2025年7月に2ndアルバム『moisturizer』をリリースしたウェット・レッグ。『moisturizer』ではサウンドもビジュアルも一新し、新たな世界観で多くのファンを獲得。そして2026年2月に3年ぶりとなるジャパン・ツアーを開催した。ギタマガWEBではジョシュア・モバラキ(g,syn)にインタビューを敢行。本記事では、来日公演でジョシュアが使用したギターを本人の解説とともにご紹介。
取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=小原啓樹
Joshua Mobaraki’s Guitar
2023 Fender
American Performer Mustang
ライブでは常に
1本のギターを演奏
ジョシュアの使用ギターは、American Performerシリーズのムスタングのみ。2024年頃に入手したものだ。本モデルはもともとはポリウレタン塗装なのだが、ジョシュアが手に入れる際、フェンダーが特別にラッカー塗装でリフィニッシュを施してくれたという。
改造箇所が多く、まずはピックアップをミックス・ポジションに固定し、ピックアップ・セレクターが取り除かれている。どちらかのピックアップを単独で鳴らすことはなく、ストロークの際にセレクターを誤って変えてしまうことがあり、そのような改造を施したとのこと。
コントロールは1ボリュームに変更され、トーン・ノブがあった穴はテープで塞がれていた。また、ピックアップ・カバーも白いものへと交換されている。
チューニングの安定を図るため、弦は少し太めのErnie BallのPower Slinky #2220(.011〜.048)を使用。チューニングはレギュラーを基本にし、楽曲によってはドロップDに変更する。「don’t speak」では1弦のみをDに下げているという。
ちなみにイギリスではサブとしてジャガーをスタンバイさせているとのことで、ジョシュアは現在ジャガーを探しているのだとか。
Picks

ピックはJim DunlopのMax-Grip Nylon Standard 0.73mm。ジョシュアは薄めのピックが好みとのこと。
Interview
入り組んだサウンドのディテールを聴くよりも、
音楽をプレイすることが重要になる。
あなたのメイン・ギターはAmerican Performerシリーズの白いムスタングですよね。いつ入手したんですか?
おそらく今回のアルバムを作り始めた頃だから2〜3年くらい前だと思う。ウェブ・サイトでこのギターを見た時、“これが欲しい!”ってすぐに思ったよ。それまではDanelectroだったり、ほかのギターを使っていたけど、このムスタングのトレモロ・ユニットに興味があったんだ。みんなこのトレモロ・ユニットのことを扱いにくいと言うけど、太めの弦にすれば問題ないと思うし、かなりクールに感じている。
このギターはもともとはポリウレタン塗装なんだけど、オレはラッカー塗装がよくて、フェンダーが特別にラッカー塗装にしてくれたんだ。フェンダーはオレたちにすごく良くしてくれてね。“君のためにやってあげる”と言ってくれて、すごくラッキーだよ。
改造箇所がけっこうありますね。
見てのとおりトーン・ノブをはずしている。ピックアップ・カバーも黒から白に変えたんだ。それからピックアップ・セレクターも取り除いたよ。基本的に両方のピックアップをオンにした状態で使っているんだ。レコーディングではそうでもないけど、ライブだと常にそういう状態だね。
なぜそのような改造を?
リアもしくはフロント単独では使いたくないし、セレクターの位置が嫌でね。かき鳴らす時、うっかりピックアップが切り替わっちゃったりするんだ。本当にイラつくよ。だからちょっとシンプルにしたんだ。リスクを減らしていった結果だね。
弦高の状態はどうですか?
ビビったり、デッドなポイントが出ない限界まで下げているよ。極端に低いわけじゃないし、シュレッド系のギタリストみたいに低すぎる感じではない。
アイドルズの2人もムスタングを愛用していますよね。あなたたちの世代ではムスタングが人気なのでしょうか?
たぶんそうだと思う。みんなオフセット・ボディが好きなんじゃないかな? 特にムスタングはクラシックで馴染みがあるけど、少し違うフィーリングもあるんだ。ジャガーにもそういう魅力があるよね。そもそもムスタングってクールなギターだし、人気はあると思うよ。
最新作『moisturizer』はハードな楽曲も増え、例えばSGやテレキャスターなどのパワーがあるギターを使う選択肢もあったと思いますが、ムスタングがレコーディングでのメイン・ギターだったのでしょうか?
いつか違うギターも使ったよ。メインはジャガーで、Vintera Ⅱっていうやつだったかな? フェンダーから“試してみないか?”と言ってもらって、オレは“ぜひ、喜んで!”っていう感じでさ。ギターには一切手を加えずに使ってみたよ。そのジャガーはすごくクールなギターだと思っている。プロデューサーのダン・ケアリーも何本かギターを持っていて、彼が所有する60年代のジャガーも使ったよ。
そのほかにレコーディングで使用したギターは?
彼のコレクションにはGuildのギターもあった。ハムバッカーのサウンドがすごくファットで、木製のブリッジもかなり面白いポイントだったよ。ほかには何を使ったっけ……ES-335も弾いたかな。エリスは1曲でHofnerのバイオリン・ベースをプレイしていたよ。
レコーディングでは多くのギターを使ったとのことですが、ムスタングをツアーでのメインとして選んだ理由を教えてください。
ライブとスタジオのサウンドは、まったくの別物だととらえるべきなんだ。スタジオでは細かいニュアンスや奥行き、音の忠実度などにこだわらなきゃいけない。でもライブでは、そういったことよりも“音楽自体をどう伝えるか”のほうが大事なんだよ。そうなると、弾きたいと思える良いサウンドのギターであることが一番重要だ。スタジオではいろんなギターを試すことが楽しくて、“この曲にはコイツ、あの曲ならアイツだ”ということができるよね? でも個人的には、ステージではそこまで気にしても大きな意味を感じないんだ。
だからあなたはライブでもギターをチェンジしないんですね。
ギターを何本も交換する人も多いけど、オレは真逆で、基本的にギター交換なんてしたくない。違うチューニングで持ち替えなきゃいけないとかならやるかもしれないけどね。20年前に設置されたPA機材から5人の音を同時に鳴らすとなると、入り組んだサウンドのディテールを聴くよりも、音楽をプレイすることが重要になる。もちろん自分の好きな機材で楽しむのはアリだけど、結局は楽しむことが一番なんだ。
ウェット・レッグのチューニングはレギュラーがメインのようですが、ドロップDもよく使用している印象です。
「mangetout」はスタンダード・チューニングだけど、「pillow talk」はドロップDだね。ただ単に弾きやすくするためにそうしているだけで、絶対ドロップDにしなきゃいけないわけじゃない。この曲だとドロップDのサウンドが好きなだけなんだ。それと「don’t speak」は作っている時に1弦をDに下げていたから、ライブでもそのままのチューニングにしている。運指を変えようと思えばできなくもないけど、作った時のまま弾ことうと思ってね。
それはスライド・ギター奏者がよく使う、オープンGチューニングみたいなセッティングですよね。
そうなんだ! 面白いね。高いほうの4本の弦がオープンGみたいな感じになるんだよ。
ピックはかなり薄いものを使用していますが、この薄さがポイントですか?
間違いなくそうだね。オレのストロークはけっこう強いんだけど、それは意図しているわけじゃなくて、ついそうなっちゃうんだ。だから薄いピックのほうが助かるんだよね。“ヘヴィなピックのほうが正確にピッキング・コントロールができる”と言う人も多いけど、個人的には薄めのピックが好きなんだ。
2026年2月18日(水)豊洲PIT
【Setlist】
01. catch these fists
02. Wet Dream
03. Oh No
04. Supermarket
05. liquidize
06. jennifer’s body
07. Being In Love
08. pond song
09. Ur Mum
10. pokemon
11. davina mccall
12. 11:21
13. pillow talk
14. Too Late Now
15. Angelica
16. Chaise Longue
17. CPR
18. mangetout
作品データ

『moisturizer』
ウェット・レッグ
BEATINK
BRC790
2025年7月11日リリース
―Track List―
01. CPR
02. liquidize
03. catch these fists
04. davina mccall
05. jennifer’s body
06. mangetout
07. pond song
08. pokemon
09. pillow talk
10. don’t speak
11. 11:21
12. u and me at home
―Guitarists―
リアン・ティーズデール、ヘスター・チャンバース、ジョシュア・モバラキ




