2024年10月、現体制になって2枚目のアルバム『Eunoia』をリリースしたenvy。本作のリリース・ツアー、“tour of eunoia 2025_Japan”の追加公演である7月5日(土)Spotify O-WESTでのライブにて、河合信賢、yOshi、滝 善充の3人の機材撮影を行なった。本記事では、河合信賢が本公演に持ち込んだ3本のギターを本人の解説と共にご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=小原啓樹
Kawai’s Guitars
G&L Tribute Series
ASAT Classic
細いネックがフィットする新たなメイン
河合の現在のメイン・ギターは、G&LのASAT Classic。日本製のTribute Seriesで、シリアル・ナンバーは“9070035”。

本器は元メンバーの飛田雅弘が所有していたもので、2018年の脱退後に河合が譲り受け、家用ギターとしてずっと弾いていたという。日本製ということもありネックが細く、河合がそれまでメインで使用していたカスタムショップ製のテレキャスター・プロより弾きやすいことが発覚し、2024年からメイン・ギターとして使用中。
最初はネックが曲がっていたらしく、“とても使える状態ではない”と言われたそうだが、修理の末、“今はまったく問題のない状態”と語る。内部の配線なども改造されているが、ピックアップやブリッジなどの主要パーツはオリジナルのまま。

河合は特に本器のフロント・ピックアップを気に入っており、ライブではフロント・ピックアップのみを選択している。
弦はElixirの.010〜.046で、チューニングはドロップDにセッティング。
2003 Gibson USA
Flying V
「Beyond the Raindrops」専用ギター
2015年に長野県のライブハウス、松本ALEXにて購入した2003年製のフライングV。シリアル・ナンバーは“02243567”。購入してから手を加えた箇所はないとのこと。
本器はドロップBチューニング(B-F♯-B-E-G♯-C♯)にセッティングし、もともと「Beyond the Raindrops」専用ギターとして使用されていた。しかし、運送コストの問題でメイン・ギター以外を海外へ持ち運ぶことができず、その対策として現在はペダルボードに入っているDigiTechのDrop(ピッチ・シフター)でG&LのチューニングをドロップDからドロップBまで下げているため、今回のライブでの出番はなし。
Fender Custom Shop
Telecaster Pro
モダン・スペックを備える以前のメイン・ギター
2007年に新品で購入し、以前までメイン・ギターとして活躍していたテレキャスター・プロ。ヘッド裏に“Pro Model 1207”の文字があるが、この“Pro”はプロト・スペックという意味。22フレット・ネックやネック・ジョイント部分のヒール・カットなど、モダンなスペックが取り入れられている。
河合はブリッジ横に小指を置くため、演奏性を求めてブリッジ・プレートとサドルはJoe Bardenのものに交換されている。また、ハウリング対策のためにピックガードの中にはスポンジが詰められており、クリーン・サウンドが弱くならない程度にスポンジの量を調整しているとのこと。ハウリングを起こすため、出力の高いリア・ピックアップはあまり使用できず、ミックス・ポジションを選択することが多かったそうだ。

現在はサブとして用意されているが、愛着があるため、今後は本器専用の新曲を作る予定だという。
Picks

メインのピックは、Jim DunlopのTortex Triangle 0.88mm。以前はオレンジ色の0.60mmを愛用していたが、ピッキングの際に人差指の爪が弦に当たって削れてしまっており、その対策として0.88mmに変更。現在でも楽曲によって0.60mmを使用することもあるとのこと。
Interview
オレはこのフロントが好きで
今メインで使ってる。
現在のメイン・ギター、G&LのASAT Classicはいつ手に入れたんですか?
もともと飛田(雅弘)君が使っていて、彼が辞めたあとオレが家でずっと弾いていたんだけど、これは前のメイン・ギターよりもネックがめちゃくちゃ細いのね。
持たせていただきましたが、かなり細かったです。
で、家でこれを弾いてたんだけど、家のほうがギターが上手いわけ(笑)。ライブ本番でも“家だと弾けてたのにな?”っていうことが多くて、冷静に考えたらオレにはこっちのネックのほうが合っていたと。
ピックアップはフロントですよね?
今日もずっとフロントにしてるんだけど、フロントっぽくない音のはずなんだよね。
ブーミーさがなくて、そう感じました!
だよね。歪みもクリーンもフロントのままでいける。前のギターを使ってた時は曲ごとにセンターとかリアとか、セレクターをめちゃくちゃ変えてたの。でもめんどくさいじゃん? フロントで下の音を出せるっていうのと、ネックが細いのがこのギターの強み。それとめちゃくちゃ改造しています。
パッと見だとわかりませんが、どこを改造しているんですか?
中の配線を変えて、掃除もしてもらって。あとはネックが曲がっていて、それも直してもらった。最初、友達に見てもらったら“こんなの絶対に使えるはずない”っていうことだったんだけど、数千人規模のライブでも全然問題なかったから、今はこっちがメインになってる。
ピックアップやブリッジは変えてないんですか?
そのままだよ。なんでかしらないけど、やっぱりフロント・ピックアップがめちゃくちゃ良い音するんだよね。フライングVやカスタムショップのテレキャスターとは確実に音が違っていて、オレはこのフロントが好きで今メインで使ってる。
弦はどこのブランドのものを?
Elixirの.010〜.046。最近はライブのたびに毎回替えています。1セット2,000円くらいするんだけど、今日も替える(笑)。
ピックは何を使ってますか?
ずっとJim Dunlopのオレンジ(0.60mm)を使ってたんだけど、緑(0.88mm)に変えたらかなり違って。オレンジだと弦に人差指の爪が当たって、爪が削れてなくなっちゃってたんだよね。痛くなるから緑に変えてみたんですよ。そしたら雰囲気は良かったんだけど、オレンジの柔らかさに慣れてるからピッキングが強くて、弦が切れるようになっちゃって。Elixirでもライブ2日目で切れるから、今は毎回弦を替えてる。今でもたまに曲によってオレンジを使うけど、トレモロ・ピッキングをする時は確実に緑のほうがいい。オレンジだと柔らかすぎる。
新曲を作って、
その曲用のギターにしようかと思ってる。
フライングVはいつ手に入れたんですか?
これは10年くらい前。松本ALEXっていうライブハウスに18万円で飾ってあって、面白そうだからみんなで“買おうか?”なんて話してたの。そしたら店長が喜んでくれて、“じゃあ半額にします!”って言ってくれて、ケース付きで9万円で買ったんだよね。
おお、安いですね!
安いよね! 良い音するんだよ。オレは基本的にチューニングをドロップDにしてるんだけど、「Beyond the Raindrops」っていう曲ではドロップB(B-F♯-B-E-G♯-C♯)にしていて、これはそれ専用で使ってる。でもこのギターは海外に持って行けないんだよね。めちゃくちゃ金がかかるから基本的にサブ・ギターは現地で借りるし。
運送コストがかかるんですね。
だからドロップDのG&Lで同じことができないかと考えて、これからはDigiTechのDropで対応しようと。でも今日は一応フライングVも持ってきてるという感じ。ほかで使うかもしれないしね。
このギターの改造点はありますか?
いや、ない。でも本当に弾きにくくて、家だと右脚に挟むしかない(笑)。あとはフレットの距離感が全然違うから、それに慣れなきゃいけないなと思ってる。
以前のメイン・ギターだったカスタムショップのテレキャスター・プロは、2007年くらいに手に入れたんですよね?
そのくらいだね。普通、ギタリストって欲しいギターについて何度も調べてから買うじゃん? でもオレは家の目の前にあった楽器店に入って、“これ弾かせて下さい”って試奏して、音が良かったから買ったという(笑)。こんなバカなことやってるのオレだけだろうな。
奇跡の出会い的な(笑)。
そうそう。愛着はあるからこれからも使っていくけど、G&Lのほうが全然弾きやすくて。だから新曲を作って、その曲用のギターにしようかと思ってる。
ブリッジ・プレートが交換されていますね。
弾きにくかったから換えたんだよね。オレはブリッジの横に右手の小指が当たるんだけど、トレモロ・ピッキングの時に小指の爪で木が削れちゃってるんだと思う。
ほかにパーツを換えたところは?
中の配線かな。色んな人にお願いしたから、けっこうゴチャゴチャしてる。あとはMesa/Boogieのハイゲインに耐えられなくて、ハウるんだよね。その対策としてピックガードの中にスポンジを入れてるんだけど、そしたらクリーンがちょっと弱くなって、スポンジの量は苦労したかな。だからテレキャスターだとMesa/Boogieのゲインは上げられないね。G&Lだともうちょっと上げられるから、ゲインに関しては今のほうが稼ぎやすくなった。テレキャスターだとMesa/Boogieのゲインが12時を超えると物凄くハウリングするの。リアなんて使えたもんじゃなくて、だからずっとセンター・ポジションを使ってた。





















