2024年10月、現体制になって2枚目のアルバム『Eunoia』をリリースしたenvy。本作のリリース・ツアー、“tour of eunoia 2025_Japan”の追加公演である7月5日(土)Spotify O-WESTでのライブにて、河合信賢、yOshi、滝 善充の3人の機材撮影を行なった。本記事では、河合信賢が本公演で使用したペダルボードを本人の解説と共にご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=小原啓樹 協力=細川雄一郎(CULT)
Kawai’s Pedalboard

2台のリバーブで音の距離感を調整
【Pedal List】
①DigiTech / Drop(ピッチ・シフター)
②Handmade / Junction Box
③BOSS / TU-3(チューナー)
④BOSS / RV-5(リバーブ)
⑤BOSS / RV-3(リバーブ)
⑥Electro-Harmonix / MEL9(テープ・リプレイ・マシン)
⑦CULT / Ray(オーバードライブ)
⑧Handmade / 1 Loop Box/DI
⑨BOSS / VO-1(ボコーダー)
⑩BOSS / RC-3(ルーパー)
⑪BOSS / FS-5U(フット・スイッチ)
⑫VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ(パワー・サプライ)
⑬Mesa/Boogie / BigFoot(アンプ・チャンネル・セレクター)
CULTの細川雄一郎氏が組み上げた河合のボード。ギターからの接続順は、まず①〜⑧まで番号どおりにつながれている。⑧ループ・ボックスのセンド/リターンには⑨VO-1を接続。⑧ループ・ボックスのアウトから再び②ジャンクション・ボックスを経由し、最後に⑩RC-3を通ってアンプへ。
⑨VO-1のMIC端子からは、②ジャンクション・ボックスを経由して河合のマイクに接続される。また、⑧ループ・ボックスには⑨VO-1用のXLRアウトが搭載され、ここからPAにボコーダーの信号が送られている。内部にはトランスが搭載されており、⑨VO-1の信号をラインのインピーダンスに変換してPAへ。

河合はMesa/BoogieのTriple Rectifierでクリーンと歪みを作り込んでおり、フレーズによって⑬BigFootでCH1/CH2/CH3の切り替えとSOLOのオン/オフを操作している。⑦Rayは激しい楽曲でゲインを足したい時のブースターとして使用。ライブによってセッティングが変わるそうで、アンプ側で対応できないEQ調整の役割もあるとのこと。
河合はメイン・ギターをドロップDチューニングに設定しているのだが、「Beyond the Raindrops」ではドロップBチューニング専用のフライングVを使用していた。しかし、運送の問題でフライングVを海外に持って行けないため、その対策として①Dropを導入。①Dropを1音半下げの“3”にセッティングすることで、ドロップDのままドロップBのサウンドを出することができている。
④RV-5はenvyに欠かせないペダルで、ライブ中はかなりの頻度でオンにしていた。モードはMODULATEにセッティング。おもにハードコアな楽曲で音を前に出したい時に踏んでいるが、ポスト・ロックの楽曲で音を馴染ませたい時はエフェクトを深めにセッティングした⑤RV-3を使用する。⑤RV-3のモードはDELAY+REVEBの“7”を選択。④RV-5と⑤RV-3の2台同時オン/オフも行なうとのこと。
⑥MEL9は、河合が落ち込んでいる時にMr.Childrenの鈴木英哉(d)からもらったもの。9番のHIGH CHOIRモードに設定し、この日は「残心」でオンに。

⑨VO-1はVINTAGEモードにセッティングし、滝と共に「HIKARI」や「Dawn and Gaze」などで使用していた。
⑩RC-3は「Chain Wandering Deeply」と「さよなら言葉」のラストで使用。ノイズをオーバー・ダビングする用途で、河合は4小節ごとにRECとPLAYをくり返し、Dmのノイズの爆発を作っていた。⑪FS-5Uは本機のSTOP/MEMORY SHIFT端子につながれている。
Interview
RV-5込みで
音を作ってるまであるね。
ジャンクション・ボックス(②)は誰が製作したものですか?
これはCULT of Pedals。
あ、CULTの細川雄一郎さん(笑)。
うん。もしわからないことがあったらCULTに聞けばいいから(笑)。Ray(⑦)は激しい曲でゲインが欲しい時、アンプの歪みにプラスしてる。用途によってセッティングを変えていて、今日はこんな感じ。あとはEQみたいな使い方もしてるかもしれない。

Triple RectifierのEQでは調整できない部分の補正ですか?
アンプでやりきれないところをね。そうすると音が立つから重宝してる。ただ、ゲインを上げすぎるとハウっちゃうので、そこはケアしていますね。
ライブ中はRV-5(④)をよく踏んでいる印象です。
RV-5込みで音を作ってるまであるね。で、RV-3(⑤)はリバーブをもっと深くする時に使う。

RV-3のモードは?
7ですね。
ディレイとリバーブが一緒にかかるやつですね。
そうそう。でも、どっちかというとRV-5のMODULATEモードでディレイをかけているという感じで、RV-5のほうが重要かな。RV-5はピッキングが多いハードコアな曲だといいんだけど、ポスト・ロックっぽい曲だとアタックが強くなりすぎて、その距離の調整のためにRV-3を使ってる。音を溶かしたりとか、奥行きを深くしたりとか。
なるほど。
逆に音を前に出したい時はRV-5。そういう使い分けをしていますね。あとは同時オン、同時オフもけっこうするから、2台の距離感もこのくらいで。
MEL9(⑥)はどの曲で使いますか?
「残心」っていう曲で、女性の“ファ〜”っていう音が出せるHIGH CHOIRモードをメインで使ってる。これはミスチルのJEN(鈴木英哉)さんからもらったやつで。

そうでしたね!
あの人ギター・オタクだから、飲みに誘われて、“これお前に合うからやるよ”ってくれたという。さすがミスチル(笑)!
RC-3はどのような使い方を?
今日は「Chain Wandering Deeply」の最後のアレンジで初めて使うのと、アンコールにやる「さよなら言葉」の最後のノイズが爆発するところ。4小節ずつとか2小節ずつとか、その場のノリでRECとPLAYをくり返すんだけど、どんどんDmのノイズがオーバー・ダビングされていくんだよね。














