ギター・マガジン編集部が注目するカッティング系エフェクター16機種を、TAIKINGが試奏する本企画。続いてはカッティングの新定番となっているエンベロープ・フィルター/オート・ワウの機能について紹介しよう。
文:鈴木誠 採譜:PURETONE MUSIC
*本記事は、ギター・マガジン2024年8月号の「カッティングに最適なエフェクターを探せ!」を再編集したものです。
ネオソウルにもぴったりのフィルター系エフェクト
ワウとは、フィルターのスイープによって得られる効果であり、フィルターには大きく3種類がある。高音をカットする(低音を通す)ローパス・フィルター、低音をカットする(高音を通す)ハイパス・フィルター、指定した音域以外をカットする(指定した音域を通す)バンドパス・フィルターだ。わかりやすい例としては、ローパス・フィルターがギターのTONEノブ、 バンドパス・フィルターがワウ・ペダルだ。
このフィルターをどうやってスイープさせるかがポイントとなる。ギターのTONEノブは手で、ワウ・ペダルは足で操作する。それがエンベロープ・フィルター(タッチ・ワウとも)では、ピッキングの強さ、つまり入力信号の大きさでフィルターを操作する。その入力をどのぐらいの感度で受けて、どのぐらいの時間をかけて、どのぐらいの幅でフィルターを動かすか。これがおもなパラメーターだ。
エンベロープ・フィルターといえば、長らくファンク系ベース・サウンドの印象が強かった。代表機種はMusitronicsのMu-Tron Ⅲ。エンベロープ・フィルターの元祖と言われ、ブーツィー・コリンズの愛用でも知られる。近年ではR&Bやソウルにおけるブラック・グルーヴ系のギター・プレイで活躍の機会が増え、フィルターのピークが立ったクアック・サウンドだけでなく、指弾きのバッキングにモコモコとした質感を与えるプレイも王道だ。
ちなみにレゾナンスとは、フィルターが削る音域のキワにピークを持たせるもの。強くすると“ミョーン”という感じの音になる。これはアナログ・シンセを触ってみると理解が早い。カットオフ(もしくはFreq)とレゾナンス(もしくはPeak)というノブがフィルター・セクションの目立つところにあり、適当に鍵盤を押して音を出しながらそれらのノブを回してみると、その効果が耳で理解できるはず。アナログ時代のペダル・エフェクトは、アナログ・シンセサイザーの基本原理に通じる部分が多いのだ。
基本パラメーター
Range [レンジ]
フィルターが動く範囲を決める。Depthと表記されるツマミも同じ効果。
Mix [ミックス]
エフェクト音とドライ音を混ぜるバランスを決める。Levelと書かれていることもある。
Sense [センス]
ピッキング(入力信号)の強さに対して、フィルターを動作させる感度を調節。Driveとも。
Peak [ピーク]
フィルターが削る音域のキワを強調し、音にクセを与える。Resonanceとも。
Q
バンドパス・フィルターが通す音域の幅を決める。Widthと記される場合も。
Up/Down [アップ/ダウン]
フィルターが動く(スイープする)方向を選ぶ。Normal/Reverseなどの表記もある。
TAIKING直伝
フィルター系ペダルに最適な試奏フレーズ
エンベロープ・フィルターやオート・ワウは幅広い音作りが可能なので、試奏に合うフレーズも千差万別かもしれない。ここではSpecial QでTAIKINGが弾いていたフレーズを抜粋してみた。
ギター・マガジン2024年8月号
- 特集:カッティング“超”至上主義 Featuring コリー・ウォン
- カッティングに最適なエフェクターを探せ!〜注目のコンプレッサー、フェイザー、オートワウ、エンベロープ・フィルター16機種をTAIKINGが徹底試奏