フラットピッキングの使い手が
ブルーグラスの殻を破る多彩なカバーに挑戦
ブルーグラス・シーンに止まらない注目を集め始めた27歳の才媛にとって、ブルーグラスだけに限らないバックグラウンドを物語る全10曲のカバーに挑んだこの3作目は、大きなステップになるに違いない。
まずは、あまりにも有名なピアノによるイントロのフレーズをアコースティック・ギターで奏でた、ローリング・ストーンズの②「.She’s A Rainbow」だけでも聴いていただきたい。曲に込めたメッセージとポップ・フィーリングに胸が躍ったら、全曲楽しめることはうけあいだ。
評判のブルーグラス由来のフラットピッキング奏法はもちろんだが、オルタナ調のエレクトリック・ギターやスティール・ギターも使いながら、グレイトフル・デッドからFKAツイッグスまで、幅広い選曲をそれぞれ印象的に聴かせる閃きに満ちたアレンジを楽しみたい。誰もが溌剌とした彼女の魅力の虜になることだろう。
ランシドの⑥「Olympia, WA」ではボディを思いっきり響かせながら、エモーショナルにコードをかき鳴らす。曲が持つ疾走感とあいまって、それがまたすこぶるかっこいい。