新作『SOFTLY』のリリースに際し、都内で行なわれていた山下達郎のツアー・リハ現場にお邪魔することができた。山下のステージを長年サポートしているギタリスト、佐橋佳幸の最新機材をレポートしよう。今回は佐橋愛用のギターから。
文:山本諒 撮影:星野俊
*本記事はギター・マガジン2022年8月号に掲載された『Axis’ Gear』を一部抜粋/再編集したものです。
Guitars
1964
Fender Stratocaster
数々の名曲を刻んできた絶対的メイン器
2000年に入手して以来、メイン・ギターとして使っている64年製ストラトキャスター。ナットやフレットなどの消耗品のほか、ペグやピックガード、コンデンサーやボリューム・ポットは交換済み。ピックアップも何度か巻き直されている。カラーはリフィニッシュされたキャンディ・アップル・レッド(オリジナルはサンバースト)で、購入した時点で塗装が粗かったため、再度リフィニッシュを施した。シンクロナイズド・トレモロはフローティングはさせずベタ付けの状態だ。新作でも活躍!
1969
Fender Stratocaster
超レアなオーシャン・ターコイズ・メタリック!
サブ・ギターとして用意されていた69年製ストラトキャスター。ラージ・ヘッド仕様やFロゴ入りジョイント・プレートなどが特徴となる。カラーは希少なオーシャン・ターコイズ・メタリックだ。入手したのは92年で、過去の山下のツアーではこちらがメインの時もあった。上の64年製と同じように、消耗品は基本的に交換されているほか、ピックアップは本ツアーに際してGRINNING DOG studioの岸本シンジ氏が製作したものに変更。佐橋の1stソロ作『TRUST ME』(1994年)では主役として使用された1本だ。
1974
Fender Stratocaster
佐橋の使用器としては珍しい70年代の個体
前回の山下のツアー時、NHKホールの公演日に渋谷の楽器店で購入したという74年製。カラーはオリンピック・ホワイト。“そういえば70年代のストラトを持っていない”ことに気が付き、購入を決めたそう。こちらはサブのサブ・ギターとして念のため持ち込まれたもので、現場が重なってキャンディ・アップル・レッドのストラトが使えない時などに稼働するという。前出の2本とのおもな違いは、3点式ジョイント・プレート、ブレット・トラスロッド、2個のストリング・ガイドなど。
Provision
PSST-#21
裏にスリットが入った独自のホロウSTタイプ
スライド・ギター用としてオープンAチューニングでスタンバイされたProvisionのSTタイプ。カラーはアイス・ブルー・メタリックだ。裏を見ればわかるが、ボディにスリットが入った独自のホロウ構造を持っている1本である。テック曰く“サステインが普通のストラトとは異なり、スライドを弾くには相性の良いギター”とのこと。その他、22フレット仕様、ジャック付近のトーン・ノブがブレンダーになっている点なども特徴。PUポジションはリアとセンターのハーフ・トーンを使用する。

ギター・マガジン2022年8月号
『スタジオ・ミュージシャンの仕事』
本記事はギター・マガジン2022年8月号に掲載された『Axis’ Gear』を一部抜粋/再編集したものです。カポや使用弦など、さらに細かな内容は、本誌電子版などでチェック! 表紙特集『スタジオ・ギタリストの仕事』では、音楽の歴史に欠かすことのできない職人たちの名仕事に迫ります!