ジョシュア・モバラキ(ウェット・レッグ)が2026年2月の来日公演で使用したペダルボードを本人が解説! ジョシュア・モバラキ(ウェット・レッグ)が2026年2月の来日公演で使用したペダルボードを本人が解説!

ジョシュア・モバラキ(ウェット・レッグ)が2026年2月の来日公演で使用したペダルボードを本人が解説!

2025年7月に2ndアルバム『moisturizer』をリリースしたウェット・レッグ。『moisturizer』ではサウンドもビジュアルも一新し、新たな世界観で多くのファンを獲得。そして2026年2月に3年ぶりとなるジャパン・ツアーを開催した。本記事では、来日公演でジョシュア・モバラキ(g,syn)が使用したペダルボードを本人の解説とともにご紹介。

取材・文=小林弘昂 通訳=トミー・モリー 機材撮影=小原啓樹

Joshua Mobaraki’s Pedalboard

アンプからの出音と
PAからの出音をミックス可能なシステム

【Pedal List】
①Handmade / Custom Junction Box
②BOSS / TU-3(チューナー)
③BOSS / ES-8(プログラマブル・スイッチャー)
④JHS Pedals / BENDER(ファズ)
⑤Radial / J48(DI)
⑥JHS Pedals / Colour Box V2(プリアンプ)
⑦MXR / Micro Amp(ブースター)
⑧EarthQuaker Devices / Sea Machine(コーラス)
⑨JHS Pedals / Pulp ‘N’ Peel V4(コンプレッサー)
⑩strymon / El Capistan V1(ディレイ)
⑪PaintAudio / MIDI Captain DUO(MIDIコントローラー)

ギターからの接続順は、まずボード側面に設置された①ジャンクション・ボックスと②TU-3を経由し、③ES-8にインプット。そして③ES-8のアウトから再び①ジャンクション・ボックスを経由してアンプ(フェンダー’68 Custom Princeton Reverb)に接続される。

③ES-8の各ループに接続されているペダルは下記のとおり。

・Loop 1=④BENDER → ⑤J48 → PAへ
・Loop 2=⑥Colour Box V2
・Loop 3=⑦Micro Amp
・Loop 4=⑧Sea Machine
・Loop 5=なし

・Loop 6=なし
・Loop 7=⑨Pulp ‘N’ Peel V4

・Loop 8=⑩El Capistan V1

①ジャンクション・ボックスを介して③ES-8、KORG minilogue(シンセサイザー)、AKAI MPC2000XL(サンプラー)の3台がMIDI接続されており、楽曲ごとに③ES-8でバンクを切り替えているという。

⑪MIDI Captain DUOはMPC2000XLのサイレン音を呼び出すもので、「CPR」で踏んでいるとのこと。

ジョシュアはアッテネーターを活用してアンプをクランチにセッティングしており、さらに②Colour Box V2も常時オンにして基本の歪みを作っている。さらにアンプの歪みをプッシュさせたい場合は、ゲイン・ブースター的に⑦Micro Ampをオンする。

③ES-8のLoop 1は特殊な接続方法で、④BENDERから⑤J48を通ってPAに信号が送られている。つまり、Loop 1はアンプに送られず、ダイレクトのサウンドを鳴らしている。ジョシュアはフレーズによってアンプからの出音にダイレクトの音を混ぜており、「chatch these fists」や「jennifer’s body」のような激しいパートで④BENDERをオンにしていることもあれば、「davina mccall」では④BENDERをオフにしているという。ジョシュアはこの接続方法について、“ダイナミクスに乏しい、④BENDERのちょっと粗雑でコンプレッションがかかった均等的なサウンドを求めていた”とコメント。

ウェット・レッグのレコーディングではトイレでリアンプを行なっており、トイレの反響が独特なテクスチャーにつながっている。⑧Sea Machineは、そのリバーブ感を再現するために「Being In Love」や「Angelica」などで使用。ディレイ量をコントロールするDimensionノブでバスルームのような響きが得られるとのこと。“⑦Micro Amp + ⑧Sea Machine”など、ジョシュアは③ES-8の2つのスイッチを同時に踏むことが多いそうだ。

ちなみに、Loop 5にはもともとスプリングが搭載されたリバーブ・ペダルを接続していたのだが、蹴りすぎて壊してしまったため、今回のツアーではアンプのスプリング・リバーブで代用していた。

⑨Pulp ‘N’ Peel V4はCompノブとBlendノブをMAXに設定し、サステインを伸ばすために「davina mccall」で使用。さらに「davina mccall」ではリバーブをかけず、かなり短めのタイムで1回だけリピートする設定の⑩El Capistanをオンにしてアンビエント感を足しているとのこと。TAPE HEADは“fixed”、MODEは“A(ショート・ディレイ)”を選択。

Interview

「davina mccall」は
アンプとDIからのシグナルが混ざっているんだ。

ペダルボードについて教えてください。どの曲で何を使っているのでしょうか?

Colour Box(⑥)はいつもかけっぱなしで使っている。それとオレはダイレクト・アウトの音も混ぜているんだ。こういう話をすると普通は、“ファズっぽいサウンドをColour Boxで作って、それをダイレクト出力して混ぜているんだろう?”と思うだろうけど、実はそうじゃない。ES-8(③)でシグナルを分岐させていて、BENDER(④)から直接DI(⑤)に入れているんだ。Colour Boxはダイレクト・アウトもできるように作られていて、かなりダイナミックなサウンドが得られるけど、それを求めているわけじゃない。オレが欲しかったのは、むしろダイナミクスに乏しい、BENDERのちょっと粗雑でコンプレッションがかかった均等的なサウンドだったんだ。

ということは、Colour Boxの音はアンプから出ていて、BENDERの音はDIを通ってPAから出ていると。Colour Boxの気に入っているところは?

Colour BoxほどEQが細かく設定できるペダルはなかなかないし、評判どおりかなりグレイトなペダルだよ。パラメトリックEQのバンド幅の調整ができないけど、それ以外は十分だ。それぞれのSHIFTノブを使えばそれに近いこともやれるからね。レコーディングではColour Boxからのダイレクト・アウトの音とアンプからの音を同時に使ったよ。

あと面白いのは、Colour BoxにはXLR入力もあるからマイクをつないで、そのうしろにほかのペダルやギター・アンプを通すこともできる。例えば「catch these fists」のバック・ボーカルではマイクをColour Boxにつないで、DigiTechのWhammy Ricochet(ピッチ・シフター)でピッチを上下させて、アンプに送ってローファイ感を作り出したんだ。

ウェット・レッグにおいて、ほかに重要なペダルはありますか?

Sea Machine(⑧)は初期反射が面白くてかなりクールだね。サビっぽいパートで使っていて、Dimensionノブによってバスルームっぽい響きが得られるんだ。スタジオではよくリアンプしていて、トイレで鳴らしてその反響をチェンバー・リバーブ代わりに使っていてね。Sea Machineはそれをライブで再現するために使っているんだ。オレは長いシマーっぽいリバーブやディレイにはあまり興味がないんだよね。

Micro Amp(⑦)は音量を上げるためのものですか?

アンプをちょうどブレイク・アップするポイントに設定しているから実質オーバードライブみたいな感じで、これをオンにしてもラウドになるわけじゃない。ほかのブースターと置き換えても問題はないけど、これを気に入っているんだよね。

Pulp ‘N’ Peel V4(⑨)の使い方を教えてください。

コンプレッサーはかなりハードに設定している。「davina mccall」では指で弾いたパーカッシブなニュアンスやノイズも出したくて、ギターをあまり歪ませずに最大限のサステインを得たかったから、それで使っているね。そして、この曲では深いリバーブをかけず、かなり短めのタイムで1回だけリピートするディレイでアンビエント感を足している。ファズは使わずクリーンな音をDIに送っているよ。だから「davina mccall」はアンプとDIからのシグナルが混ざっているんだ。

ボードの側面に設置されたジャンクションボックス(①)は誰が作ったものですか?

誰が作ったのかはわからないけど、チューナー(②)のインプット端子はライブやレコーディングのたびに毎回抜き差しするから、それを壊さないために設置したものなんだ。オレたちは年間200本くらいライブやるから、それくらい抜き差ししているとペダルを壊しちゃうかもしれないからね。ジャックが抜けないようするロック機能もあるけど、これはたまに問題になることもある。あまりにも頑丈で、ボード全体を引っ張ってしまうことがあってね。

ES-8の右隣に置かれているペダル(⑪)はギター用ではないですよね?

MPC2000XLのサイレンを鳴らすためのもので、「CPR」でサビのコードを弾きながら同時に踏んでいるよ。ステージ上にはMPCとKORGのminilogueもあるから、ボードの上にはあまり多くのペダルを置いてないんだよね。

もしペダル3台だけでライブをするなら何を選びますか?

Colour Boxは絶対使う。あとはSea MachineとEl Capistan(⑩)かな。それでもちょっと難しいけど、これでいくと思う。

ちなみに、「catch these fists」のリフで、ヘスターはなんのエフェクターを使っているのでしょうか?

ヘスターはほぼ常にPLASMA COILを使っていると思う。とにかく楽しいし、グレイトなサウンドだよ。ゲートみたいな感じでキャラクターが十分にあるけど、演奏の邪魔をしないんだ。時々すごくクレイジーなファズ……例えばノイジーでゲートがかかるようなファズとかあるけど、あれはプレイに抗っている感じになってしまう。でもPLASMA COILは、ヘスターにとってちょうどいいスウィート・スポットがあると思うんだ。もっとスムーズなサウンドを求めてEQDのHoofを使うこともあるけどね。両方ともクールだよ。

2026年2月18日(水)豊洲PIT


【Setlist】
01. catch these fists
02. Wet Dream
03. Oh No
04. Supermarket
05. liquidize
06. jennifer’s body
07. Being In Love
08. pond song
09. Ur Mum
10. pokemon
11. davina mccall
12. 11:21
13. pillow talk
14. Too Late Now
15. Angelica
16. Chaise Longue
17. CPR
18. mangetout

作品データ

『moisturizer』
ウェット・レッグ

BEATINK
BRC790
2025年7月11日リリース

―Track List―

01. CPR
02. liquidize
03. catch these fists
04. davina mccall
05. jennifer’s body
06. mangetout
07. pond song
08. pokemon
09. pillow talk
10. don’t speak
11. 11:21
12. u and me at home

―Guitarists―

リアン・ティーズデール、ヘスター・チャンバース、ジョシュア・モバラキ