伊藤雅景(NELKE)が『TIME TO FUZZ Vol.2』で使用したペダルボードを本人が解説! 伊藤雅景(NELKE)が『TIME TO FUZZ Vol.2』で使用したペダルボードを本人が解説!

伊藤雅景(NELKE)が『TIME TO FUZZ Vol.2』で使用したペダルボードを本人が解説!

2026年3月26日(木)に新宿LOFTで開催されたギター・マガジン主催のライブ・イベント『TIME TO FUZZ Vol.2』。ストレイテナーとNELKEが出演した。本記事では、NELKEの伊藤雅景(g)が本イベントで使用したペダルボードを、本人の解説とともにご紹介。

取材・文=森部真衣 機材撮影=西槇太一

Ito’s Pedalboards

スイッチャーを巧みに活用した
2枚組ペダルボード

【Pedal List】
①Shure / GLXD16+(ワイヤレス・レシーバー)
②FREE THE TONE / JB-41S(ジャンクション・ボックス)
③Jim Dunlop / Buddy Guy Signature Wah(ワウ)
④FREE THE TONE / ARC-4(プログラマブル・スイッチャー)
⑤Demeter Amplification / Compulator(コンプレッサー)
⑥JAM Pedals / Tubedreamer(オーバードライブ)
⑦FREE THE TONE / OVERDRIVELAND / ODL-1A-CS(オーバードライブ)
⑧Demeter Amplification / Fuzzulator(ファズ)
⑨Sara Pedals / BMT(ファズ)
⑩strymon / DECO V1(テープ・サチュレーション)
⑪strymon / TIMELINE(ディレイ)
⑫Eventide / H90(マルチ・エフェクター)
⑬Red Panda / Tensor(ルーパー/ピッチ・シフター)
⑭Chase Bliss / MOOD MKⅡ(ルーパー/ディレイ)
⑮BOSS / FV-30L(ボリューム・ペダル)
⑯なとり音造 / Occult Dip Box Type MF1(バッファー)
⑰FREE THE TONE / IG-1N(ノイズ・リダクション)
⑱BOSS / EV-30(エクスプレッション・ペダル)
⑲Sonic Research / ST-200(チューナー)
⑳FREE THE TONE / PT-5D(パワー・サプライ)
㉑VooDoo Lab / Pedal Power 2 Plus(パワー・サプライ)
㉒JAM Pedals / Rattler MKⅡ(ディストーション)※未接続
㉓BOSS / TU-3(チューナー)
㉔Rupert Neve Designs / RNDI-M(DI)

伊藤の足下にはエレキ・ギター用の2枚のペダルボードと、アコースティック・ギター用のペダルが2台(㉓㉔)置かれている。右側がメイン・ボード、左側は飛び道具を集めたサブ・ボードだ。

エレキ・ギターからの接続順は、まず①〜③を通り、④ARC-4のHTS INにインプット。

④ARC-4の各ループに接続されているペダルは以下のとおり。

・Loop 1=⑤Compulator
・Loop 2=⑥Tubedreamer
・Loop 3=⑦OVERDRIVELAND
・Loop 4=⑧Fuzzulator
・Loop 5=⑨BMT

・Loop 6=⑪TIMELINE
・Loop 7=⑫H90
・Loop 8=なし

・Tuner Out=⑲ST-200

④ARC-4のOUTからは②JB-41Sを経由してサブ・ボードへと接続されるが、ここから先の接続順は後述する。

伊藤は⑥Tubedreamerと⑦OVERDRIVELANDの2台を組み合わせてメインの歪みを作っており、ブーストさせたい時は④ARC-4のブースト機能を使用。ギター・ソロなどでより目立たせたい時には、⑥Tubedreamerと⑧Fuzzulatorを組み合わせて使用しているとのこと。

クランチ・サウンドは⑦OVERDRIVELANDのNORMALモードが担っている。④ARC-4の“C1/2端子”からはTRSケーブルで⑦OVERDRIVELANDに接続し、④ARC-4側で⑦OVERDRIVELANDのNORMAL/DRIVEモードの切り替えが可能。

⑤Compulatorは「カレンデュラ」のイントロなど、クリーン・トーンで使用している。

⑨BMTは最近購入したもの。単体で使用することが多く、本人曰く“ドカーンとやりたい時に使います”とのこと。

④ARC-4の“S-INS-R端子(インサート端子)”には⑩DECO V1を接続。“S-INS-R”にはLoop 1からLoop 5までのペダル(⑤〜⑨)を通過したあとの信号がインプットされるため、⑬DECO V1のTAPE SATURATION chのVOLUMEノブで全体の音量を下げ、常時オンでマスター・ボリュームのように使用しているそうだ。

⑪TIMELINEは楽曲ごとにディレイ・モードを使い分けている。オンにしていると弾き心地が良くなるそうで、キメ以外では常にかけっぱなしにしている。

リバーブ、トレモロ、フェイザーなどのエフェクトは⑫H90を使用。④ARC-4、⑪TIMELINE、⑫H90の3台はMIDI接続されており、④ARC-4で一括でプリセットを変更できるようになっている。

2枚目のボードの接続順は、メイン・ボード内の④ARC-4のOUTから②JB-41Sを経由し、⑬Tensorにインプット。その後は⑭〜⑰まで番号順につながれ、アンプ(Divided by 13 AMW39)に接続されている。

⑬Tensorの左側のスイッチは踏んでいる間のみエフェクトがかかるM(モーメンタリー)に設定しており、曲間のつなぎなどで最後に弾いたコードをリバースで再生しているそうだ。また、「punk town」では演奏中にPITCHノブとRANDノブを上げ、飛び道具として使用している。

⑭MOODは⑱EV-30でエフェクトのミックス量をコントロールしながら、リバーブやルーパーとして使用。「ロリポップサイダー」や「Incarnation」のイントロで幻想的なサウンドを生み出していた。

⑯Occult Dip Box Type MF1はギターのメンテナンスを依頼している長野県の工房“なとり音造”が伊藤のために製作したバッファー。筐体にも記載のある“MF1”は、“雅景ファイヤー”という意味だそうだ。

アンプの直前に置かれた⑰IG-1Nは、電源からノイズが乗ってしまう場合にオンにする。常時かけっぱなしにしている⑪TIMELINEのディレイにまでノイズ・リダクションがかかってしまうため、できれば使用したくないそうだが、ノイズを抑えることを最優先にしているとのこと。

㉓TU-3と㉔RNDI-Mは、「裂いて」で使用されるアコースティック・ギター用。㉓TU-3にインプットし、㉔RNDI-Mに接続。㉔RNDI-MのOUTPUTからPAに信号が送られている。

Interview

BMTはBig Muff系なので
“ドカーン”とやりたい時に使います。

Buddy Guy Signature Wah(③)はどんな曲で使用していますか?

今日のセトリだと「花図鑑」とか、サビ前に“ギュワー”とさせる時に使うことが多いですね。カッティングでチャカポコやる時もあります。

Compulator(⑤)の使い方を教えてください。

クリーンの時に使います。「カレンデュラ」のイントロのクリーン・トーンとかで踏んでますね。

メインの歪みはどうやって作っていますか?

ほぼ全曲でTubedreamer(⑥)とOVERDRIVELAND(⑦)の2台をずっとオンにしています。ARC-4(④)にブースト機能が付いているので、少しブーストしたい時はそれを使っていて、ギター・ソロではTubedreamerとFuzzulator(⑧)の2台に切り替えますね。Tubedreamerを単体で使うことはないかな。クランチはOVERDRIVELANDだけで作っていますね。OVERDRIVELANDにはNORMALモードとDRIVEモードがあって、クランチではNORMALモードを使ってます。

FuzzulatorとBMT(⑨)、ファズが2台ありますが、その使い分けは?

BMTはBig Muff系なので“ドカーン”とやりたい時に使います。これは単体でオンにしています。

TIMELINE(⑪)ではどのディレイ・モードを使っていますか?

いろんなディレイを使っていて、曲ごとにモードを変えています。自分の癖で、薄っすらディレイをかけっぱなしにしていて、キメ以外はディレイがかかってることが多いかもしれないですね。弾き心地のためにかけてるっていう感じです。

H90(⑫)はどんなエフェクトを使用していますか?

リバーブ、トレモロ、フェイザーとか、ディレイ以外の空間系/モジュレーション系は全部これで作ってます。ARC-4とMIDI接続してプリセットを管理しているので、曲ごとに使うエフェクトが割り当てられるようになっているんですよ。

DECO V1(⑩)は特殊な接続方法ですが、どのような使い方をしているのでしょう?

TAPE SATURATIONを使っていて、これもかけっぱなしにしてます。ちょっと音が温かくなるんですよね。全部の歪みペダルの後段に接続されているので、VOLUMEノブで音量を下げて、ボードのマスター・ボリュームみたいな感じで使ってます。

左側のボードにセットされた、飛び道具ペダルについても教えてください。

Tensor(⑬)はサスティナーみたいな感じで使うことが多いですね。左側のスイッチは踏んでいる間だけエフェクトがかかるモーメンタリー設定になってます。曲間で音を切らせたくない時とかに、最後に弾いたコードをリバースで流し続けてますね。あとは、「punk town」では演奏中にしゃがんでPITCHノブとRANDノブを上げて、カオスな音を出してます。

MOOD(⑭)は「ロリポップサイダー」や「Incarnation」のイントロで“フワー”っていう音を出してます。曲のキーの音をMC中に録音しておいて、幻想的な音を作っていますね。そういう音を同期で流してもいいんですけど、録音して流したほうが面白いかなっていう理由で使ってます(笑)。

EV-30(⑱)は何とつなげて使用していますか?

MOODにつないでます。MOODの左chはリバーブがずっとオンになっていて、リバーブのミックス量もEV-30で変えられるんですけど、普段はゼロになっていて、飛ばしたい時にペダルを踏み込みますね。右chはルーパーなので、逆再生の音が欲しい時に録音しておいて、EV-30でミックス量を調整して音を流したり、切ったりしています。

Occult Dip Box Type MF1(⑯)はどういう効果がありますか?

ギターのメンテナンスをやってくれている“なとり音造”が専用に作ってくれたバッファーですね。ずっと知らなかったんですけど、“MF1”っていうのは“雅景ファイヤー”っていう意味らしいです(笑)。なとり音造さんはオレの好みをわかってくれてるから、ありがたいです。

IG-1N(⑰)はボードの一番最後に置いているんですね。常時オンではないのでしょうか?

ライブ会場によるんですけど、電源からノイズが乗ってしまう時にオンにしてノイズを消してます。この位置だとディレイの音までノイズ・リダクションがかかっちゃうのであんまり使いたくはないですけど、それよりノイズを抑えるほうが優先順位が高いですね。ディレイの余韻はギタリストしかわからないですし。

2026年3月26日(木)新宿LOFT


【Setlist】
01. ロリポップサイダー
02. 燻る
03. 花図鑑
04. punk town
05. 裂いて
06. SAD AND BEAUTIFUL WORLD(cover)
07. バイバイアクター
08. ステレオタイプヒロイック
09. カレンデュラ
10. Incarnation