ギタリストなら絶対に聴くべきモダン・ジャズの名盤40(2/4) ギタリストなら絶対に聴くべきモダン・ジャズの名盤40(2/4)

ギタリストなら絶対に聴くべき
モダン・ジャズの名盤40(2/4)

『モダン・ジャズの名盤40』の第2回。今回はウェス・モンゴメリー、ケニー・バレルグラント・グリーンジョージ・ベンソンの作品を紹介します。ウェスのファンの方は、本サイトで連載中の記事「ウェス・モンゴメリーと巡る、1965年のヨーロッパ・ツアー!」もぜひご覧下さい!

文・選盤=久保木靖

Wes Montgomery
『The Incredible Jazz Guitar』

●リリース:1960年
●ギタリスト:ウェス・モンゴメリー

ジャズ・ギター巨人の出世作!

プロ・デビューは早かったものの、リーダー作は36歳と遅咲きだったウェス。本作はピアノ・トリオをバックにした2ndだ。ソニー・ロリンズ(ts)作の「Airegin」や自作の「Four On Six」、「West Coast Blues」といった代表曲が目白押し。“シングル・ノート→オクターブ奏法→ブロック・コード”というスリリングなソロ構成が早くもお目見えしている。

Wes Montgomery
『Full House』

●リリース:1962年
●ギタリスト:ウェス・モンゴメリー

歴史を変えた傑作ライブ盤!

ジャズ・ギターの歴史は“管楽器との対等なプレイを目指してきた道程”という一面があるが、このライブ盤はまさにその答え。ジョニー・グリフィン(ts)の燃え上がるようなブロウを凌駕するウェスのパワフルなプレイが、アップテンポのブルース「Blue ‘N’ Boogie」を始め随所にとらえられている。また、バラード「I’ve Grown〜」の神々しさといったら! 

Wes Montgomery
『Road Song』

●リリース:1968年
●ギタリスト:ウェス・モンゴメリー

ほぼすべてオクターブ奏法!

ジャズ・ミュージシャンとして成功したものの、生活にゆとりが出たのはイージーリスニング路線に舵を切り、商業的な成功を収めてから。そんなウェスの遺作であり、同路線の傑作がこれだ。ハープシコード入りのバロック的編曲をバックに、ひたすら魂のこもったオクターブ奏法でメロディを紡いでいく。タイトル曲は多くの人が耳にしたことがあるのでは?

Kenny Burrell
『Midnight Blue』 

●リリース:1963年
●ギタリスト:ケニー・バレル

トータル・コンセプトの草分け

ブルージィな演奏とそれを視覚的に表現したジャケットが一体となった教科書的名盤。ピアノレスだがギターは抑制されており、そこに野性味溢れるコンガがスパイスのごとく降りかかる。ブルースの基本“コール&レスポンス”でテーマを表現していく場面や、囁くようなソフト・ピッキングなど、学ぶべきところ多し! 「Soul Lament」はソロ・ギターだ。

Kenny Burrell
『Blues : The Common Ground』

●リリース:1968年
●ギタリスト:ケニー・バレル

バレル流ファンクの醍醐味

ビッグバンドをバックに伸び伸びとギターを弾きまくった快作。B.B.キングを彷彿するような王道ブルースもあれば、「The Preacher」のように8ビートでグルーヴするものも。極めつけはレア・グルーヴ・シーンから再評価されたどファンキーな「Burning Spear」で、一発モノに近いコード進行でこれでもかと熱く燃え上がる! バラード「Wonder Why」も極上だ。

Grant Green
『Green Street』

●リリース:1961年
●ギタリスト:グラント・グリーン

ブルーノート大看板のトリオ作

60年代ブルーノート・レーベルの看板ギタリストによるセカンド。オルガン・トリオだったファーストから、がらりと趣を変えてギター・トリオだ。鍵盤楽器がなくてもホーン奏者よろしくシングル・ノートで突き進むところが持ち味で、休符を効果的に活用したり、スクィーズするかのごときグリッサンドを交えたりと、グルーヴを心得たフレージングが憎い。

Grant Green
『Feelin’ The Spirit』

●リリース:1963年
●ギタリスト:グラント・グリーン

“針飛びフレーズ”に悶えろ!

ブルースを通り越して黒人霊歌というブラック・フィーリングに取り組んだ名盤。瑞々しい音色、短いフレーズを積み重ねながら徐々に雄弁になっていくさま、そして“レコードの針飛びフレーズ”と揶揄されるほどに執拗なリフレイン・フレーズ……これらが唯一無二の世界を創出。本作への参加がのちにハービー・ハンコック(p)をグルーヴィ路線に向かわせたとも。

The George Benson Quartet 
『It’s Uptown』

●リリース:1966年
●ギタリスト:ジョージ・ベンソン

急速調に仰け反り必至!

『Cookbook』(1967年)と甲乙つけがたい、自己グループにて制作された初期傑作。ベンソンの持つR&Bテイストとギタリストとしての力量が見事に融合している。目玉は何といっても急速調ブルース「Clockwise」と「Myna Bird Blues」で、ロニー・キューバ(bs)のプレイともども仰け反り必至! スローの「Willow〜」での音の連なりにも唖然(弾きすぎ!?)。

George Benson
『Blue Benson』

●リリース:1976年
●ギタリスト:ジョージ・ベンソン

やっぱりジャズ・ギタリストだ

マイルスの『Miles In The Sky』で共にメンバーだったハービー・ハンコック(p)やロン・カーター(b)と同時期に収録(1968年)。まだ“フュージョン”に移行していない、“ジャズ・ギタリスト”として最高のベンソンがここに。“シングル・ノート→コード・ソロ”とウェスのような展開を見せる「Billies Bounce」や、バラード「What’s New」がハイライトだ。

V.A.
『Guitar Soul』

●リリース:1965年
●ギタリスト:ケニー・バレル、ビル・ジェニングス、タイニー・グライムス

三者三様のブルージィに酔え!

洒落たブルース・センスのバレル、アシッド・ジャズ方面から再評価もあったジェニングス、4弦ギターでグルーヴするグライムスの三者をコンパイル。バレルのセッションではバリー・ガルブレイスがセカンド・ギターを務めるというオマケ付き。バレル以外の2人の音は当時すでにトレンドではないが、ブルージィ&ソウル系の代表選手には違いない。

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*本記事はギター・マガジン2021年5月号にも掲載しています。

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