ギター初心者に贈るQ&A集。あなたの疑問に答えます!
文:いちむらまさき
*この記事は書籍『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』(リットーミュージック刊)の内容を転載したものです。
Q:
実音同士を合わせてチューニングする際に、基本は5フレットの音と隣の弦(高音側)の開放弦を同じ音にするのに、なぜ3弦と2弦の時だけは3弦4フレットと2弦開放弦を同じ音にするのですか?
A:
おそらく(クラシック用の)一般的なギターの弦が6本とおよそ定まったらしい時期(18世紀頃)に、現代使われているレギュラー・チューニング(EADGBE)も決定されていったのでしょう。
もともとギターの原型は、2本ほどの少弦楽器から本数が増えて6本以上ある多弦楽器になり、その後整理されて6本に落ちついたという流れがあるようです。その理由は、先に紹介したピタゴラス音律やA音規準の話や、国ごとの楽器の歴史など、多要素が関係するでしょう。
ギターは当初はメロディ楽器ではなく、おもに和音を鳴らすための伴奏楽器でした。和音=複数の音を同時に鳴らす、その技法に合っているのが、弦を押さえる手を1ヵ所にある程度固定したままで「6〜1弦まで使って2オクターブ音+αの音が出せる」6本弦でのレギュラー・チューニングであり、弦ごとに4度差を基本としてチューニングすると和音を出しやすいと、誰かが発見したのではないでしょうか。
レギュラー・チューニングはとても理にかなっています。指は5本しかないのに6本の弦を使用するギターという楽器において、1本の指で複数の弦を押さえて音を出すことは必然であり利便性のある行為です。
同フレット上で人差指セーハをしたときに「6弦が1度、2弦が5度、1弦が2オクターブ違いの1度(パワー・コードの度数と同じ)」になり(右図)、1本の指だけで非常にバランスの良い3個の音程が出せます。
そういった効率の良い押さえ方を考えた時に、最も利便性の高いのが、そのズレる(3弦と2弦のときだけ4フレットと開放弦を同音にする)チューニングなのです。誰がこのチューニングを決めたのかはわかりませんが、素晴らしい発見だと思います。
『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます! 知らなきゃ損するギター知恵袋』
著者 | いちむらまさき |
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品種 | 電子書籍 |
発売日 | 2015/12/10 |
ISBN | 9784845621262 |
いちむらまさき プロフィール
岐阜出身のギタリスト&ウクレリスト&ライター。音楽制作、ソロ・ギター・スタイル、インストラクターなどで活動。
様々な雑誌に記事を書きつつ、『ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論』、『楽譜を見えるのがうれしくなる方法とプレイに直結させるコツ』、『音楽理論がおもしろくなる方法と音勘を増やすコツ』、『コード進行を覚える方法と耳コピ&作曲のコツ』、『ピアノでコードを覚える方法とほんの少しの理論』、『ギターを弾いているだけで音感がアップする方法』、『ブルース・ギターをはじめる方法とプレイ幅を広げるコツ』、『ギター・スケールを覚えないでアドリブをはじめる方法』、『ウクレレのお手入れ&お手軽カスタマイズを楽しむ本』、『ジャズコで聴き比べる歪みエフェクター97』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本』、『100個のフレーズを弾くだけで飛躍的にギターが上達する本 リズム強化編』、『ギター上達100の裏ワザ』、『ギター作曲100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDエレクトリック・ギター』、『アコギ上達100の裏ワザ』、『耳コピ上達100の裏ワザ』、『ライブ上達100の裏ワザ』、『ウクレレ上達100の裏ワザ』、『目で見て確認DVDウクレレ』、『気づいた人から上手くなる! ギタリストのハテナに答えます!』、『ギターで作曲する方法とほんの少しのコード理論』(すべてリットーミュージック刊)などを執筆。
東京でギター/ウクレレ楽器教室も。