者である永田 伴暁氏にインタビューを行ない、ブランド設立の経緯や新製品について語ってもらった。

取材・文=関口真一郎

Indigo Note第一弾製品“FIXED WAH”

IndigoNote/Fixed Wah

【スペック】
入力端子:1/4 標準フォーン INPUT, OUTPUT
最大入力レベル:0dBu
入力インピーダンス:1MΩ
出力インピーダンス:10KΩ
トゥルーバイパス
電源:9V バッテリー (006P) or DC9V センターマイナスアダプター/プラグサイズ=穴径 2.1mm 外径 5.5mm
消費電流:10mAh
寸法:79(W)×124(D)×40(H)in mm ※突起含まず
本体重量:600g
価格:52,800円(税込)

【問い合わせ】
株式会社B ZONE TEN事業部 contact@indigonote.jp

Indigo Noteブランドサイト
https://indigonote.jp

筐体のロゴは松本さんの直筆です

まずは新ブランドIndigo Noteが誕生した経緯から聞かせていただけますか?

 我々の通常業務はB’zや松本さんが稼働する時に機材のセッティングをしたり、新しくシステムを開発したりすることなんですが、これまで形にしてきたものを世の中に出していけるプロジェクトをやってみたいと、まずは松本さんに相談したんです。そうしたら“やろうよ、何でも協力するよ”と。もう、そうおっしゃっていただいたら、やるしかないですよね(笑)。

これまでこちらで製作・販売されてきたモデルとは大きく異なるものなんでしょうか?

 回路自体はこれまでとほぼ同じです。プリプロだったり、ギターのダビングだったり、そうした場で色々と松本さんとお話しする中で、従来の仕様を踏まえながら、調整を加えたモデルになっています。松本さんが求める音というこれまでのコンセプト自体に変わりはないですね。

ブランド名のIndigo Noteに込められた意味とは?

 こうしたプロジェクトを始めてみたいと松本さんにご相談した時、松本さんが“じゃあ、名前を考えてみるよ”と。それでいくつか候補をいただいた中の1つです。“Indigo”は日本語で言うと“藍色”の意味で、日本独特のカラーですよね。ブランド名には“我々日本人の独特な音”という意味が込められているんです。

和のテイストということでしょうか?

 和といいますか、我々独自のサウンド。松本さんは藍色のことを“日本独特の色”という言い方をされていましたね。当初からブルーを基本色にしたいという話はしていて、松本さんとご相談したり、塗装業者の方にご協力をいただきながら、色を決めていきました。よく見るとメタリックのラメが入っていて、見る角度やスポットが当たったりすると、印象が変わるんです。

ギター・マガジン2023年11月号でB’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-の機材取材をさせていただきましたが、そこで使われていた青いプロトタイプ(TEN製プロトタイプ)を製品化したのが、今回のラインナップということですよね。そのプロトタイプとの違いはありますか?

 ツアーのリハーサルまでには間に合わせようとして製作していたので、中身はほぼ同じです。ツアー中に微調整したという感じですね。ただ、ツアーの時点でブランドのロゴが決まっていなかったんですよ。松本さんとご相談していたものの、なかなか決め手がなくて。

 そうしたらある日、松本さんがこんなのはどう?という感じでおもむろに紙に書き始めたんです。じゃ、それを下さい!と(笑)。最初は鉛筆かボールペンで書いていたんですが、ちゃんと書き直すからと持って帰られて。この筐体のロゴは松本さんの直筆なんですよ。

そうなんですか! ブランド名を始めとして、カラーやロゴにも松本さんの意見やアイディアが反映されているんですね。

 結局、すべてお世話になってしまいました。筐体の中央にある漢字もそうです。“藍”の下に“音”をくっつけた創作漢字で、ブランド・マークのようなものですね。こちらも松本さんの直筆です。

B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-では、アンプまわりがTwo-Rockに統一されたこともあって、それが今回のエフェクター開発につながったのかと思っていたんですが、そういうわけでもなかったんですね。

 今回、新しくエフェクターのラインナップを立ち上げたことについて言えば、もともとオーバードライブが欲しいと思っていたんです。でも、なかなか気に入ったモデルが作れなくて。そこで筐体を変えてみたらどうだろうかと。

 これまではダイキャスト製でしたが、鉄の筐体にしてオーバードライブを作ってみたんです。そうしたらなかなか良いものができたので、ほかの機種にも応用してみようと思い立ったのが、今回の製作のきっかけの1つにはなっていますね。

鉄を筐体に使うと、具体的にどのような効果が得られるのですか?

 音にコシが出てきますよね。場合によっては、それが不要なこともあります。僕らの中ではオーバードライブには有効でした。

デザイン的にも従来のモデルを踏襲している感じですか?

 だいぶ小さくなっています。これまで製作していたモデルは正面から見ると、やや正方形で、高さもありましたよね。でも、新しい筐体は背が低くて、回路の入る限界まで小さくしています。それと通常、板金で製作すると筐体の角が鋭くなってしまうんですが、アールをつけて滑らかにしたかったので、色々と板金屋さんと相談しながら、角に丸みをつけました。

そういう意味では、従来のモデルを踏まえながらも、別物になっていると?

 まったくの別物ですね。ちなみにノブもフットスイッチのカバーもカスタムで作ってます。なかなかいいものがなかったので、作ってしまおうと。アルミの削り出しなんですよ。

機材は耐久性も重要なポイントですが、B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-では、大阪公演で激しい雷雨に見舞われました。それにも耐えて?

 耐えました(笑)。

十分にロードテスト済みということですね。

 ロードテストは僕らの中では凄く重要なんです。これまでどおり、今回“も”松本さんの機材はノー・トラブルでした。僕も現場では色々と立ち会いますし、実際の使用結果を踏まえた上で、仕様を詰めていけるというのが、僕らの強みの1つだと思いますね。

FIXED WAHは松本さんサウンドの象徴ですね

それではまず第一弾のリリースとなるFIXED WAHからご紹介してください。ここに完成品がありますが、持ってみると重いですね。

IndigoNote/FIXED WAH
Indigo Note/FIXED WAH

 筐体の重みだけで、その重さになってます。中はワウだけのシンプルな回路です。バッファーやブースターも入っていません。ほかのモデルは別途設計しますが。

新ブランドの第一弾としてFIXED WAHを選ばれた理由は?

 これこそ松本さんサウンドの象徴だからですね。これ以外ありえないだろうと。

本機の製作でこだわったところは?

 ワウの回路自体はシンプルなので、これに関してはパーツ選びですね。一般的なワウのポットだと音がギャンギャンと言いすぎてしまうので、ニュー・オールドストックと言いますか、昔のワウのポットを使っています。こういう固定タイプのモデルには相性が良くて、苦労してパーツをかき集めました。

 それとQ(ワウのピークの鋭さ)を少しいじってます。FIXED WAHはワウの半踏み状態を固定できるワウですが、帯域を固定してしまうと、弾くポジションによって効きの印象が変わることがあったんですね。そのあたりも色々と考えながら調整しています。

ロー・ポジションで弾いても、ハイ・ポジションで弾いても、違和感がないような?

 そうですね。ワウですから、ノブの設定によってバンドパスフィルターの帯域が移動しますよね。その際、フィルターのカーブの頂点を尖らせると、音が鋭くなって聴こえはいいんです。でも、こうした固定タイプだと、弾くポジションと、その効果のマッチングが合わないことがあるんです。なので、その頂点をなだらかにして扱いやすくてあります。簡単に言うと、優しい音になっていますね。

B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-ではFIXED WAHは11時くらいでした。これくらいが松本さんのお好みですか?

 そうですね。

監修していただけるなんて、ビックリですね

B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-に参加した人はすでにIndigo Noteの音を耳にしていることになるわけですが、今回のセットリストの中でFIXED WAHの音が顕著に感じられる曲をあげるとすると?

 「LOVE PHANTOM」、「RUN」、「星降る夜に騒ごう」、「Calling」……。ほとんどの曲で使っていますね。

ソロで使うことが多いですか?

 そうですね。ほかには「ultra soul」のイントロ、「IT’S SHOWTIME!!」、「兵、走る」のソロ、「STARS」のイントロ。あとは「YES YES YES」のソロとか。CDでは入っていないんですけど、ライブでは入れました。最近の曲は半々くらいですが、古い曲ではけっこうFIXED WAHが使われていますね。

今回の製作にあたって、松本さんから特別に何かリクエストはありましたか?

 音に関しては、その都度話し合いをさせていただいているので、今回に限ってということは特にないんですが、まずはロゴですよね。それとカラーについては本当に申し訳ないくらいご相談させていただきました。

今後の発売予定ですが、まずは第一弾として2023年12月15日にFIXED WAHが発売され、その後、順次ニュー・モデルがリリースされるとのことですね。

 そうですね。これまで形にしてきたものが多々ありますから、エフェクターに限らず、そうしたものを少しずつ製品化できたらいいと思っています。

では、ニュー・モデルモデルのリリースを心待ちにしているユーザーにメッセージをお願いします。

 これまで製作してきたモデルを受け継ぎながらも、刷新したものになっていますので、従来のモデルを愛用している方も、ぜひその音の違いを店頭で体感していただければと思います。

 それと今回の大きなポイントとしては、これまで製作してきたモデルは、あくまでも弊社で開発したモデルを松本さんに使っていただいているという形でしたが、今回は “監修:松本孝弘(Supervised by Tak Matsumoto)”となっていることなんです。

初の松本さん監修による機材ブランドということでよろしいんでしょうか?

 初です。監修していただけるなんて、ビックリですね。

FIXED WAHをよく見ると、筐体にモデル名が入っていませんね。

 筐体には書いてありませんが、モデル名はFIXED WAHです。ロゴを直筆で書いていただいたら、それ以外の要素をデザイン的に入れようがなくて。すでに収まりがいいですからね。もうこれでいいかと(笑)。今後のモデルもこういう感じになるんじゃないかと思います。

 それと言い忘れましたが、こだわりのポイントとしては目盛りのセンター位置を示す★マーク。B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-のロゴにも使われている★マークですね。あとはULTRA CUSTOM EFFECTSという文字の“ULTRA”。この2つはどうしても入れたかったんです。松本さんに“これを入れたいんですが、いいですか?”とお聞きしたら、笑いながら“いいよ”と(笑)。このあたりは僕のこだわりですね。

松本孝弘
松本孝弘のコメント
「この度、” Indigo Note ” というブランドを立ち上げる事となりました。このブランドは、長年僕のサウンド創りを支えてきてくれたエンジニアの永田と共に、現状に満足する事なく、常により良いサウンドを探求し、そして発信していく僕達の SOUND BASE です。 先ずは FIXED WAH からスタートしますが、この後もゆっくりではありますが、クオリティの高いプロダクツをより多くのギタリストの皆様に提供していければと考えています。 何卒宜しくお願いいたします」B’z 松本孝弘

Indigo Note第一弾製品“FIXED WAH”

IndigoNote/Fixed Wah

【スペック】
入力端子:1/4 標準フォーン INPUT, OUTPUT
最大入力レベル:0dBu
入力インピーダンス:1MΩ
出力インピーダンス:10KΩ
トゥルーバイパス
電源:9V バッテリー (006P) or DC9V センターマイナスアダプター/プラグサイズ=穴径 2.1mm 外径 5.5mm
消費電流:10mAh
寸法:79(W)×124(D)×40(H)in mm ※突起含まず
本体重量:600g
価格:52,800円(税込)

【問い合わせ】
株式会社B ZONE TEN事業部 contact@indigonote.jp

Indigo Noteブランドサイト
https://indigonote.jp